アルブチン|化粧品としての効果は?【美容成分大全】
アルブチンは、シミの元となるメラニンがつくられる過程で酵素”チロシナーゼ”に結合し、その働きを抑えることでメラニンの生成を抑えます。資生堂が開発した「美白」有効成分で、シミを予防します。日本化粧品検定協会が美容成分をくわしく解説する【美容成分大全】。成分を正しく理解して、コスメ選びの参考に!
コンテンツ提供:日本化粧品検定協会
プロフィール
成分名 | アルブチン |
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成分の働き | チロシナーゼ活性阻害 |
医薬部外品としての効能効果 | 美白 |
表示名称 | 【化粧品】アルブチン【医薬部外品】アルブチン |
主な配合アイテム | 【化粧品】【医薬部外品】スキンケア・ボディケア・UVケア |
どんな「効果・働き」があるの?
美白・シミを予防する(チロシナーゼ活性阻害)
シミの元となるメラニンは、表皮の基底層にあるメラノサイトという細胞内でつくられます。メラノサイトの中で、“チロシナーゼ”という酵素がアミノ酸の一種であるチロシンに働きかけることで、黒褐色の色素であるメラニンが生成されます。
表皮細胞が紫外線を浴びて刺激を受けると、メラニン生成を促す情報伝達物質が放出され、メラニン生成指令を出します。この指令を受けるとチロシナーゼが活性化され、普段よりもメラニンが過剰につくられるとシミの原因となります。
チロシンとチロシナーゼは”鍵と鍵穴”の関係にあるのですが、アルブチンはチロシナーゼにぴったり合う鍵を持っていて、チロシンより先にチロシナーゼと合体することで活性を阻害し、メラニンの生成を抑えてシミを予防します。
美容賢者の「豆知識」
アルブチンにはα(アルファ)とβ(ベータ)の2種類がある!
医薬部外品の有効成分として認められているのはβ-アルブチンのみです。一方、α-アルブチンは江崎グリコが開発し、効果はβ-アルブチンの10倍という報告も。ただし、医薬部外品の有効成分としては認められていません。
コウジ酸とアルブチンは「美白有効成分の先駆け」
アルブチンは資生堂が開発し、特許により独占使用してきましたが、特許期限を過ぎた後は、多くのメーカーからアルブチンを配合した化粧品や医薬部外品が販売され、20年以上の使用実績があります。アルブチンは、コウジ酸と並んで「美白」有効成分開発の先駆けとなった美容成分です。
「アルブチン」と「ハイドロキノン」の違い
アルブチンは美白効果の高いハイドロキノンの誘導体であり、ハイドロキノンに糖(グルコース)が結合しているため安定性が高いのが特徴です。皮膚内で分解されてハイドロキノンが発生することはなく、アルブチンのまま効果を発揮します。
ハイドロキノンは美白効果が高い反面、細胞に対する毒性や感作性(=アレルギー性)が懸念されており、医薬部外品には配合されていません。アルブチンはハイドロキノンと比較すると作用は穏やかですが、医薬部外品の「美白」有効成分として認められており、多くの薬用化粧品に配合されています。
「歴史・由来」その他の雑学
ハイドロキノンと糖(グルコース)を結合させたハイドロキノン誘導体です。化粧品原料としては、2002年より日本をはじめ世界各国で使用されています。
歴史
1989年、資生堂の申請によって医薬部外品の「美白」有効成分として承認されました。高山に生育するコケモモ、ウワウルシ、ナシなどの植物の葉に含まれる成分ですが、現在化粧品に使用されているアルブチンは合成によってつくられています。
主な原料の由来
合成
医薬品やサプリメントには?
医薬品には配合されていません。アルブチンは果実(ナシやイチゴほか)などにも含まれていますが、単独の成分として、サプリメントには利用されていません。
注意事項
アルブチンは、ハイドロキノンよりは大幅に細胞毒性が低いことがわかっており、刺激やアレルギーに関しても“ほとんどない”という試験結果がでています。安全性が確認された成分ですが、肌への刺激が比較的強いため、肌の弱い方、初めて使用する方は、腕などでパッチテストを行なってから使用しましょう。
<引用元>
日本化粧品技術者会, 化粧品事典, 丸善出版株式会社, p.318-319
宇山侊男他, 化粧品成分ガイド 第7版, フレグランスジャーナル社, 2020, p.92,160
小西さやか, 美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.66-67
株式会社マツモト交商 Webサイト(コンセプトシート)
岩瀬コスファ株式会社 Webサイト (オリジナル化粧品原料)
グリコ栄養食品株式会社 Webサイト (化粧品原料・アルブチン)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
日本化粧品検定協会代表理事、日本薬科大学客員准教授、北海道文教大学客員教授、東京農業大学食香粧化学科客員准教授、各種協会の顧問、学会幹事を歴任。化粧品開発者として科学的視点から美容、コスメを評価できる専門家「コスメコンシェルジュ」。最短最適な美容で無駄を省く「時短美容家」としても活躍中。著書は『美容成分キャラ図鑑(西東社)』など13冊、累計56万部を超える。