保険適用のピルがあるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「生理」について。保険適用のピルがあるってホント? 対馬ルリ子 女性ライフクリニックの石山尚子先生に、お話を伺いました。
Q:保険適用のピルがあるってホント?
ピル=避妊薬で、自費診療になるからちょっとお高いというイメージがある人もいるでしょう。しかし、最近では避妊目的以外にもピルの服用が勧められるケースがあり、そういった場合は保険適用のピルが処方されるのだとか。保険適用のピルがあるってホント?この疑問を石山先生に聞いてみました。
A:ホント
「保険適用の低用量ピルがあります。日本では1999年、避妊を目的とした自費の低用量ピルが発売になりました。そして2008年、月経困難症や子宮内膜症による疼痛の治療を目的とした、保険の低用量ピルが処方できるようになりました」(石山尚子先生・以下「」内同)
月経困難症で出される低用量ピルとは?
「避妊目的の低用量ピルは経口避妊薬でOC(オーシー)と呼ばれているのに対し、治療用の低用量ピルは低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬でLEP(レップ)と呼ばれています。いずれもエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンの合剤で、排卵を抑え、子宮の内膜を薄く保つことで、月経痛を抑え、月経量を減少させるなどの効果が得られます。
LEPにはエストロゲンをさらに少なくした超低用量ピルや、最長約4か月間連続内服可能な超低用量ピルもあります。連続内服することで、月経回数を減らすことができます。
また、LEPにより子宮内膜症によって引き起こされる可能性がある、不妊や卵巣がんのリスクを低下させる可能性も期待できます」
ピルは飲めると人飲めない人がいる
「病気や体質などによって、ピルを飲める人と飲めない人、ピルを慎重に飲まなければならない人がいます。医師が問診票や診察などから内服できるかどうかを判断します」
ピルを飲めない人は?
「50才以上または閉経後の人、35才以上で1日15本以上タバコを吸う人、乳がんの人、血栓性素因のある人、抗リン脂質抗体症候群の人、前兆を伴う片頭痛のある人などはピルが服用できません。
また、肥満症、高血圧症、糖尿病、心疾患、脂質代謝異常症、乳腺疾患などと診断されている人、手術前、手術後、出産後、授乳中の人の中には、内服できない場合と慎重にできる場合がありますので、医師に相談してみてください」
文/土屋美緒
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1996年富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。産婦人科専門医。富山大学附属病院および関連病院に勤務の後、2007年より女性医師・スタッフによる女性のためのクリニック、対馬ルリ子ライフクリニック銀座に勤務。自身の経験も交え、手軽に取り入れられる対処法やアドバイス、その人に合わせた治療方法を提案してくれます。
対馬ルリ子 女性ライフクリニック