健康・ヘルスケア
2021.5.22

出産してないのに母乳が出ることがあるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“バストトップのトラブル”について。出産していないのに母乳が出ることがあるって…ウソ? ホント? ピンクリボンブレストケアクリニック表参道院長・島田 菜穂子先生にお答えいただきます。

Q:出産していないのに母乳が出ることがあるってホント?

神秘ともいえる女性のカラダ。さまざまな変化があるからこそ、トラブルに見舞われることも。そのひとつに出産していないのに母乳が出る…というウワサがありますが、本当なのでしょうか。さっそく、この疑問を島田先生にぶつけてみました! 果たして答えは…?

A:ホント

「出産していなくても、母乳が出てしまうことを乳汁漏出症といいます。これは、乳汁分泌ホルモンである“プロラクチン”が高くなることで引き起こされます。原因がわからないことも多くありますが、飲んでいる薬の副作用が原因のこともあります。うつや胃薬、血圧など、いろんな薬でプロラクチンが高くなることがあります。このプロラクチンには、排卵を妨げたり止める作用があるため、生理不順、生理が止まってしまうなどの月経異常や、排卵を抑制することにより不妊を引き起こすことがあります。

ほかには脳下垂体にプロラクチンを異常に分泌する腫瘍ができて、プロラクチンが高くなってしまうケース。特に乳頭分泌などの症状が無くても例えば不妊治療で病院を受診し、排卵がうまく起こっていないことが判明、採血をして偶然プロラクチンが高いことがわかるというケースもあります。このような場合は原因がはっきりわからないことが多いのです。」(島田先生・以下「」内同)

  • 乳汁分泌ホルモンであるプロラクチンが高くなることで起こる
  • うつや胃薬、血圧などの薬が原因の場合もある
  • 脳下垂体にプロラクチンを以上に分泌する腫瘍ができ、プロラクチンが高くなってしまうケースもある
  • 原因がはっきりわからないことも多い

病気の場合の治療法は?

「薬による副作用の場合は、原因となる薬をやめるとプロラクチンは正常に戻ります。不妊治療で病的な数値ではないけれどもプロラクチンが高いと判明した場合には、カバサールというプロラクチンの過剰分泌を抑える薬を使うことで治ります」

がんや腫瘍を疑う場合もある?

「ホルモンが影響している場合は、通常両方の乳頭か分泌が出ますが、片側からだけ出てきた…というときは、乳房の中に原因があり、がんや腫瘍などの可能性もあります。母乳が出るはずもない時期、片側だけ、といったときには、すぐに乳腺科を受診して、原因をしっかり調べてもらってくださいね」

乳がんや乳房の腫瘍の場合は、どんな分泌物が出る?

「腫瘍や乳がんの場合は、片側の乳頭だけ分泌物が出ます。しかし、分泌物の性状はさまざま。透明な液体なこともあれば、原料の血液には鉄分が含まれていますから、酸化して緑っぽい液体が出ることもあります。出血を伴えば、血や茶色っぽく。腫瘍が原因で出血している場合は、液体の分泌物も出るし、血も出ることもあるのです。だからといって、必ずしもがんということはありません。良性の腫瘍ということもあるのですよ。乳頭から分泌物がでた、いつもとは違うと感じたら、すぐに乳腺科を受診することが病気の早期発見へ繋がります」

良性腫瘍の場合は経過観察?

「がん(悪性腫瘍)の場合は、治療が必要ですが、良性腫瘍の場合は選択肢があります。

例えば超音波検査の際に、乳管の中にポリープ状のしこりがあったとしましょう。形の特徴から良性の乳頭腫とわかった場合、症状が邪魔にならなければ経過観察します。良性腫瘍の場合は、途中で成長が止まり、がんへ変わることもないからです。ただし、分泌物が気になる、量が多くて邪魔になるといったストレスを引き起こしている場合には、切除して原因をとりのぞきます」

Point

・片方の乳頭からだけ分泌物が出てきたときは、がんや腫瘍の可能性もある
・分泌物の性状はさまざま
・必ずしもがん(悪性腫瘍)ということではなく、良性の腫瘍ということもある
・良性の腫瘍の場合は、症状が邪魔にならなければ経過観察など選択肢がある

乳腺専門医。放射線科専門医。認定スポーツドクター

島田 菜穂子先生

 

文/木土さや

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事