健康・ヘルスケア
2021.4.23

「子宮内膜症」ってどんな病気? 放置すると起こるリスクは?|産婦人科医が解説

子宮内膜症と診断されてそのままに…。まずは検診を受けてみましょう! 産婦人科医の吉形玲美先生に詳しくお話を伺いました。

子宮内膜症と診断されました。放置するとどんなリスクがありますか?

A.症状が進むと、激しい生理痛や過多月経、不妊などの要因に

「子宮の内側を覆っている子宮内膜は、本来、妊娠しないと剥がれ落ち、月経血として体外に排出されます。ところが、その子宮内膜に似た組織が、なんらかの原因で 子宮の内膜以外の場所に付着 することがあります。付着した子宮内膜組織は、正常な子宮内膜と同様、女性ホルモンの影響を受けて周期的に増殖、出血します。ただし体外に排出できないため、 その場で炎症を起こして、痛みを発生 。それが子宮内膜症です」

生理を繰り返す限り自然治癒は難しい
「子宮内膜症の主な症状は、 生理痛の悪化 。月を追って痛みが増していくのが特徴です。その他、生理以外での下腹痛、腰痛や排便・排尿痛、性交痛などが起きることも。子宮の収縮が阻害されて 過多月経や不正出血 の要因になることもあります。また、内膜症組織が卵管や卵巣で癒着を起こすと中が詰まって 不妊 の原因に。リスクに個人差はあるものの、放っておけば進行し、 自然治癒は難しい病気 です。
 
婦人科ではホルモン療法や手術療法など、その方のライフプランに合わせた治療を行います」(吉形先生)

子宮内膜症ができる場所
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子宮内膜症ができやすいのは、腹膜、卵巣、子宮と直腸の間(ダグラス窩)など、ほとんどが骨盤内。中でも卵巣に入り込んで塊になったものは「卵巣チョコレート嚢胞」と呼ぶ。ごく稀に、組織が血流に乗って移動し、肺や脳などの離れた部位にできることも。

\痛みの悪化、経血量の増加…異常を感じたらまず検診/
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子宮内膜のそのほかの病気もチェック!

□子宮内膜ポリープ 子宮内膜がきのこ状に発達してポリープになったもの。良性で、自覚症状はほとんどない。ただし大きいと受精卵の着床の妨げになり、不妊の原因になることも。

□子宮内膜増殖症 女性ホルモンの影響で子宮内膜が増殖してしまう病気。生理になっても子宮内膜がすべて剥がれ落ちず、厚みを増してしまう。生理不順を放っている人、肥満の人がなりやすい。

 

産婦人科医

吉形玲美先生

 

『美的』2021年5月号掲載
イラスト/チブカマミ 構成/つつみゆかり、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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