自粛、リモートワークのストレスが睡眠障害を引き起こすってホント? 真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「睡眠」について。睡眠と疲労に関する研究を行う医師の梶本修身先生に、お話を伺いました。
Q:自粛、リモートワークのストレスが睡眠障害を引き起こすってホント?
コロナによるステイホームの影響で、ストレスフルな人も多いはず。さらに「テレワークの増加で早起きをする必要がなくなり、夜眠れなくなった」という声もちらほら。そして、ストレスで眠れない日が続くと、睡眠障害になるという噂も…tね。これってホント? そこで、睡眠の質の向上によるさまざまな疲労回復法を推奨している、医師の梶本修身先生に疑問を投げかけてみました。果たして梶本先生のお答えは…?
A:ホント
「ストレスは、脳の自律神経を疲弊させます。特に、慢性的なストレスに晒されると、自律神経機能の低下により睡眠の質が悪化し、夜中起きてしまって眠れなくなったり、眠ったはずなのに朝に疲れが取れていないといった現象が生じます。また、睡眠のリズムを作っているのも自律神経。自律神経が疲れると直ぐに寝落ちはするけれど、飲酒して寝落ちするのと同様、脳の疲労回復を図る深い睡眠を確保できません。長期的にストレスを溜め込んでしまうことが、やはり睡眠の質を落とす大きな原因になるのです」(梶本修身先生・以下「」内同)
ストレスはあったほうが、実は健康
「ストレスという言葉は、決して悪い言葉ではありません。ストレスがないと満足感や幸福感を大きく得られなくなります。なので、人は多少のストレスがある方が健康であると、過去の研究データで証明されています。とはいえ、休息などをとって回復する余地があってこそ、ストレスの良さは発揮されるもの。過度なストレスは回復しにくいため、必要以上にストレスがかからないように、休息をこまめにとってオンとオフを切り替えることが大切です」
リモートワーク中のストレス解消法は?
「今までは仕事上の悩みがあっても、家に帰ってきたらホッとするため、家が回復の場所となっていました。ですが、リモートワークやステイホームをすることにより、家にいること自体がストレスになってしまったのが今年の特徴。最後の砦である家がホッとする空間がなくなってしまった上、今までいなかった子供がずっと家にいたり、ご主人が家の中で仕事をしたり…。自分の時間がなかなか持てなくなったことで、そのぶんストレスは増加します。ストレスを軽減させるには、自分の時間を持つということがとても大切なのです」
「自分の時間をもつ」とは?
「自分の“ホーム”は、決して家とは限りません。ひとりずつが“安全で安心で快適な場所”を作らないと、ストレスは加速していきます。どんなに夫婦仲が良くても、ずっと一緒にいるというのは疲れますよね。ある程度、自分の時間をそれぞれ持つというのが、ストレスを溜めない一番のリフレッシュ方法。趣味でもいいし、無い方はこれを機会に持つことをお勧めします。自分一人でも楽しめることを持つのが、今の時代のストレス解決策。現に、狭い家で顔を合わせているのがストレスになると、郊外の広い家に引っ越す方も増えているそう。自分自身を守るためにも、安全安心快適なパーソナルスペースや時間を見つけてみてください。少しでもストレスが減れば、睡眠の質も変わってくるはずです」
文/むらなかさちこ
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大阪大学医学博士。大阪市立大学大学院医学研究科 疲労医学-特任教授などを歴任。国立研究開発法人)理化学研究所生命機能科学センターでは疲労と睡眠の研究を行う。産学官連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者に就任。ニンテンドーDS「アタマスキャン」をプログラムして「脳年齢」ブームを起こす。メディアにも多く出演し、『すべての疲労は脳が原因』など、著書も多数。