国際基督教大学国際関係学科にて経営学を学ぶ。自身の皮膚疾患の悪化をきっかけに医師を目指すことを決意し東邦大学医学部医学科に入学。卒業後東京慈恵医科大学付属病院にて形成外科、皮膚科に携わり、その後、美容医療の分野へ。美容医療の中でも、抗加齢(アンチエイジング)医療及び美容婦人科に興味を持ち、大手美容外科クリニック院長就任後多くの症例を経験。
緊張して汗ダラダラになる人は多汗症ってホント? 真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ? ホント?】
日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は“汗”につ いて表参道レジュバメディカルクリニック院長の平田玲奈先生に質問。汗をかく量があまりにも多い場合は、病気かもしれないというのは本当なのでしょうか? さっそく平田先生に真相を直撃してみました。
Q:緊張して汗がダラダラ出る人は多汗症ってホント?
人はさまざまなシーンで汗をかきます。しかし、その量があまりにも多いと、ちょっと異常…?と思ってしまうことも。たとえば、会議などでの発表前や、好きな人に告白するときなど、それこそ“マンガのよう”に汗が吹き出すとき。背中がぐっしょり濡れてしまって自分でも驚いてしまったという経験があるという人もいるようです。これは、多汗症なのでしょうか。美容医療について詳しい表参道レジュバメディカルクリニック院長の平田玲奈先生に聞いてみました! 先生のお答えは
A:ウソです!
「緊張・不安などのストレスから一時的に交感神経のバランスが崩れ、汗を多くかくことがあります。しかし、これは多汗症ではありません。多汗症は、手のひらや顔・頭部・脇・足のうらの限局した部位に多量の発汗がみられる疾患です。多汗症の用語が誤って報道されることも多いので混乱してしまうかもしれませんが、全身にたくさんの汗をかく“汗かき体質”とは異なるものです。
多汗症の原因として、発汗を促す交感神経が人よりも興奮しやすいのではないかともいわれています。しかし、まだはっきりしたことはわかっていません」(平田玲奈先生・以下「」内同)
緊張して汗ダラダラになっちゃうのはどうして? どうしたらいい?
では緊張によって出る多量の汗はどうしたらよいのでしょう?
「緊張による汗は精神性発汗といいます。これは、恐怖や緊張、興奮などのストレス時に脳の前頭葉や辺縁系と呼ばれる部分が刺激されることて起こります。精神性発汗は個人差や状況による違いが大きく、精神療法が用いられることもあります。また、症状が比較的軽い場合は、塩化アルミニウム液の塗り薬を使用することも。症状が重くなれば、ボツリヌス毒素を患 部に注射するボトックス治療という方法もあります」
多汗症を自覚症状からチェックする方法
「多汗症の重症度は日本皮膚科学会ガイドラインによって決められています。重症度の判定は自覚症状により以下の4段階に分類したHyperhidrosis disease severity scale(HDSS)が用いられています。
(1)まったく気付かない、邪魔にならない。
(2)我慢できる、たまに邪魔になる。
(3)どうにか耐えられる、しばしば邪魔になる。
(4)耐えがたい、いつも邪魔になる。
このうち(3)と(4)を重症の指標にしています。
また、発汗量測定法という方法を用いて重症度を決める方法もあります。
多汗症の治療法は?
多汗症には完全摘出法・シェービング法・ミラドライ・ボトックス注射などの治療方法があります。また、内服薬で治療をする方法も。いずれにしても、多量の汗に悩んでいる人は適切な治療によって症状が改善する可能性は高いのでクリニックで相談されるとよい でしょう」
文/野邑みえ(all the way)
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。