健康・ヘルスケア
2020.4.29

喘息ってどんな病気?新型コロナに感染すると重症化しやすいの?【女医に訊く#105】

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喘息は子どもの病気だと思っていませんか? 喘息は40歳を過ぎてから初めて発症するようなケースも決して珍しくありません。厚生労働省調査によると、平成29年の喘息患者数は111万7000人。喘息はなぜ発症して、重篤化するとどうなるのでしょうか? アレルギー専門医の岸本久美子先生に伺いました。

大人になってから喘息になることもある?

喘息とは、アレルギーなどが原因となって気道に慢性的な炎症が起こり、咳やたん、喘息発作などの症状が起こる病気。気管支喘息の場合、炎症により気管支が狭くなり、ヒューヒュー、ゼイゼイといった笛のような呼吸音が聞こえます。

喘息というと子どもの病気というイメージがあるかもしれませんが、小児喘息を大人になるまで持ち越したり、大人になってから再発したりすることも。また、子どもの頃に喘息がなかった人が、大人になってから発症するようなケースもあります。

「喘息の場合、因果関係がはっきりしている場合と、していない場合があります。一般的な原因は、ホコリやダニなど、アレルギーを起こす物質を吸入すること。その結果、気管支に免疫反応が起こり、アレルギー性の炎症が生じます」と語るのは、アレルギー専門医の岸本久美子先生。

気管支喘息のように笛のような呼吸音や呼吸困難を伴わないものの、2週間以上咳が続く、夜に咳がひどくなって眠れないなどの症状がある場合、咳喘息の可能性もあります。気になる方は、呼吸器内科やアレルギー科を受診してみましょう。

喘息患者は新型コロナに感染すると重症化しやすい?

現在、新型コロナウイルスが猛威をふるっています。感染した場合、発熱や呼吸器症状、全身倦怠感など風邪と似た症状が1週間前後続き、悪化すると呼吸困難や肺炎を起こすといわれています。喘息患者は新型コロナウイルスに感染してしまったら、重症化するリスクがあるのでしょうか?

「喘息患者の方は新型コロナウイルスに限らず、アレルゲンや気候変動、ただの風邪などでも悪化します。大切なのは日頃のメンテナンス。喘息の患者さんなら吸入のステロイドや飲み薬でしっかり気管支の炎症をとっておくなど、アレルギーが疑われるような人は、早めにアレルギーの対処をしましょう」(岸本先生)

感染予防の基本は手洗い、うがいです。今は不要不急の外出を避けて、感染の拡大をしないように心がけましょう。

しばらく発作がでなければ治療を中断しても大丈夫?

疾患に関わらず、医師から処方された薬をきちんと飲み切っていますか? 治療を途中で中断したことはありませんか? 喘息もアトピーも花粉症も、一度なってしまうとどうしても長期的な治療が必要になってしまうもの。勝手に治療を止めてしまう人も多いようです。

「若い世代のアレルギー患者さんのなかには、途中で心が折れたり、金銭的に苦しくなったりして中断する人も多いですね。『今、元気だし、ちょっと忙しいから今月は薬をもらいに行くのやめよう』というのが、ひと月ひと月長くなり、喘息発作で苦しくなって、また来るということもあります」(岸本先生)

喘息の発作が起きると気管支が狭くなり、呼吸が苦しくなって、ひどい場合は呼吸困難から窒息死に至ります。その誘因は気道感染のほか、過労やストレス、治療薬の中止、ステロイド薬の中止・減量など。吸入ステロイド薬の普及とともに喘息死の患者数は年々減少していますが、それでも一昨年は1,617人の方が喘息で亡くなっています(平成30年厚生労働省人口動態調査より)。

「症状がなくても、必要なときは薬を使っていただきたいですね。精神的な問題やお金の問題があっても相談しながら治療はできますし、たとえ治療を中断していてもいつでも再開できます」(岸本先生)

アレルギー疾患は医師のもとで適切な治療を継続することが重要です。自己判断で治療の中断などをしないようにしましょう。

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アレルギー専門医
岸本 久美子先生
ハピコワクリニック五反田院長。東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科非常勤医師。日本呼吸器学会専門医。日本アレルギー学会専門医。東邦大学医学部卒業後、東邦大学医療センター大橋病院等を経て、2018年、開業。風邪や生活習慣病のコントロールなど一般内科的な診療はもちろん、アレルギー疾患や喘息の専門的な治療を行っている。■ハピコワクリニック五反田

文/清瀧流美 撮影/黒石あみ(小学館)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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