くしゃみ、鼻水、鼻づまりがつらい…アレルギーはどうして起こるの?【女医に訊く#102】
春は花粉の飛散が増えるシーズン。スギ(飛散時期は2~4月)だけでなく、ヒノキ(3~5月)、シラカンバ(4~6月)、イネ科(4~11月)など、何らかの花粉が日本中で飛散しています。今や国民病といわれる「花粉症」をはじめとするアレルギー疾患はなぜ引き起こされるのか、アレルギー専門医の岸本久美子先生に教えていただきました。
アレルギーはどうして起こるの?
わたしたちの体には、自分の体の中に入った細菌・ウイルス・寄生虫などの感染性微生物や異物を排除しよう、外に出そうとする「免疫」というシステムが備わっています。風邪を引いてもしばらくすると治るのは、この免疫反応のおかげ。免疫がいい方向に働くと、ウイルスなどの病原体が体に侵入しても、それを素早く見つけてやっつけてくれるのです。
「アレルギーは、この免疫反応が過度に働いてしまう状態。ダニやホコリなど、本来は人体に無害な異物に対しても攻撃をして、自分の体もついでに傷つけてしまうのです」と話すのは、アレルギー専門医の岸本久美子先生。
花粉症も免疫の過剰反応によるもの。花粉を有害物質と判断した体が抗体をつくり、再度花粉が侵入してきたときにそれを追い出すために免疫反応が起こって、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎などが引き起こされます。ほかにも、アレルギー疾患には、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、薬剤・昆虫アレルギーなど、さまざまな疾患があります。
アレルギーを発症しやすい人、しにくい人は何が違う?
免疫反応は感染症など外部の敵と戦うためのものであり、決して悪いものではありません。では、過剰に反応してしまう人と、反応しない人とでは、いったい何が違うのでしょう?
「アレルギーの発症のきっかけは、遺伝的要因が半分です。そのため、親御さんやごきょうだいがアレルギー症状をお持ちの方は、アレルギーを発症しやすくなります」(岸本先生)
残りの半分は環境要因です。例えば、杉林の近くにずっと住んでいる人は、スギ花粉を吸い続けるため体内に入る花粉が一定量を超えやすく、炎症を起こす物質が作られて、スギ花粉のアレルギー症状を引き起こします。
くしゃみと鼻水が止まらない…これって風邪?それとも花粉症?
アレルギーの主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりです。しかし、これらの症状は風邪でも出ることがあります。どのように見分けたらよいのでしょう?
「黄緑や黄色の鼻水が出て、1週間ほどおとなしくして治るようだったら風邪ですね。それほど高い熱も出ず、透明のサラサラした鼻水が続き、目などにかゆみを伴うようでしたら、アレルギーの可能性があります。花粉症の場合、毎年同じシーズンに同じ症状が出るという特徴もあります」(岸本先生)
わたしたちの身のまわりには、食物、花粉、ダニなど多くのアレルギーの原因となる物質「アレルゲン(抗原)」が存在します。花粉症を引き起こす植物だけでも、その数は50種以上にのぼるといわれており、一年中飛散しています。病院へ行くと、採血検査によりアレルゲンのチェックができます。アレルギー疾患と医師に診断され、検査の適応である場合は、保険適応で検査できます。費費用は3割負担の方で5,000円くらいかかりますが、検査項目数により前後します。心配な方は一度調べてみましょう。
文/清瀧流美 撮影/黒石あみ(小学館)
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