健康・ヘルスケア
2019.10.30

目を休めても疲れがとれない…それは眼精疲労です!【女医に訊く#81】

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良質かつ十分な睡眠をとっているのに目の疲れがとれない、目の奥が痛い、頭痛がひどいこのような症状が続くようなら眼精疲労かもしれません。眼科医の井上佐智子先生に、眼精疲労の症状と治療法についてうかがいました。

寝ても目の疲れが残る場合は眼精疲労の可能性も!

眼精疲労とは、目を休めても疲れがとれない状態のこと。その原因は、ドライアイやコンタクトレンズの度数が合っていないなどの「眼科的要因」と、ストレスや睡眠不足などの「目以外の要因」に分かれます。 

「眼精疲労の患者さんのなかには、目の周りや頭が痛い、寝ても目の疲れがとれない、肩が凝るなどの症状を訴える方もいらっしゃいます」と語るのは、眼科医の井上佐智子先生。

 休憩後や翌日でも症状が残る場合は、眼精疲労の可能性があります。まずは眼科の検査を受け、疾患の有無を確認しましょう。疾患があった場合、治療やそれ以外の検査を進めていきます。

 「眼精疲労用の目薬やサプリメントだけでなく、眼精疲労予防のグッズがありますから、それらを上手く併用していくもの大事ですね」(井上先生)

目元を温めて眼精疲労を防ぎましょう

涙の成分には、水・ムチン(ネバネバ成分)・油があります。油はマイボーム腺という分泌腺から分泌されますが、この分泌腺の状態が悪い人(マイボーム腺機能不全といいます)は、油の分泌が悪くなりドライアイや眼精疲労の原因にもなります。 

「当院では皮膚面〜皮下組織に熱を届ける医療用 LED を使って、直接マイボーム腺付近を温めることができます。血流改善や細胞の活性化、筋線維芽細胞の増加を促す作用があります。実際には、マイボーム腺の油が溶け出すことで、眼精疲労の軽減に繋がる可能性があります」(井上先生)

 自宅でケアする場合は、蒸気で温めるタイプのアイマスクや目もと用蒸気温熱ピローで温めるのも手。低温やけどに注意しながら、じんわりと温めましょう

疲れた目がラクになる医療用LEDとは?

ちなみに、前出の医療用 LEDとは、近赤外線と呼ばれる2つの波長を連続照射できる医療機器のこと。皮膚の深部および皮下組織までエネルギーを到達させることができるため、コラーゲンの生成や肌のターンオーバーの促進、創傷治癒促進、ニキビ菌の殺菌など、美容の施術にも使用されています。

 「当院ではヒーライトIIという医療用LEDを目元のケアに採用しています。施術後、目がラクになるという方もいるため、目の中の調節力を司る毛様体筋に血流がうまく回って、疲労を回復する可能性があるのではないかと考えています」(井上先生)

 井上先生の研究によると、ヒーライトIIを毎日照射し、4週間後に自覚症状を確認したところ、「目が乾く」「目が痛い」「目が赤い」「涙が出る」「目がかすむ」「目が重い」「目が疲れる」という7項目で有意に改善したそう。

 「試験期間中に被験者が目の不調を訴えたり、事故が起こったり、被験者に不利益が生じることは一切認められませんでしたので、安全性は非常に高いといえます。採用している眼科は少ないですが、今後注目される施術です」(井上先生)

 

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眼科医
井上佐智子先生
羽根木の森アイクリニック 院長。慶應義塾大学医学部眼科学教室非常勤助教。日本眼科学会専門医。日本抗加齢医学会専門医。藤田保健衛生大学医学部卒業後、 慶應義塾大学病院など複数の臨床病院勤務を経て、2014年、東京・世田谷区にサロンのような癒し空間を演出した羽根木の森アイクリニックを開業。眼科を専門としつつもエイジング外来に力を入れている。■羽根木の森アイクリニック

文/清瀧流美 撮影/田中麻以(小学館)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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