健康・ヘルスケア
2019.5.11

11人に1人が乳がんにかかる時代…早期発見する方法はあるの?

乳がんを早期発見する方法はある? マンモグラフィや超音波など検診方法をご紹介します。自由が丘みきブレストクリニック院長の森 美樹先生に詳しくお話を伺いました。

症状がない20~30代の検診はデメリットも!

乳がんを早期発見するには、やはり定期的に乳がん検診を受けることなのでしょうか?
「40歳以上の女性は、マンモグラフィ(マンモ)による乳がん検診を2年に一回受けることが早期発見につながります。でも20~30代には科学的に根拠(エビデンス)のある乳がん検診は、実はありません。むしろ、血縁に乳がん、卵巣がんの人もいない、何の症状もな い20~30代は、乳がん検診を受けると、メリットよりデメリットが上回る、というデータがあります」と森先生。

がんではないのに、「がんかも」と疑われる可能性

意外と知られていない検診のデメリット。
「例えば、若い世代がマンモを受けても、見逃される可能性は高いです。20~30代の乳房は乳腺が多く、マンモではしこりが見えにくい“高濃度乳房”である可能性が高いのです。また、検診で異常ありとなり、針を刺して細胞や組織を取る精密検査を受ける可能性が高まっても、がんではなかったという確率が高いこともデメリットです。ほかにも、結果が出るまで、がんかもしれないと思う精神的、経済的負担も伴います」(森先生)

では、マンモ以外に検査方法はないのでしょうか?
「超音波は、若い世代に多い高濃度乳房のタイプの胸でも、しこりがよく見えます。でも、良性か悪性か判断しにくいしこりも含まれているため、針を刺すような精密検査を行うことになったり、経過観察をする割合が増えます。これを偽陽性といって、がんではないのにがんかもしれないと疑われ、検査や診察を受ける人が増えてしまうのです。もちろん、何か症状がある人や、血縁に乳がんや卵巣がんの方がいて心配な人は、この限りではありません。すぐに、乳腺外科を受診して相談してください」(森先生)

乳がんができるのは母乳を作る所とその通り道です

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乳がんは、乳房の中にある乳腺(母乳を作る所)にできる悪性の腫瘍。乳房はほかの臓器と違って体の表面にあるので、しこりが大きくなると、自分で注意深く触るとわかる。でも、しこり=乳がんではない。良性の乳腺の病気もある。

マンモグラフィとは40歳以上にエビデンスのある乳がん検診

マンモは、40歳以上は2年に1回受けることで早期発見につながるエビデンスのある乳がん検診。乳房を挟み、圧迫して撮影するレントゲン検査で乳がんをはじめ乳房に起こる病気を見つけることができる。しこりになっていない石灰化のがんも見つけることができる。

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マンモの機器。見落としのない画像を撮るため、撮影時に乳房を薄く伸ばし、圧迫する必要がある。そのため多少痛みを感じる人も。

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圧迫板という透明な板で乳房を挟み、平たく引き伸ばした状態で撮影する。左右の乳房を同じように行う。

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上下で挟んだときに撮れる左右の乳房の画像。上下だけでなく、下写真の斜めに挟む撮影も行うことで、検診の精度が上がる。

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斜めからの場合は、乳がんが転移する可能性があるわきの下のリンパ節もしっかり挟む。

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斜めから撮影した左右の乳房。わきのリンパ節が映っているのがわかる(中央上の白い部分)。一方向しか撮らない場合はこの斜め方向だけ。

マンモグラフィに向かない乳房タイプ「高濃度乳房」とは?

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乳房の中にある乳腺組織の割合を“乳腺濃度”という。マンモの画像を医師が読影するときには、4段階に分類。上写真の右ふたつが乳腺濃度の濃い高濃度乳房(デンスブレスト)。このタイプは真っ白に映り、しこりも白く映るので、がんがあっても見えない。マンモで見えない高濃度乳房は日本女性の4~7割といわれていて、特に若い人に多いタイプ。
写真提供/NPO法人乳がん画像診断ネットワーク

超音波とは高濃度乳房でもよく見えるが…

超音波を出すプローブ(器具)を乳房に乗せて動かし、反射してくる超音波を画像として見る検査。マンモのような放射線被曝もないので、妊娠中でも検査可能。若い世代に多い高濃度乳房でも、しこりがよく見える。

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発見率は高いが、がんではないしこりも見つけてしまう可能性もある。乳がん検診に使用するための科学的根拠(エビデンス)がまだない。

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上半身裸になってあお向けに寝てゼリーを塗った乳房にプローブを当てゆっくり動かす。鎖骨、わきの下のリンパ節もよく見る。

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超音波で見える画像。中央に丸く見えるのが、がんのしこり。若い世代の乳房でもよく見える。

 

お話を伺ったのは…
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自由が丘みき ブレストクリニック院長 森美樹先生
鳥取大学医学部医学科卒業。同医学部病態制御外科学講座入局後、がん研有明病院乳腺外科、聖路加国際病院乳腺外科、昭和大学乳腺外科助教、米国カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校を経て、’16年より現職。医学博士日本乳癌学会乳腺専門医・指導医。

 

『美的』1月号掲載
撮影/田中麻衣(本誌) イラスト/きくちりえ(Softdesign) 編成/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

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