健康・ヘルスケア
2024.11.5

体と心が軽くなる呼吸の整え方|パニック症や不安症…発作を起こさないためにできることは?

勤務中や飲み会中、移動の電車や遊園地で、突然、呼吸が苦しくなったり、動悸が激しくなるなどのパニック発作。実は美的世代に多いことがアンケートでわかりました。そんなつらい状況を抜け出すヒントを「心と体」の両側からアプローチ!

体と心が軽くなる呼吸の整え方

\多くの不安症の人を呼吸法で改善に導く人気鍼灸師・小塚高文先生直伝!/

小塚高文先生

不安な気持ちは精神面からだけでなく身体面からも影響する

私の鍼灸院ではパニック症や不安症を中心に自律神経症の状態に合わせた施術をしています。多くの患者さんを診てきて思うのは、 不安で体が緊張することで呼吸が乱れ、パニックへとつながっている人が多い ということ。この「呼吸」の乱れを引き起こす 姿勢を改善してあげれば呼吸がラクになり、不安も和らいでくる というのが私の考えです。

鍼灸師としてフィジカル面から 不安になりやすい人を分析すると、普段から猫背になりがちな人 。さらに、動かないでいることで血液が循環しにくくなり、肩こりやめまいなどの不調も引き起こします。それで「外出時に具合が悪くなるかも」「人に会うのが怖い」と、不安が強まる原因にもなってしまうのです。

呼吸がラクになったり、血流が良くなることを実感できると心は前向きになります。最終的には 「不安をなくしたい」というこだわりも捨てます 。なぜなら、何かにこだわるとき呼吸は速く、浅くなるからです。一方で 内なる欲求と自由に向き合うとき、呼吸はゆっくり深くなっているもの 。呼吸を整えて、心を自由にしてあげましょう。

不安症ではない人も試して!血流と呼吸を整える3つのアクション

自律神経の乱れを防ぐためにも、血流と呼吸を正常に保つことが大切。筋肉を温めてほぐしてあげる3つの習慣を日常に取り入れて、不安を寄せつけない平常心を養って♪

1.散歩 ふくらはぎを鍛えて血流をUP!


ふくらはぎは第2の心臓ともいわれ、血液を心臓に押し返すポンプの役割を果たします。そのため血液が滞留して冷たく、固くなってしまわないように下半身を動かす散歩が有効。朝に散歩すれば太陽の光も浴びることができてセロトニンの分泌も活発に!

2.温活 筋肉を緩めて深い呼吸へと導く!


冷房や外気で体が冷えたり、座り仕事で運動不足になったりすると、ふくらはぎが冷えて固くなり全身の血流が滞る原因に。対策には就寝前の入浴が最適で、温まった深部温度が就寝時に下がることで上質な睡眠がとれて、筋肉の緊張も緩みます。代替案としては足湯もOK。容器に約42℃の熱めのお湯をふくらはぎまで入れて、30分程浸かりましょう。

3.姿勢 呼吸を整えるための基本の体に!


パソコンやスマホを使うことで猫背人口が急増! 姿勢を整えることができれば、呼吸も深くできるようになります。下のイラスト「○」のように背中は反らさず、お尻の穴と頭のてっぺんが直線になるように座るのが正しい姿勢。骨盤を起こすようなイメージ。

パニック発作の予防に!TAKA式丹田(たんでん)呼吸法

丹田というおへその少し下にある部分を意識した、1分でできる腹式呼吸。猫背を矯正して腹式呼吸をしやすい体に変えることが狙い。出勤前や会議前に予防策として試して。

1.まずは、正しい呼吸をするための姿勢作りから。立った姿勢で足を肩幅くらいに開き、「前へならえ」のポーズ をする。


2.腕を「前へならえ」の高さに保ったまま、ひじを曲げて胸元に寄せる。このとき、ひじは浅く曲げるのではなく、背中の肩甲骨も同時に引き寄せるようにしてしっかり胸を張る。


3.胸を張ったまま両ひじを伸ばす。このとき、両腕が地面と平行になるようにするのがポイント。次に手のひらが天井を向くように返す。


4.両腕を体の横に下ろしたまま、拡大図のように手の小指と薬指を曲げて、それ以外の3本の指を伸ばし「鷹の爪ポーズ」を作る。これで胸を張ることができます。肛門をキュッと締めて下腹部を動かしやすくしたら、鼻から息を吸う。


5.肛門はキュッと締めたままで、おへそ下の「丹田」に意識を向けながら口から息を「フーッ」と吐き切る。このとき、手は鷹の爪ポーズをほどいて内側に向けて戻す。その際、猫背にならないよう手は肩からではなく、ひじから下を返すイメージ。

Point

呼吸のPoint
「意識」をピンポン玉のようにイメージし、それを丹田に沈めるように思い浮かべながら息を細く長く、ゆっくりと吐きましょう。吸うときはピンポン玉が自然に上に浮かび上がる感じを思い浮かべる。

6.最後は自然に息を吸って、「気をつけ」の姿勢で終わる。

もし、パニック発作が起こったら!超呼吸法

発作時は脳の扁へん桃とう体たいが興奮&緊張状態なので、深い呼吸はできません。この呼吸法では一気に空気を吸い込むことができるので、「呼吸できない」という脳の認識を書き換えるのに有効。動きもコンパクトで◎。

1.立った姿勢で足を肩幅くらいに開き。両足の爪先を内側に向けて「ハ」の字にする。


2.脱力した状態で、手がひざの辺りに来るくらいまで前屈し、大きく鼻から息を吸う(呼吸は口からでも鼻からでも、やりやすい方でOK)。


3.息を吸ったままの状態で体を起こし、今度は口から「フーッ」と息を吐き切る。

両手が塞がっていてもできる♪ 3ステップ呼吸法

過呼吸のときは空気を吐き切れていないため、吸い込もうと思っても吸えない状態。そこで口を細くすぼめることで空気をたくさん吐けるのがこの呼吸法。運転中やMRI検査など、両手が塞がった場面で活用して。
Ready!
まずは肛門をキュッと締めてからスタート!

1.ストローを吸うときのように口を細くすぼめて、自然に息を吸い込む。

2.吸った空気を心の中で「いーち、にーい、さーん」と自分のテンポで数えながら3回に分けて吐き切る。一度に長く息を吐き切れるようなら3回にこだわらずにOK。

Point

呼吸のPoint
ここでも丹田を意識して、下腹に力が入るように呼吸をします。発作が起きているときは体に力が入っているため、歯を食いしばったり、ハンドルを持つ手に力を入れたりしないように注意しましょう。

3.最後は、口からでも鼻からでも大丈夫なので、自然に息を吸い込む。

『美的』2024年11月号掲載
イラスト/かじぱん 構成/宮田典子、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事