健康・ヘルスケア
2022.8.24

冷えやカフェイン・水分の過剰摂取は尿漏れを起こす?尿漏れの治療法は?【女医に訊く#210】

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尿漏れには、お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう「腹圧性尿失禁」と我慢できずに漏れてしまうのが「切迫性尿失禁」があることがわかりました。では、それぞれどのように予防・治療すればいいのでしょうか? 泌尿器科専門医の藤﨑章子先生に教えていただきました。

冷えやカフェイン・水分の過剰摂取は尿漏れを起こす?

エアコンで体が冷えると、トイレが近くなって尿漏れが怖い…と感じたことはありませんか?

「実際、寒さが刺激になって尿漏れを起こしてしまう人は多いですね」と話すのは、泌尿器科専門医の藤﨑章子先生。尿漏れを防ぐには、体を温めた方がいいのでしょうか?

「漢方医学的な考え方でも、温めると症状がラクになる方は多いですが、みんながみんな温めると良くなるというわけではありません。冬だけ症状が辛い人も多いため、温めた方がラクになる方が多いかな…くらいの感じです」(藤﨑先生)

藤﨑先生によると、切迫性尿失禁はカフェインが刺激となることもあるため、カフェインの摂取を減らすと症状がラクになる方もいるそう。

「健康や美容のためにと、1日に水を34L飲んでいる方も注意が必要です。どんなにいい機能をもつ膀胱でも限界はありますから、それだけ飲んでいれば漏れてしまう人もいます。水を飲む量を半分にしただけで尿漏れが治ったということは結構ありますよ」(藤﨑先生)

腹圧性尿失禁の治療法は?

「腹圧性尿失禁も切迫性尿失禁も、前回ご紹介した骨盤底筋トレーニングで骨盤底筋群を強くしたり、肥満の方は減量をしたりすることで改善が期待できます」と藤﨑先生。では、それでも改善しないときや不満足なときは、どうしたらいいのでしょう?

「腹圧性尿失禁に対しては腟を数cm切り、特殊な針でテープを尿道の下に入れて、不安定になった尿道を支える手術(TVT手術またはTOT手術)を行います。12日の入院は必要ですが、長期成績も良く、腹圧性尿失禁の方にはかなり効果があります」(藤﨑先生)

また、腟の中などからレーザーを当てて、コラーゲンを増やして尿道の支えをサポートする治療法もあります。

「レーザー治療は分厚い尿漏れパットを使用するレベルですと、さすがに効果は厳しい印象ですし、自費診療のため費用はかかりますが、日帰りで受けられて軽度の腹圧性尿失禁には効果があるのでおすすめです」(藤﨑先生)

ただし、年齢を重ねると「腹圧性尿失禁」に加え「切迫性尿失禁」を発症する人も多くみられます。その場合、また別の対応が必要になることもあります。

切迫性尿失禁の治療法は?

一方、切迫性尿失禁の治療には、骨盤底筋トレーニングと薬物療法の併用が有効です。切迫性尿失禁を予防したい場合は、カフェインの摂取量をコントロールし、骨盤底筋トレーニングも行いましょう。

「ボトックス注射による治療を行うケースもあります。尿の出口から細いカメラを入れて、膀胱を見ながら注射するだけなので、入院の必要もありませんし、多くの泌尿器科の病院・クリニックで治療を受けることができます」(藤﨑先生)

尿失禁は生活の質を低下させてしまう病気です。困ったな、辛いなと思ったら、年齢的なこととあきらめずに、泌尿器科医に相談してみましょう。

泌尿器科専門医

藤﨑章子先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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