健康・ヘルスケア
2022.1.12

不安や緊張を感じるとお腹が痛くなる、便秘と下痢を繰り返す…過敏性腸症候群ってどんな病気?【女医に訊く#181】

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会社や学校に行こうとするとお腹がゴロゴロして途中下車してしまったり、下痢と便秘を数日毎に繰り返したりした経験はありませんか? 今回は、10人に1人の割合で発症するといわれている過敏性腸症候群について、日本消化器病学会消化器病専門医の山本真矢先生に教えていただきました。

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群とは、腸に異常が認められないにも関わらず、腹痛や腹部に不快感を感じ、便通異常を起こす病気のこと。主な症状は、緊張や不安があるとお腹が痛くなったり下ったりする、腹痛や腹部の不快感とともに下痢と便秘を数日毎に繰り返す、強い腹痛が続いたあとに大量の粘液が排出されるなど。排便によって軽快しやすく、男性は下痢が、女性は便秘が多い傾向にあります。

「これらの症状が1回だけでしたら腸炎も疑われますが、慢性的に繰り返される場合は過敏性腸症候群かもしれません」と話すのは、日本消化器病学会消化器病専門医の山本真矢先生。

一般的に過敏性腸症候群は、排便に関わるお腹の痛みが、最近3か月以内に平均して1週間のうち少なくとも1日あり、また半年以上続いている状態を言います。

「ただし、過敏性腸症候群は腸に炎症や潰瘍などの病気がないことが前提になります。そのため20歳以上の方には、大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)を受けることをおすすめします」(山本先生)

過敏性腸症候群になる原因は?

「過敏性腸症候群はストレスや腸の知覚過敏、急性胃腸炎の後遺症などが原因で起こるといわれていますが、個人差も大きく、ハッキリとした原因を特定することは困難です」と山本先生。

腸は食べたものを消化・吸収するだけでなく、不要なものを便として排泄するため、蠕動(ぜんどう)運動(筋肉の収縮運動)と知覚機能によって食べたものを肛門の方へ流していきます。この蠕動運動と知覚機能は脳で制御しているため、ストレスから自律神経やホルモンが乱れてしまうと、腸の運動が激しくなりすぎたり知覚過敏状態になったりしてしまうのです。

「過敏性腸症候群の患者さんのなかには、幼い頃からお腹が弱かった、何かあるとお腹がグルグル痛くなったという方も少なくありません。お腹の痛みはさらなる不安を誘発することもありますから、気になる方は一度、消化器内科にご相談ください」(山本先生)

過敏性腸症候群の治療法は?

過敏性腸症候群を治すには、まずは食事や睡眠など生活習慣の改善が重要です。3食を規則的に摂り、暴飲暴食、炭水化物や脂質が多い食事、コーヒー、アルコール、スパイス、喫煙は避けましょう。

「過敏性腸症候群の要因が精神的なものにある場合は、心療内科と併用してカウンセリングを受けながら治療を進めることもあります。ストレスの原因を除外してあげる必要もあるでしょう」(山本先生)

内服薬を使用する場合は、症状に合わせて腸の動きを調節する薬を使用します。

「お腹に激しい痛みを感じる方には蠕動を少し緩和させてあげるような薬を、下痢しやすい人には水分を少し吸収して便を固めるような薬を処方しますが、それも人によって合う合わないがあるため、すり合わせが必要になります。1回試してダメでも、その薬では合わなかったことや効果が感じられなかったことをぜひ医師に伝えてみましょう」(山本先生)

日本消化器病学会消化器病専門医

山本真矢先生

かえで内科・消化器内視鏡クリニック院長。日本内科学会認定内科医。日本消化器病学会消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。厚生労働省認定難病指定医。帝京大学医学部医学科卒業後、総合病院などの消化器内科・内視鏡専門医として約2万件の内視鏡検査・治療の経験を積み、2021年12月より現職。女性スタッフをそろえ、土日祝日の診察・検査も可能にするなど、女性が気軽に安心して通えるクリニックづくりをめざしている。

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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