月経管理アプリやピルの活用で、生理痛・PMSのつらさから解放！【わたしにもできるフェムテックBeauty】月経 ・生理編①
昨今、注目を集めているフェムテック（FemTech）とは、女性（Female）とテクノロジー（Technology）を掛け合わせた造語。一般的に「女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス」を指します。フェムテックの中には、SDGs（持続可能な開発目標）につながるものも多数。例えば、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」や目標5「ジェンダー平等を実現しよう」などは、フェムテックをうまく活用することで実現しやすくなると言えるでしょう。
そこで今回から、SDGs視点のフェムテックを、❶月経・生理、❷妊活・妊よう、❸妊娠・産後、❹プレ更年期・更年期、❺セクシャルウェルネスといった分野ごとに、『美的』ならではの美容発想で深掘りします。フェムテックについて少しでも知識をもち、実践してみるだけで、もっと生きやすく、美しい日常を送れるはず。社会で活躍する女性の皆さんを応援する、選りすぐりの情報を発信していきます。
初回は、女性が社会で活躍する上で切り離せない生理関連の悩みについて。MET BEAUTY CLINICの院長、産婦人科医の福山千代子先生に話を伺いました。
仕事のパフォーマンス低下につながる生理の悩みにフェムテック！
女性の生理痛やPMSなどによる仕事のパフォーマンス低下は、年間約4,900億円もの経済的損失をもたらす計算になるそう。「女性の社会進出や社会貢献が求められる一方で、生理痛やPMSなどが辛くて、思うように行動できない人が多いのも事実です。しかも、そういった生理のトラブルを抱えていても婦人科を受診せず、我慢して過ごしている人が多数。そんな人に、ぜひフェムテックを活用してほしいものです。私は、広義で産婦人科こそフェムテックの集まりだと思っています。かかりつけの婦人科をもつことがフェムテックの第１歩です」（福山先生・以下同）
「生理痛やPMSの悩みを緩和するフェムテックと言えば、まず低用量・超低用量ピル。生理痛もPMSも生理があるたびに起こるものなので、ピルで排卵を抑えて生理をコントロールすれば、辛い痛みや不調を大幅に軽減できます。
また、初潮の頃から生理痛がひどい人は子宮内膜症になる確率が高いことがわかっています。子宮内膜症は、生理のたびに厚くなる子宮内膜が卵巣や腹膜など子宮以外の部位で増殖、剥離を繰り返す病気。子宮内膜症の人の7割は不妊症と言われています。そのためピルを服用して生理をコントロールすることは、将来的に不妊になる可能性の低減にもつながるわけです」
ピルは卵胞ホルモンの含有量によって低用量（1錠に30〜40μg）、超低用量（1錠に20μg）に分類される。生理痛など月経困難症の改善には、保険適用の超低用量ピルが使用されることが多い。写真はヤーズフレックス（右）、ルナベルULD（左）。いずれも超低用量ピルで、相場は1シート￥2,000〜3,000。
「最近、ピルはオンラインでも購入できますが、ピルにも種類があって、その人の悩みや目的・ライフスタイルなどによって合うものが違うので、やはり最初は婦人科をきちんと受診し、最適なものを処方してもらいましょう」
生理周期や体調をアプリで管理しておけば、婦人科トラブルを未然に防ぐことも可能
「生理痛やPMSなどに悩まされているにもかかわらず、自分の生理周期をはっきり把握していない人は意外に多いようです。毎朝、基礎体温を測って記録、グラフ化していれば、排卵日がわかって、生理日も予測できます。そうすれば、痛みや不調がひどくなる前に痛み止めを飲んでおくなどの予防が可能。また、排卵がなかったり、生理周期が乱れていたりなどの異常も基礎体温を記録することでセルフチェックできます。妊活中でなくても、自分の体温リズムから排卵の有る無しを確認しておくことはとても大事。スマホで簡単に入力できる月経管理アプリを使えば、基礎体温の記録やグラフ化をスムースにできます」
ルナルナアプリ
20年以上前から女性の体と心に寄り添ってきたフェムテックの先駆け
生理日や体調を記録して管理できるほか、次の生理日や排卵日の予測、妊娠の可能性、生理周期に合わせた体、心、肌、ダイエットなどの情報も見やすく満載（右画面）。「ピル(OC/LEP)」モードに進めば（左画面）、ピルの服薬状況や服薬に伴う体調の変化の記録・管理もできる。
ソフィアプリ
シンプルな操作＆すっきりと見やすい画面で、生理も体調も簡単管理
生理日や体調をワンタッチで記録でき、生理や排卵予定日も一目瞭然。タイプや体調に合わせた食事・運動・生活習慣のアドバイス、生理痛やPMSの軽減をサポートする情報も。
このほかにも、無料で使えるさまざまな月経管理アプリがあるので、自分にとっての使いやすさや用途に合うコンテンツ、サポートの充実さなどを基準に選択を。憂鬱な生理と上手に付き合っていくためのお助けツールになってくれるはずです。
イラスト／リバー・リー（Softdesign） 構成／つつみゆかり
※価格表記に関して：2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
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ふくやまちよこ／金沢医科大学医学部卒。日本産科婦人科学会専門医。20年以上にわたり女性特有の体の悩みや不調に向き合い、生理痛やPMSなどの治療も積極的に行う。2023年春、美容皮膚科×婦人科×メディテーションの3本軸で本質的な美へとアプローチする「MET BEAUYT CLINIC」の理事長・院長に就任。