足の専門医に聞く、足の裏や指が痛い「原因と対処法」
足の裏や指の付け根に違和感があったり、痛かったりすることはありませんか?実はそれ、病気や足の老化が原因かも……。本記事では、専門の医師に聞いた「足の裏の痛み」の原因や対処法などをお届けします。適切なトレーニングを行って、いつまでも健康な足をキープしましょう!
足の裏が痛いのはなぜ?病気のサイン?
- 「足の裏が痛くなる原因として考えられる病気はいくつかあります」(菊池守先生・以下「」内同)
痛くなる場所で原因が異なる?
【1】足の裏
■胼胝(べんち)・鶏眼(けいがん)
「手にペンダコができるように、足の裏にも歩くことによってタコができます。それがひとつ目は胼胝(べんち)や鶏眼(けいがん)。胼胝はいわゆるタコで、圧や摩擦が繰り返し起こることで皮膚が肥厚する症状です。鶏眼は俗称、魚の目。中心に芯が見えるので、俗に魚の目と呼ばれていますが、魚の目も胼胝の一種です。タコは角質の肥厚が外部に膨らんだもの、魚の目は角質の肥厚が内部に食い込んだものです」
【原因】
「これらは、フィットしない靴を履くことや、足の趾の変形によって慢性的に皮膚への圧や摩擦が起きる部分に発生しやすいのも特徴で、毎日の歩行によって負担が積み重なってできるものです。これが大きくなると足の裏に小石やおはじきを入れているようなものなの。母趾(親指)の趾腹(指の腹)や母趾と第2趾(人差し指)の間の付け根のところ、第5趾(小指)の外側などに縦に胼胝ができることで、痛みが出ます」
■足裏の脂肪の減少
「ふたつ目は足の裏のクッションとなる脂肪の減少が原因となるものです」
【原因】
「日常的に歩行というストレスにさらされている中で、徐々に足の裏の脂肪が減ってきます。それによって、踵や足指の付け根の骨が地面に直接ぶつかるようになり、痛みを感じるようになることがあります。特に素足やヒールの高い靴を履いているときに症状が出やすくなります」
【2】足指の付け根
■モートン病
「3つ目がモートン病です。足指の付け根の間の神経が腫れて、知覚過敏のようになってズキッと痛むのがモートン病の症状です。足の中指と薬指の間にできることが多く、歩きはじめや、長く歩くと前足部が痛くなってくる人や2、3、4番目の指が痺れてくるという人は要注意です」
【原因】
「足趾(足の指)へと向かう神経が付け根の部分で圧迫を受けることで生じる神経障害です。ハイヒールなど爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、爪先立ちの姿勢が長時間続く、外反母趾などの骨の形態異常で慢性的に神経が圧迫されることが原因で起こります」
【3】外反母趾
「足の親指が小指の方向に曲がることで、つけ根の部分が出っ張った状態です。しかし、単に親指の変形だけでなく、そのほかの指の変形や痛みにもつながることがあり、足全体の変形と捉えられています」
【原因】
「靴、遺伝、扁平足、過度の柔軟性など。つま先が細くなったり、ヒールの高い靴は外反母趾を起こしやすいです。そして、外反母趾は女性にできることが多く、遺伝することもあります。生まれつきの足の骨格構造が影響したり、外反母趾になりやすい人もいます」
足裏が痛いときの対処法&セルフケア
■胼胝(べんち)・鶏眼(けいがん)の場合
「足底の胼胝や鶏眼は、1度取ってしまえば終わりという訳ではなく、繰り返しできてしまうことが多いです。ですから、日常のケアが大切です。溜まってから削るのではなく、痛いところにパッドを貼ったり、余計な圧や摩擦を減らすために、オーダーメイドのインソールを作成することで痛みを軽減したり、定期的なセルフケアで痛みを改善させることが可能です」
■足裏の脂肪の減少の場合
「特に“最近フローリングを歩くのが辛くなってきた”という人は、ルームシューズやパッドの入ったルームソックスを履くのも対処法としておすすめです。そのほかにもクッション性のあるインソールを靴に入れる、足裏の前部分にパッドをつけるなども予防法です」
足も老化する?実態と対策
足老化の実態とは?
加齢と緩んだライフスタイルが重なると足の3つのアーチがつぶれて、幅広足に!
立体的だったはずの足形が、加齢と運動不足などにより、引力で下に落ちて、偏平になっていく…。丸いお団子を上からプレスしてつぶれた状態を想像するとわかりやすいでしょう。靴の横幅のサイズ指標でいうと、日本人女性の平均はE。これが2Eや3Eになっていきます。さらに体重が増し脂肪がつくと、靴から肉がはみ出る「ハミ肉」状態になる危険もはらんでいます。
【1】足老化はココから始まる!アキレス腱
脚のふくらはぎの筋肉と、足のかかとをつなぐ要となる組織。アキレス腱が固いと、足のスムースな動作を妨げるため、アーチがつぶれやすくなる。また脚の血行を妨げるため、足と脚全体の老化が進みやすくなってしまう。
【2】内側の縦アーチがつぶれる
かかとと親指のつけ根を結ぶ内側の縦アーチ。ここが落ちることで「偏平足に」。加齢と共に落ちやすい。
【3】外側の縦アーチがつぶれる
かかとと小指のつけ根を結ぶ外側の縦アーチ。低めなので、つぶれても形にはそれほど影響しない。
【4】横アーチがつぶれる
5本の指のつけ根を結ぶアーチ。横アーチが落ちると、足の横幅が広がった「開張足」に。
【トレーニングその1】足の若さを守る「アキレス腱伸ばし」
下北沢病院 院長・医師 医療法人社団青泉会
菊池守先生
2000年大阪大学医学部卒業。アメリカ・ジョージタウン大学創傷治癒センターに留学した際、足病学に出会う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授を経て、日本初の足の総合病院「下北沢病院」開設後院長就任、現在に至る。
年齢に関係なく、いつまでも自分の足で歩くための「足の若返りメソッド」を考案。多くのメディアにも取り上げられている。
【STEP1】
壁の前に立ち、両手を壁に当てる。片方の足を1歩後ろに下げる。爪先はまっすぐ前に向け、両足ともかかとを浮かさない。
【STEP2】
壁に体重をかけ、前側の足のひざをゆっくりと曲げる。アキレス腱が伸びていることを実感しながら、そのまま30〜60秒キープ。足を入れ替えて各5回ずつ行って。
\NG/
- 爪先が前を向いていない
- 後ろ足のひざが曲がっている
- 反動をつけている
【トレーニングその2】アーチを引き上げる筋肉を鍛える
イスに座り、足の裏を床につける。
爪先を外側に少しだけ向ける。
小指とかかとを床につけ、親指側を浮かせて足首を内側へ動かす。
【トレーニングその3】足指を動かす筋肉を鍛える
アーチをつぶれにくくする筋肉を鍛えます。トレーニングBに続けて座って行いましょう。左右同時に各5回。
【STEP1】
足裏を床につけたまま、すべての足指を反らす。
【STEP2】
そのまま親指だけを下す。ほかの指は反らした状態をキープする。
【STEP3】
親指以外の指も下ろしたら、床をつかむ感覚ですべての指を内側に折り曲げ、そのまま爪先をもち上げる。
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
2000年大阪大学医学部卒業。アメリカ・ジョージタウン大学創傷治癒センターに留学した際、足病学に出会う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院形成外科診療准教授を経て、日本初の足の総合病院「下北沢病院」開設後院長就任、現在に至る。
年齢に関係なく、いつまでも自分の足で歩くための「足の若返りメソッド」を考案。多くのメディアにも取り上げられている。