ヘアのお悩み
2020.6.11

頭皮のできものが痛い・かゆい…その原因は?正しいケア方法や薬などを医師が解説

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頭皮にできものがあると、かゆくてイライラしたり、かさぶたできて大きなフケみたいに見えたり…。いちはやく健康な頭皮を取り戻したいですよね。そこで今回は、『飯田橋駅前さくら坂クリニック』院長の小谷医師に、頭皮のできものについて原因から対処法まで教えていただきました。

 

『飯田橋駅前さくら坂クリニック』院長

小谷 和弘(こたに・かずひろ)先生


飯田橋駅前さくら坂クリニック ▶︎

 

赤い、かゆい、痛い、かさぶたになるなど…頭皮にできるできもの どんな種類がある? 原因は?

「地肌がかゆいと思ったら、赤いプツプツが…これってなんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか? 頭皮のできものといっても、その種類はさまざま。放って置いても、すぐに治るものもあればすぐにでも皮膚科に行くべきものも。代表的な頭皮のできものについて伺いました。

丘疹(きゅうしん)・・・かゆみが伴う、水ぶくれになりやすい

「頭皮のできもの、湿疹でいちばん代表的なのが丘疹。しかし丘疹とひと言で言っても、ポツンと盛り上がっていたり、じくじくしていたり、水ぶくれになっていたりと、その症状はいろいろです。かゆみを伴うことが多いんですが、かきむしってしまうと湿疹が広範囲に広がったり、膿んでしまったりとドンドンひどくなってしまいます。少しプチっとなってるかな…くらいの軽いうちに病院で診てもらうと、治りが早いですよ」(小谷医師・以下「」内同)。いわゆる頭皮ニキビも、この丘疹になります。

毛のう炎、毛包炎・・・かゆみや痛みは伴わない

黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などが毛穴に入り込んで、毛穴が赤くブツブツとした状態になったもの。「ふつうは何もしなくても、数日経てば治ります」

腫瘍・・・皮膚がんの可能性があるできものは?

“ぷくっと盛り上がっているけど、これって腫瘍かな…”などと、頭にできものがあると心配になりますよね。すぐに病院に行ったほうがいい頭皮の腫瘍とは、どんなものがあるのでしょうか。

「日本人の場合、頭皮に限らず体にできる腫瘍の99%は良性です。ですので、頭皮になにかできているからといって、必要以上に心配する必要はありません。ただし、中にはそのままにすると“できたら必ず死ぬ”と言ってもいいくらい危険なものも…」

たとえば、“血管肉腫”という、70代~90代の人が罹患しやすい頭部のみにできる腫瘍や、初期段階ではホクロと見分けがつきにくい悪性黒色腫(メラノーマ)は、生存率が低い悪性腫瘍なのだそう。

「頭だけではなく、皮膚表面にできたときに悪性腫瘍を疑うべきものは、盛り上がった部分から血がよく出る、ドンドン大きくなるといったもの。また、生まれつきのアザなので悪性ではないと思っていても、最近血が出てきたといった場合も、すぐに病院へ。

皮膚表面ではなく、皮下にしこりのようなものができた、リンパが腫れたなどの場合も要注意です」

 

頭皮にできものができる原因&正しいケア方法は?

「頭皮に湿疹ができる原因となるのが、汗などの外的刺激。それと、シャンプーでゴシゴシとこすりすぎて頭皮を傷つけていたり、すすぎ残しがあるなど洗髪方法が悪いのも、原因にあげられますね」(小谷医師・以下「」内同)

汗をかいたらしっかり洗い流す、枕カバーなど髪に触れるものはつねに清潔にする、シャンプーはしっかりと泡立てて力を入れずに洗うといったことを心がけましょう。

「腫瘍の場合は、生まれつきのアザのような種類のものもありますが、通常は年齢とともにできるリスクがあがります」良性の腫瘍の場合、原因がはっきりとわかっていないものも多いそうです。

頭皮湿疹の5つの原因

頭皮のかゆみや赤みが気になるなど…頭皮トラブルに悩んでいる人は多いもの。そこで頭皮湿疹の原因と対策、生活習慣での改善方法から、皮膚科での治療までを引き続き小谷医師に教えていただきました。

\かゆみ、赤みなど頭皮のトラブルは“頭皮湿疹”かも!その原因は?/ 毎日きちんとシャンプーをしているのに、頭皮がかゆい、フケが出る、なんだかニオイが気になるなど…地肌にトラブルが起きてしまうのはなぜでしょうか。小谷医師によると、原因は主に以下の5つだそう。

■脂漏性皮膚炎
「20代~30代に多く、皮脂が増加することによって起こります。誰の皮膚にも“マラセチア菌”という常在菌が存在していますが、これは皮脂をエサにしている菌。皮脂が過剰に増加すると、マラセチア菌も大量に繁殖してしまいます。マラセチア菌は皮脂を遊離脂肪酸に分解する働きがあり、脂肪酸が刺激となって皮膚に炎症を引き起こす。炎症を起こすと湿疹やかゆみが出るだけでなく、皮膚が通常のターンオーバーよりも早めに剥がれるのでフケが目立つように。また、皮脂が酸化して嫌なニオイを引き起こします」

頭皮トラブルで小谷医師の元を訪れる患者さんのうち、半分くらいの方はこの脂漏性皮膚炎なのだそう。原因は「体質的なものもありますが、生活習慣も大きな原因です。ハードワークやストレスで夜でも交感神経が優位になってしまっていたり、カフェインの含まれる飲み物やお酒の飲み過ぎ、糖質の摂り過ぎ、刺激物もNG。夜更かしや睡眠不足も皮脂を分泌させてしまいます」交感神経が優位だと、男性ホルモンが増えるので皮脂の分泌も増えるんだそう。ストレスがあると、“大人ニキビ”ができてしまうのもこの理由からなんですね。

■膿痂(のうか)湿疹
「これはいわゆる、“とびひ”と言われる湿疹の仲間です。誰でも、軽い炎症でかゆみが出る、というのは起こりがちですよね。かゆいからと、頭を強く引っ掻いて爪で傷をつけてしまうと、傷から細菌が入り感染してしまう。この膿痂湿疹になると、フケが尋常じゃないほど分厚くなりますので、早めに病院でお薬をもらってください」
膿痂湿疹で病院を訪れる人も、かなり多いそう。頭がかゆいからと、爪を立てて力いっぱい掻くのはNGです。

■アトピー性皮膚炎
生まれつき皮膚のバリア機能が弱く、肌が乾燥していてかゆみや湿疹を引き起こしやすい体質の場合、頭皮もかゆみが出たり、乾燥によるフケが出たりします。
「ただし、アトピー性皮膚炎の場合、頭だけがかゆい、乾燥するといったことはなく、全身に症状が出ます。なので、ご自身でも頭のかゆみやカサブタが頭皮湿疹かアトピーか、すぐに見分けがつくと思いますよ」

■接触性皮膚炎
「いわゆる“かぶれ”ですね。頭皮の接触性皮膚炎でいちばん多いのは、毛染めでしょう」一般的な染毛剤だけでなく、一見髪に優しそうなヘナ染めも、実は要注意なのだそうです。
「よく草などでかぶれる植物性アレルギーがある人は、ヘナ染めも要注意です」
ほかにも、シャンプーのすすぎ残しや、ワックスなどの整髪料でかぶれるというものよくあるパターンだそうです。

■頭皮の乾燥(皮脂欠乏性皮膚炎)
皮膚を覆う皮脂の膜が減ることにより、水分もキープできず乾燥してしまう症状です。
「ただし、頭皮はほかの皮膚に比べたら、皮脂量がとても多い場所。皮脂欠乏性皮膚炎になることはあまりないと思います」

\頭皮湿疹の正しいケア方法は?/ では、頭皮に湿疹が生じた場合、どのように対処すべきでしょうか。自分でできるセルフケアから、病院での治療まで伺いました。皮膚科医がおすすめするシャンプーと正しいシャンプーのやり方は?

頭皮湿疹ができてしまった場合、シャンプーは?
「大切なのは、頭皮の脂をしっかりと落とすことです。シャンプーも、地肌の汚れをしっかり落とせる種類のものを選びましょう」シャンプーにはダメージケア、くせ毛ケアなどさまざまですが、“スカルプケア”を謳っているものをチョイスしましょう。また、頭皮をあまりこすらないということも大切。ゴシゴシと力を入れてしまうと、傷ができる可能性があるためです。すると、さらに湿疹が悪化することに。泡そのものに汚れを吸い取ってくれる作用があるので、しっかりと泡立てて、“なでるだけ”で十分に汚れは落ちていますよ」

頭皮湿疹の種類がなんであれ、この方法がおすすめだそうです。

 

 

皮膚科で処方される飲み薬&塗り薬・市販のおすすめも

塗り薬&飲み薬で早めのケアを!

『飯田橋駅前さくら坂クリニック』で頭皮湿疹の患者さんによく出す薬は、以下のものが多いそうです。

<塗り薬>
・アンテベートローション0.05%・・・皮膚の炎症を抑えるステロイド剤
・ニゾラールローション2%・・・脂漏性皮膚炎など、細菌性の炎症やかゆみを抑える薬

<飲み薬>
・アレロック、アレジオン・・・いわゆる抗ヒスタミン薬。アレルギー症状の原因となるヒスタミンを抑える。アレルギー性皮膚炎、湿疹、蕁麻疹、花粉症などに用いられる。

「かゆみが出たら、早めに病院の薬を飲んだり、塗ったりすることがいちばんだと思います。膿痂湿疹でお話したように、誰でもよく起きる軽い炎症を、掻いて悪化させてしまって病院を訪れる人が本当に多い。ボヤの段階で火を消すべきなのに、自分で火に油を注いで山火事になってしまっている…という感じです。ひどくなってからだと治りも遅いもの。“このくらいで”と思わず、早めに病院に行ってください」(小谷医師)

\市販のかゆみ止めやローション/ 病院に行く時間がなかなか取れない、という人にはドラッグストアなどで買える市販薬が強い味方。頭皮湿疹のための塗り薬を2つ紹介します。ただし、小谷医師曰く「市販薬は、病院の薬に比べてどうしても効き目が弱いので、市販薬でなかなか治らない場合は、なるべく早めに病院へ行ってください」とのことです。

池田模範堂|ムヒHDm(第2類医薬品)
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価格容量
¥1,200 30ml

 

 

なるべく早めに皮膚科へ

軽い頭皮湿疹は、誰にでも起きるもの。そのほとんどが、「ちょっとかゆいな」、「ここだけプツっとしてるな」程度で、数日経てば自然とよくなっているそう。なのに、なかなか治らないという場合、その多くがかきむしって頭皮を傷をつけてしまっているため。すると、そこから細菌が感染し炎症が拡大、症状が悪化してしまうのです。

「頭皮のできものや湿疹で大切なことは、なるべく早めに治すということ。症状が軽いうちなら、薬ですぐに治りますよ。それに、皮膚科でもらった薬を常備しておけば、“頭がかゆい”と思ったときに、ささっと塗布することもできるので、このくらいでと思わずに早めに皮膚科を受診してください」(小谷医師)

頭皮のできものにはさまざまな種類があることがわかりました。いずれにせよ、面倒がらずに早めに皮膚科を受診するほうがいいようです。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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