“肝活”の第一人者に聞く! 肝臓の働きとは? キレイになるための食べ方ルールも紹介

「免疫力アップ」「デトックス」「やせ体質になる」「肌の透明感を高める」思わず飛びつきたくなる美と健康のキーワード。これをぜ~んぶかなえてくれるカギが“肝臓”なんです!
健康だけでなく美容にも大きく関わる肝臓の重要な働きって?
その“なんとなく不調”は肝臓のSOSかも!?
ダイエットをしても体重が落ちない、1日無理をすると3日は疲れが取れない、風邪が長引く…。美的世代に“あるある”なお悩み、実は肝機能の低下が原因かもしれません。
「肝臓は人体の代謝・解毒・免疫などをつかさどる、文字どおり“体の肝”となる臓器。肝機能の低下というとお酒の飲みすぎと考えがちですが、美的世代は糖質過多などの食習慣がもとで肝臓に脂肪をため込む“脂肪肝”のリスクが高いのです。太っておらず自覚症状もない成人の3人にひとりが脂肪肝だと推測されます」と肝臓外科医の尾形哲先生。
そこで美的世代も意識したいのが、尾形先生が提唱する“肝活”です。
「肝活とは、肝臓をいたわる食事を主とする、肝臓の機能をより良い状態に導くメソッドのことです。肝臓が元気になれば全身の代謝や解毒、免疫機能が高まって自然と体重が落ち、疲れにくく、肌の透明感も増してキレイになれます。肝活をすると、脂肪肝リスクと共に飲みすぎによる気になるところもスルッと落ちるはず! まずは食べ方ルールやレシピを参考に、3か月肝活を続けてみましょう。少しずつ体調に変化が現れるはずです」(尾形先生)
免疫
消化管から侵入した細菌やウイルスをブロック
細菌やウイルス、カビなど異物を食べて攻撃するマクロファージの一種「クッパー細胞」の80%は肝臓に存在。肝機能を高めることで感染しにくく、回復しやすくなる。
解毒
体内に入った有害物質を無毒化する浄化フィルター
アルコールや薬などを分解して無毒化したり、老廃物を尿の中へ排出させるなどの働きをもつ。解毒力が上がると疲労物質が取り除かれてだるさも取れ、疲れにくくなる。
代謝
全臓器で最大となる基礎代謝の27%を消費
肝臓は腸で吸収された栄養素を細胞で使える形に加工し、血液を通して全身に送る。この働きが代謝。代謝が上がると糖をエネルギーに変えるのでやせやすくなり、肌のくすみも改善。
胆汁の生成・分泌
脂肪の消化や脂溶性ビタミンの吸収に重要な役割を果たす
肝臓で生成される胆汁は、脂肪を消化・吸収しやすい状態にしたり、脂溶性ビタミンの吸収をサポート。ただ肝機能が落ちていると胆汁への排泄ができず、胃もたれや食欲不振の原因に。
肝臓が元気になれば24時間勝手に脂肪が落ちやすい体に! 肝臓をいたわってキレイになる食べ方ルール
肝臓に脂肪がたまる最大の理由は「糖質」のとりすぎです。この4つのルールを普段の食事に取り入れるだけで肝機能は改善し、イキイキと健康的にやせていきます。
01 スポーツドリンク・清涼飲料水・エナジードリンクなどの甘い飲み物は避ける
普段の飲み物は水、お茶、ブラックコーヒーに
4つのルールの中でも“これだけは守ってほしい”のが、炭酸飲料やスポドリ、栄養ドリンクなど甘い飲み物(加糖飲料)をとりすぎないことです。これらに含まれる果糖ブドウ糖液糖は、肝臓の脂肪化に直結。飲料を見直すだけで肝機能改善が見られる人も!
02 1食20gのたんぱく質をとる
魚やお肉の量は手のひらに乗る100gが1食の目安
糖の最大の貯蔵庫である筋肉が減ると、処理し切れない糖が中性脂肪として肝臓に蓄積。筋肉の材料となるたんぱく質を積極的にとりましょう。1日に必要なたんぱく質は体重1kg当たり1g。60kgの人なら1日60g、3食に分けると1回20gが目安です。肉や魚なら100g分で約20gのたんぱく質がとれます。
03 野菜やきのこ、海藻など食物繊維はモリモリ食べる
スープにするとたっぷりとりやすい
食物繊維不足は便秘の原因に。便が腸内に停滞すると毒素が増え、有害物質を解毒する肝臓に負担がかかります。野菜は1日350gを目安に、きのこや海藻も加えてたっぷり取り入れて。具だくさんスープやみそ汁にすると、簡単に量をとりやすいのでおすすめです。
04 水は1日1.5L飲む
効率良く代謝を促せば肝臓も元気になる
水を飲むと一時的に代謝率が上昇し、エネルギー消費がアップ。排泄機能も高まって肝臓の負担も減らせます。1日1.5Lを目安に水分をとりましょう。ただし一度に飲んでも効果は上がらないので、起床後、食前、入浴前後などタイミングを決めて飲むのがコツ。
『美的』2025年6月号掲載
撮影/よねくらりょう スタイリスト/大島有華 スタイリング協力/UTUWA レシピ制作・調理/大島菊枝 イラスト/oyasmur 構成/野村サチコ、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
おがたさとし/佐久市立国保浅間総合病院 外科部長。同院にて肥満・脂肪肝治療専門の「スマート外来」を立ち上げ、肝臓をいたわる重要性を説く。著書に『肝臓から脂肪を落とす!肝活レシピ』(新星出版社)など。