歯茎が下がってしまう原因は?元に戻す方法はある?【教えてドクター#15】

歯茎からの出血や歯茎の下がり、後退が気になってはいませんか? 歯茎退縮の原因や治療法、予防法について、歯科医の関 有美子先生に教えていただきました。
歯みがきで歯茎から出血してしまうのはなぜ?
最近、歯みがきをすると歯茎から血が出たり水がしみたりするのですが、これって虫歯でしょうか?
「まず、出血としみるという症状は別のものと捉えることが大切です。歯を磨いたときに出血するということは、歯茎が炎症を起こしている状態。炎症を起こしていると容易に出血します。炎症の原因は歯肉炎、歯周病であることが多いです」(関先生)
では、歯みがきで水がしみる原因は何が考えられますか?
「歯そのものが楔状(くさびじょう)に削れてしまい、象牙質が露出しているのかもしれません。楔状欠損の原因は年齢にもよりますが、若い方は歯ぎしりによる力が歯の根元に集中していることが多い体感です」(関先生)
1分以内に症状が消失するようなら、知覚過敏の可能性も考えられます。知覚過敏の場合、特に診察では異常は見られないものの、冷たい風でしみることもあります。
歯茎が下がってしまう原因は?
歯ぎしりや食いしばりによって⻭茎が下がってしまうって本当ですか?
「本当です。歯ぎしりがすごいと、歯の根本に力がかかり、歯が少しずつ楔状に欠けていきます。それと同時に歯茎にも力が加わるため、歯茎が下がる『歯肉退縮』が起こりやすくなります」(関先生)
どのような症状が出たら受診すべきですか?
「どの症状でも来ていただいて大丈夫です。知覚過敏も歯肉炎も、楔状欠損もすべて治療すべきものなので、気になった時点で来院していただけたらと思います」(関先生)
思い当たる症状がある人は、悪化する前にできるだけ早く歯科医に相談してみましょう。
歯肉退縮を防ぐ方法はある?
⻭茎が下がってくるのを予防する方法はありますか?
「歯肉炎や歯周病が原因の場合、まずは歯肉を健康に戻すことを目標にしましょう。主に歯みがきの方法が間違っている方が多いです。一度でもクリニックに行って正しい歯みがきの方法や歯ブラシ、ハミガキ剤、フロスの使い方を教えてもらうのがいいと思います」(関先生)
楔状欠損が原因の場合はどうしたらいいですか?
「夜に装着するナイトガードという歯ぎしりを緩和してくれる道具や、スポーツ選手でしたらマウスガードというのを作ってもらうのがいいと思います」(関先生)
一度下がってしまった歯茎を自力で元の状態に戻すことは難しく、歯肉の移植手術や歯科用ヒアルロン酸の注入などの治療が必要になるため、予防はとても大切です。歯茎の色や弾力にも注目して、毎日しっかりケアしましょう。
文/清瀧流美 ※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
1985年、愛知県生まれ。歯科医師。東京医科歯科大学卒業後、同大大学院に。学生時代からモデル、エステティシャンとしても活動していた経験を生かし、「治すだけでなく前よりも美しく」という考えを元に歯科医療に携わる。現役歯科医として勤務する傍ら、『CanCam』などの女性誌やバラエティ番組など、メディア出演も数多い。主な著書に『乙女のモテ小顔レッスン』(幻冬舎)。