お悩み別ケア
2023.9.16

セラミドの種類・効果|おすすめコスメ【美容成分大全】

セラミドはスフィンゴ脂質という特殊な構造をした脂質の1つです。肌の角層細胞の間を埋めるセメントのような働きをする細胞間脂質の大部分はセラミドでできています。角層内部の水分をはさみ込みとどめる性質を持ち、肌のバリア機能を担っています。日本化粧品検定協会が美容成分をくわしく解説する【美容成分大全】。成分を正しく理解して、コスメ選びの参考に!

プロフィール

成分名 セラミド
表示名称 セラミドNG(セラミド2)、セラミドNP(セラミド3)、セレブロシド、グルコシルセラミド、セチルPGヒドロキシエチルパルタミドなど
主な配合アイテム スキンケア、ヘアケア、ボディケア
成分のはたらき 保湿、バリア機能改善、毛髪ダメージ改善
医薬部外品としての効能効果

「効果・働き」3つ

  • 保湿
  • バリア機能改善
  • 毛髪ダメージ改善

1:保湿

肌の角層には細胞間脂質というものがあり、角層細胞同士の隙間を埋めてお互いをしっかりくっつける役目をしています。この細胞間脂質の主成分がセラミドです。セラミドは油となじみやすい部分(親油基)と水となじみやすい部分(親水基)を両方持つ特殊な構造をしており、親油基・親水基と仲のよい部分が向き合うようにして、他の細胞間脂質の成分とともに、まるでミルフィーユのように層状に規則正しく並んでいます。

そして、親水基の部分には、水分をはさみこむように存在し、角層の内部に水分をしっかりと保持しています。セラミドを補うことで、水分をしっかりとはさみこむ保湿作用により、肌の乾燥を防ぎ、きめを整え、やわらかな肌に導く効果が期待できます。

2:バリア機能改善

細胞間脂質は、角層細胞同士をしっかりとくっつけることで、皮膚内部からの水分が蒸発することを防ぐとともに、外部からの異物が肌の内部に入りこまないよう、バリアの役割を果たしています。

加齢やターンオーバーの乱れなどにより細胞間脂質の量が減少することで、このバリア機能も低下し、肌が乾燥しやすくなったり、外部からの刺激に対して敏感になったりします。セラミドを補うことで、肌本来のバリア機能を改善します。バリア機能を改善することで肌のうるおいを守り、外部の刺激から肌を守ります。

3:毛髪ダメージ改善

表面を覆うことで毛髪を乾燥や摩擦から保護する「キューティクル」、その内側で大部分を占め、太さや強度に影響する「コルテックス」、中心にある柔らかく産毛にはない「メデュラ」の3つで毛髪は構成されています。

キューティクルとコルテックスの間には細胞膜複合体(CMC)が存在し、キューティクルを接着させたり髪内部を保護したりする役目をしています。このCMCの構成成分の一つがセラミドで、パーマ剤やヘアカラー剤に含まれるアルカリ性物質により流出してしまいます。

パーマやヘアカラーでダメージを受けた髪にセラミドを補うことで、毛髪を内側から補修したりキューティクルの剥がれを改善し、しなやかさ、やわらかさを回復することが期待できます。

セラミドの「種類・特徴・違い」

化粧品に配合されるセラミドはヒト型、動物型、植物型、疑似型の4種類に分けられ、それぞれ特徴があります。全般的に水に溶けにくく高温まで加熱しないと化粧品に配合しにくいのですが、肌なじみが良いという特徴があります。動物型やヒト型は原料として高価ですが、合成によりつくられる疑似型は価格面に優れるという特徴もあります。

ヒト型セラミド

●セラミドEOP(セラミド1)
細胞間脂質の結合を強化し、バリア機能を維持や肌の弾力を高めるはたらきがあります。乾燥肌やエイジングケア向けによいとされています。不足すると角化症、魚鱗癬、アトピー性皮膚炎に関係すると言われています。

●セラミドNG(セラミド2)
皮膚および毛髪に存在するセラミドと同じ構造を持ち、セラミドの中でも特に保水の役割を持っています。保湿や肌荒れ防止によいとされています。

●セラミドNP(セラミド3)
保湿効果やバリア機能の改善効果に優れます。敏感肌用によいとされています。

●セラミドEOH(セラミド4)、セラミドAG(セラミド5)
角層の機能をサポートします。

●セラミドAP(セラミド6)
角質剥離作用のあるα-ヒドロキシ酸が結合した構造を持っているので、不要になった角質が剥がれ落ちやすくなる働きが期待され、なめらかな肌に導いてくれます。

動物型セラミド

●セレブロシド(ウマスフィンゴ脂質)
ウマの脊髄から得られるスフィンゴ脂質で「天然セラミド」の1つです。細胞間脂質のセラミドを補い表皮の構造を改善することで皮膚のバリア機能を向上させます。セレブロシドが化粧品の表示名称です。

植物型セラミド

●コメヌカスフィンゴ糖脂質
コメヌカより抽出精製された植物性スフィンゴ糖脂質です。バリア機能を強化することで保湿効果や肌荒れ防止効果があり、線維芽細胞賦活作用としての効果もあります。

●グルコシルセラミド
スフィンゴ糖脂質の一種で、セラミドにグルコースが結合したものです。小麦、米、トウモロコシ、大豆、コンニャクイモ等に多く含まれていて植物性グルコシルセラミドといいます。グルコシルセラミドは顆粒層の細胞の中にある層板顆粒に蓄積されたのち、角層に移動する際に角層細胞間に放出され、細胞間脂質の構成成分であるセラミドになります。

疑似型セラミド

●セチルPGヒドロキシエチルパルタミド
花王が独自に開発した合成のセラミド機能成分で、肌表面で人のセラミドに近い働きをしてくれる保湿成分です。効果は天然のセラミドに劣りますが、低コストなので使いやすい特徴があります。

美容賢者からの「アドバイス」

日本化粧品検定協会代表理事

小西 さやか


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化粧品への配合もしやすくなっている!

セラミドは溶ける温度が高い脂質なので、化粧水などの水系のアイテムには配合が難しい成分です。しかし、リポソーム化などの技術により化粧水などに配合する工夫がされています。

「ナイアシンアミド」との違いは? 併用はOK?

ナイアシンアミドは、表皮のセラミドの生成を促進させ、皮膚のバリア機能を改善させる成分です。今回紹介したセラミドは、外からセラミドを補うことを目的としているため、ナイアシンアミドとの併用してもよいでしょう。

「レチノール」との違いは? 併用はOK?

レチノールは、皮膚のターンオーバーを促進する成分です。ターンオーバーが整うことで、健康な角層がつくられ、その際、セラミドなどの細胞間脂質も正常につくられるようになります。したがって、セラミドとの併用は問題ないでしょう。

「ビタミンC・ヒアルロン酸・ワセリン」との併用はOK?

肌荒れやバリア機能の低下した肌に対して、ビタミンCは表皮に発生する活性酸素などを抑える抗酸化成分として働くことが期待されます。セラミドとの併用は問題ありません。また、ヒアルロン酸は、皮膚表面や角層の内部で水分をつかむ保湿成分で、ワセリンは、皮膚表面で角層から水分が逃げないように蓋をする保湿成分です。かかえこむタイプのセラミドとは保湿のメカニズムが異なるため、併用することで保湿力が高まると考えられます。

<引用元>
朝田康夫, 美容の医学 美容皮膚科学事典, 中央書院, 2002, p.99
花王株式会社 リリース, 2023年2月28日
花王株式会社 Webサイト (肌の必須成分「セラミド」とは、スキンケアナビ、ヘアケアサイト)
エボニック ジャパン株式会社 Webサイト (THE CERAMIDE EXPERT)
化粧品成分オンライン (セラミドの解説と化粧品配合セラミド一覧)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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