月経カップはタンポン未経験者は使えないってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は、“フェムテックとデリーケートゾーン”について。月経カップはタンポン未経験者は使えないって…ウソ? ホント? アヴェニューウィメンズクリニックの福山千代子先生にお答えいただきます。
Q:月経カップはタンポン未経験者は使えないってホント?
フェムテックというワードが浸透するとともに、女性の生理を快適にするためのグッズが世に多く出始めました。なかでも、注目を集めているのが、膣に挿入し、直接経血を溜めるための“月経カップ”です。この月経カップは、タンポン未経験者は使えないというのは本当なのでしょうか。
さっそく、この疑問を福山先生にぶつけてみました! 果たして答えは…?
A:ウソ
「月経カップは、タンポンと比べて使い方が少し難しくなりますが、未経験者でも使えます」(福山先生・以下「」内同)
タンポンと月経カップの違いは?
「タンポンと月経カップは、どちらも膣に挿入するものですが、使い方の難易度が違います。
まずタンポンは、プラスチックでできたアプリケーターの中に、紐のついた吸収体が入っています。膣にアプリケーターを挿入したら、筒を押し、吸収体だけを膣に入れます。一方で月経カップは、医療用シリコンやゴムでできたカップを膣内で開くように、自分で専用の形に折りたたんで膣に挿入しなければなりません。
個人的にはタンポンの方が簡単だと思います。なので、月経カップはタンポンを利用した上での使用のほうが本人もハードルが下がると思います」
Point
・タンポン…プラスチックでできたアプリケーターの中に、紐のついた吸収体が入っている。膣にアプリケーターを挿入したら、筒を押し、吸収体だけを膣に入れる。・月経カップ…医療用シリコンやゴムでできたカップを膣内で開くように、自分で専用の形に折りたたんで膣に挿入する。
・どちらも膣に挿入して使用するものだが、使い方の難易度が違う。月経カップは、タンポンを利用した上での使用のほうがハードルが下がる
月経カップのメリットは?
「月経カップを使用するメリットは、まず繰り返し使えるため、生理用ナプキンやタンポンのように都度購入する必要がなくなり、コストが削減できます。また、生理中は温泉やプールに入れないなど行動が制限されていたものが、月経カップを使用することにより、アクティブに楽しむことができます。ほかには、月経カップは、直接子宮口を覆うようにして装着するため、経血が空気に触れることがありません。そのため、ナプキンに吸収された経血が空気と酸化することで発生する、“生理特有のニオイ”も気にならなくなります」
- ・繰り返し使用できるので、生理用品を都度購入する必要がなくなり、コスト削減
- ・温泉やプールなどもOK! 生理期間中もアクティブに楽しめる
- ・生理特有のニオイが気にならない
月経カップのデメリットは?
「月経カップを使用するデメリットは、使いこなすのにコツを掴む必要があること。使用する前後に消毒をしなければいけないことが挙げられます。また、月経カップに限らず、タンポンでも同様ですが、誤った使用法により、TSS(トキシックショック症候群)の恐れがあります。TSSとは、急激に発生する細菌感染によるショック症状のことで、最悪死亡することもあります。過去には、フランスで月経カップを使用した女性が毒素により、両足と指の一部を切断したというニュースがありました。手指をよく洗い、清潔なカップを使用する。長時間入れっぱなしにしないなど、正しい使用法を守ることが大切です」
- ・使いこなすのにコツが必要
- ・使用する前後で消毒をしなければならない
- ・誤った使用法により、TSSを引き起こすリスクがある
月経カップで痛みや違和感はない?
「膣の奥は、無感覚ゾーンと呼ばれ、ここが月経カップやタンポンをセットする正しい位置です。正しい位置でセットすることができれば、痛みや違和感もありません。ところが、無感覚ゾーンまで挿入せず、月経カップやタンポンが膣の入り口付近で止まってしまった場合は、当然感覚があるため、痛みや違和感が出ます。そのままにしておくと、膣内を傷つけてしまう恐れもあるため、すぐに取り出すようにしましょう」
膣の中で取れなくなってしまったときは、どうすべき?
「膣内から月経カップを取り出すときは、月経カップの先端についている棒状やリング状のステムと呼ばれる部分を引っ張ります。ですが、たまに膣内でステムが見当たらない、掴めない…というケースがあり、そこから月経カップが取り出せなくなってしまった…という事例があります。実際に、当クリニックでも月経カップが取り出せずに来院される患者さんがいらっしゃいます。自力でどうにかしようとすると、かえって爪や指で膣内を傷つけてしまうこともあるため危険です。万が一膣内で取れなくなってしまったときには、クリニックを受診してくださいね」
文/木土さや
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
日本産科産婦人科学会専門医。金沢医科大学卒業。クリニックは、医師をはじめ全て女性スタッフで構成されており、更年期障害をはじめ、月経痛や月経前症候群(PMS) などの治療も積極的に行っている。女性ホルモンに影響され様々な不調や悩みを抱える女性の生き生きとした生活を応援しています。
アヴェニューウィメンズクリニック