健康・ヘルスケア
2021.1.20

冷え性だから「寒くて夜中に目が覚める」? 真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

日々の生活で生まれる美容の疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「睡眠」について。睡眠と疲労に関する研究を行う医師の梶本修身先生に、お話を伺いました。

Q:冷え性だから「寒くて夜中に目が覚める」?

本格的に寒くなり、寝ている時に寒さで目が覚めるという人も多いのはないでしょうか。やっぱり、これは冷え性のせい?そこで、睡眠の質の向上による様々な疲労回復法を推奨している、医師の梶本修身先生に疑問を投げかけてみました。果たして梶本先生のお答えは

A:ウソ

「もちろん、冷え性も原因のひとつには該当します。ですが、多くの人は寝ている環境が良くないことで、寒さを感じて目が覚めてしまうケースがほとんど。

キーとなるのが、体の深部体温です。人間は眠っているときに細胞の活動を落として新陳代謝を下げることで、深部体温が約1度下がり、それによって体が回復していきます。この深部体温がしっかり下がると深い睡眠へ繋がり、途中で起きることも少なくなります。

人間の睡眠は、熊の冬眠と一緒で、熊も眠っている間に深部体温をグーっと下げて、発熱など、何も抵抗させないようにして、体を癒しているのです。では、これから冬の快適な睡眠へ導く環境づくりについて、詳しくお話ししていきます」(梶本修身先生・以下「」内同)

Point

「深部体温」がしっかり下がれば深い睡眠へ繋がり、眠っている途中で目が覚めてしまうことも減る。

睡眠が浅くなる原因は?

「子育て経験者ならわかると思いますが、子どもが寝る前に手足が熱くなります。これは大人も一緒で、体温を放出させることで深部体温を下げて、睡眠の準備をしているからです。

そのあと、眠りに入ったときに深部体温がスッと下がっていくというのが、睡眠の仕組み。深部体温はしっかり下がった方が深い睡眠へと繋がります。

逆に深部体温が下がりきらない“質の悪い眠り”は、眠りが浅くなりがち。眠りの浅いときに目を冷ますと、通常よりも深部体温が下がっている状態のため、寒いと感じることが多いでしょう。

深部体温をしっかり下げるためには、寝る前にお風呂に入って血流をアップさせてから熱を放出させることが大切です。また、入浴後、睡眠までの時間が大きく開いてしまうと、手足が冷えた状態になるので、深部体温を下げるのに時間がかかってしまいます。そのため、入浴後1時間以内に布団に入ることをおすすめします」

熟睡できる室温は?

暖かい部屋で眠るよりは、布団をちゃんとかけて眠ることが大切。冬の快適温度は20度と言われていて、18度以上キープしていれば問題ありません。逆に23度以上にしてしまうと、脳の冷却につながらず、深部体温が下がらなくなってしまうことに。

夏でも22.5度〜23度ぐらいと言われていて、脳はこのぐらいの涼しさを好みます。なぜなら、脳は常に発熱をしているからです。そして脳に伝達を行うのは鼻。鼻から冷たい空気を吸うことで、脳を冷やします。鼻が詰まっていたら頭がボーッとするのは、脳の温度を上げてしまうから。快適な睡眠環境を整えるためには、鼻づまりにも気をつけましょう。

また、寝ている間は暖房をガンガンにつけるのは控えて。温度は1820度をキープして、布団をしっかりかけて寝ることが、深い眠りへと誘います」

日本人ならではの熟睡法は?

「日本人は欧米の方に比べると、筋肉量が少ないです。実は筋肉こそが発熱する部位で、筋肉量が少ない方ほど寒くなりやすいし、それを冷え性と感じることが多いです。ベッド文化が進んでいますが、欧米の方は日本人に比べて筋肉量が多く、布団を1枚体に羽織っているようなもの。だから薄手の布団でも熟睡できるのです。

日本人は筋肉量が少ないからこそ、布団という文化があります。暖かい部屋にブランケット1枚で寝ているという人は、しっかりと体を温める布団を投入することをおすすめします。寝ている間は脇から下を温めて、保温と保湿効果を保つことがとても大切。そこをしっかり温めていないと、寒くて起きてしまいます。一般的な綿の布団でもいいけれど、おすすめは熱を蓄える効果が高く、体から出る水分をコントロールしやすい羽根布団。また、羽根布団の際には布団の上から毛布をかけるほうが、保温効果が高まります」

敷布団は保湿効果の高いものを!

「熱は下から奪われます。フローリングにマットを敷いて寝ている人もいらっしゃいますが、地面に接している部分は非常に熱を奪われやすいので、敷布団にもこだわって、保温効果の高いものを選んでみてください。ベットのマットは空気の層になってくれているので、そういった面で有効です。

また、眠るまでは湯たんぽや電気あんか、あるいは電気敷毛布を利用して温めておくのもおすすめ。ただし、眠っているときに中が熱すぎると深部体温が下げられないので、眠ってからはスイッチをオフに。湯たんぽはだんだん冷えていくので良いけれど、電気敷毛布や電気あんかは電源を消して、自分の体温で暖かくしましょう」

『東京疲労・睡眠クリニック』院長

梶本修身先生

文/むらなかさちこ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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