健康・ヘルスケア
2020.6.8

生理の出血量が多いのは、体の不調のサインって本当?真相を婦人科医に直撃! 【美容の常識ウソ?ホント?】

A:半分ホント、半分ウソ

「出血量が多い=体のどこかに不調がある、と断定できるわけではありません。生理は医学用語では月経といい、生理の出血量が多いことを過多月経といいます。そして、過多月経には、病気が潜んでいる場合と、体質的に量が多い場合があります」(尾西芳子先生・以下「」内同)

正常時の出血量の目安は?

女性の体は、生理周期ごとに妊娠に備えて子宮内膜を厚くします。これは、妊娠が成立した時に受精卵のベッドにするためです。妊娠しなかった場合は、不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、出血(経血)として体外に排出されます。これが月経、いわゆる生理です。では、正常時の出血量はどのくらいなのでしょうか。

「医学的に、1回の生理期間に排出される出血量(経血量)の合計が20~140mlの範囲でしたら正常です。生理の期間中に合計して140ml以上の経血があると量が多い、つまり過多月経となります。生理の量は個人差がとても大きいのであくまで目安ですが、1日に3〜4回ナプキンを替える程度でしたら一般的といえます」

過多月経が疑われるケースは?

「しかし、1時間もしないうちに1時間ごとに変更しなければいけない、昼用ナプキンでは経血が溢れる、夜用ナプキンをしていても途中に起きて交換しないと朝までもたないくらいの出血量がある、レバーのような塊が出る場合などは、過多月経の疑いが。また、過多月経では、生理で多量に血液が失われるため鉄欠乏性貧血になることがあります。生理になると、めまい・動悸・疲れやすいなどの症状が起こる人も過多月経が疑われます」

経血の量が多い原因は?

「経血の量が多い原因となる理由は、いくつか考えられます。

1)子宮筋腫

子宮の本体の筋肉の一部にゴムボールのような塊ができる子宮筋腫は、良性の腫瘍で自覚症状のない人もいますが、できる場所によりさまざまな症状が出ます。

2)子宮腺筋症

子宮本体の筋肉組織の一部に子宮内膜の成分が入り込み、子宮が分厚く、硬くなる病気です。

3)子宮内膜ポリープ

子宮の中の内膜がおできのように膨らむのが子宮内膜ポリープで、良性のもの。子宮の中の空洞部分(内腔)にポリープが飛び出すことで内腔の表面積を増やすため、過多月経、不正出血の原因に。

4)子宮内膜増殖症・子宮体がん

子宮の中の内膜が異常に増殖するのが、子宮内膜増殖症です。子宮内膜増殖症には癌化しやすい”異型細胞のあるタイプ”と”異型細胞のないタイプ”があります。異型がない場合には自然に治癒することもあるので経過を見ることも多いのですが、異型がある場合は子宮体癌に進行するリスクが高いため、手術が検討されます。

5)その他

ごく稀ですが、血がなかなか止まらなくなる血液の病気や肝臓、腎臓などの病気の影響で過多月経となることもあります。また、血液が止まりにくくなる薬の使用が原因と考えられる場合もあります。

子宮筋腫などの子宮の病気が原因の場合、病気そのものの治療をしないと悪化して不妊の原因になることも、なかにはがんや前がん病変など悪性の病気が原因である場合もあります。40代後半ですとこれも更年期症状かなと思いがちですが、一概には言い切れません。生理の量が多いかなと不安を感じたら、一度婦人科を受診しましょう」

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高輪台レディースクリニック院長
尾西芳子先生

山口大学医学部卒業。産婦人科専門医。東京慈恵会医科大学附属病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は高輪台レディースクリニックの院長を務める。妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び、「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指している。

高輪台レディースクリニック
尾西先生のブログ

文/野邑みえ(all the way)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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