ハーバード大学医学部客員教授、
「睡眠は長すぎても短すぎても健康に悪いという研究データが存在します。また、睡眠時間は毎日一定のほうが体内時計は安定します。しかし、これまでに多くのな患者さんを診察してきた経験から、平日に6~7時間程度の睡眠をとっている人が週末に10時間程度まとめて寝るのは、“疲れをとる”という意味では問題がないと思います。
ただし、気をつけてほしいのが起きる時間について。寝不足時の過ごし方も含めて、これから詳しくお話しします」根来秀行先生・以下「」内同)
「睡眠不足が続くとメラトニンが力を発揮できる時間が不足します。睡眠を促進するホルモンとして有名なメラトニンは、抗酸化作用を発揮したり、免疫力を高める作用があります。そのため、メラトニンの作用不足を補うためにも、抗酸化作用がある野菜や果物を積極的に摂取したり、ビタミン類やレスベラトロールなどの抗酸化サプリメントをとるのも良いですね。そして寝不足でつらいときは、仮眠をとるのも手。午前中に寝たほうが体内時計の乱れが小さいので、昼までの間に30分か1時間の仮眠にしましょう」
「眠る時間が遅くなると、そのぶん朝起きる時間を遅らせれば良いと考えるのが一般的。しかし、起床時間が遅くなると体内時計もずれてしまいます。睡眠時間を中心に考えて起きる時間を調整するのではなく、体内時計を狂わさないことを目的にしましょう。睡眠時間が短くなるのは辛いですが、体内時計が狂うことで不調を起こさないためには、できるだけ毎日同じ時間に起きることが理想です」
「毎朝6〜7時に起きている人が、仮に昼ごろまで寝たとしても、眠りの質は低下しているので満足感は得られないでしょう。というのも、本来、人間の体内時計は24時間11分。昼まで寝ていたら、それだけで数時間分の時差ができてしまうからです。時差ボケは1時間直すのに約1日かかるので、寝坊によって体内時計が狂い、
コロナ禍で在宅勤務になった人やリモートワークの人が増えて
「体内時計を狂わさないためには、長寝するにしても、いつもと同じ時間に起きることが大切です。平日に睡眠不足の人は、そのぶん休日に多く寝たいと思うはずです。しかし、冒頭にもお伝えしたように、長すぎる睡眠時間は健康に良くありません。いつもより多めの睡眠時間での許容範囲は10時間ぐらいまで。朝起きる時間は変えないほうがいいので、起きる時間から逆算して、超早寝をすることをおすすめします。
そうすることで、平日の睡眠不足による疲労は回復するはずです。ちなみに、睡眠の貯金はできないので、寝貯めして平日短時間で乗り切ることはできないと肝に命じておいてください」
「1970年の調査では、23時に起きている人は40%程度でしたが、最近の調査だと70%以上。体内時計を整えるために理想とされる12時までに寝るという人は案外少ないのかもしれません。1日3〜4時間の睡眠が2日続くと、血圧や血糖値に影響が出てくるので、忙しくても連続しないようにすることを心がけてください。1日2日おきにでも、睡眠が少しでも多く取れるだけで、ずいぶん疲労感も違ってくるはずです」
ハーバード大学医学部客員教授、
文/むらなかさちこ
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