健康・ヘルスケア
2020.5.11

水をたくさん飲むと美肌になれるってホント? 真相を医師に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】

A:ホントです

「年齢は確実にお肌に出ますが、みずみずしい肌を保つポイントのひとつに水分があります。

皮膚は表皮と真皮から成りますが、素肌の潤いを守っているのが表皮のいちばん外側にある角質です。角質は0.02mmととても薄いものですが、角層細胞がレンガのように重なり合い、その間を細胞間脂質が埋め尽くしています。細胞間脂質はセラミドなどの脂質と水分がミルフィーユ状に交互に重なりあう“ラメラ構造”で水分を保持しています。このほか、天然保湿因子や角質層をカバーしている皮脂膜も、素肌のみずみずしさを保っています。

角質の水分量はおよそ20%〜30%と少なめなので、ここが少しでも水分不足になると角質の状態にトラブルが。さらに天然保湿因子の重要な成分である汗も出にくくなることで肌全体をカバーする力が弱くなり、乾燥しやすくなります。その結果、肌がカサカサになってしまったり、角層細胞の規則的な連なりが乱れ、小ジワが寄って肌年齢が老けてしまうのです」(馬渕知子先生・以下「」内同)

化粧水など外側からアプローチだけじゃ足りない?

「もちろん、素肌の潤いを保つには、化粧水などによるセラミドや天然保湿因子の補填も大切。ですが、化粧水だけでは肌細胞まで水分を直接補給できません。体内が水分不足にならないように気をつけながら、皮膚の血液の循環を促すような、内側からの水分補給が有効なのです」

飲めば飲むほど美肌になれる?

水が肌にいいということは、飲めば飲むだけ美肌に近づくのでしょうか?

「そういうわけではありません。自分に見合った量の水分摂取を心がけながら、美肌をつくるために必要な栄養成分をしっかり摂ることも忘れてはいけません。

身長・体重、年齢、体質、生活環境など、それぞれ水分摂取の量は異なりますが、目安としては体重1㎏あたり35~40ml。たとえば、体重が60kgならば40ml×60㎏=2.4リットルとなります。私たちは、食事内容にもよりますが、食事から600~700mlは水分を摂れていると考えられるので、足りない分を飲水から摂るように心がけると良いでしょう。食事から水分を十分に摂れていない場合や汗がたくさん出た日などは多めに飲水するなど、今の自分に合わせた量を摂ることが大切なのです。

そして、肌をつくるために必要なたんぱく質やビタミン類・ミネラル類をバランスよく摂ることも忘れてはいけません。水は体内を常に循環し、刻々と失われています。“朝一気に”や“食事時だけ”に摂らずに、こまめに摂取するべきです。一度に大量の水分を摂っても体内に摂取されにくいので、1回あたりはコップ1杯(200ml)程度を目安とし、1日を通じて飲むようにしましょう。水分補給は手軽で低コストに美肌を保てる方法です。ぜひ、試してみてください」

水分ならなんでもいいの?

「素肌の美しさを守りたいなら、水分補給はあくまでも“水”がおすすめです。コーヒーなどのカフェイン飲料には利尿作用があって注意して摂取しないと脱水を進めてしまう可能性もありますし、糖質やカロリーを含む清涼飲料水は血糖値や食欲に影響を与え太りやすくなります。また、アルコール飲料も利尿作用や、体温を上げて発汗させるはたらきあり、水分が尿や汗となり体の外に排出されやすくなるので水分摂取には向いていません。

水の中では、天然水がいいでしょう。天然水とは、ろ過や殺菌処理以外の処理をしていない水のこと。天然水には美肌づくりに役立つ成分が含まれています。たとえば、ケイ素(シリカ)はコラーゲンの代謝を助けて肌のハリを保ってくれます。水道水はおすすめしていません。なぜなら、浄水場から家庭まで水を運んでいる水道管(管路)の老朽化の問題があるからです。現在では、ポリエチレン管など、耐久性のある素材が使われていますが、全国の水道管ネットワークの整備が進められた高度成長期、水道管は鉄製が一般的でした。そして、古くなった水道管からはサビなど、体によくない物質が混入しているケースもあります。気になる場合には、浄水器や整水器などでろ過したほうがいいと思います」

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マブチメディカルクリニック院長
馬淵知子先生

マブチメディカルクリニック院長、東京栄養食糧専門学院・副学院長。東京医科大学医学部医学科卒業後、同医科大学病院皮膚科学講座に所属しながら同病院に勤務。その後、マブチメディカルクリニックを開設、現在に至る。内科学・皮膚科学が専門であるが、あらゆる科と提携を結び、多面的に人間の体を総合的にサポートする医療を推進している。著書に『からだを救う、水の飲み方、選び方』(講談社)、『朝のコーヒー、夜のビールがよい仕事をつくる』(クロスメディア・パブリッシング)など。

マブチメディカルクリニック
馬淵先生のブログ

文/野邑みえ(all the way)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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