12時間以上寝ると逆に疲れが取れないってホント？真相をプロに直撃！【美容の常識ウソ？ホント？】

A：半分ホント、半分ウソ！

「睡眠は質と時間のバランスが大切です。何時間寝れば疲れが取れるという明確な指標はありません。疲労回復に関しては個人差があるので、答えとしては半分ホント半分ウソとなるでしょう。

“寝すぎると疲れが取れない”ということはありせんが、成人女性に必要な睡眠時間は7時間程度＊1と言われています。12時間以上の睡眠をとったのに疲れが残っていると感じるのであれば、睡眠の質に問題があるのかもしれませんね」（石川泰弘氏・以下「」内同）

疲れがしっかりとれる良質の睡眠を取る方法

疲れが取れる質の良い睡眠はどうすれば取れるのでしょうか？

「睡眠の質を上げるにはいくつかの方法があります。まずは、生活のリズムを整えるのが前提になります。

人には体内時計があり、生活の時間と体内時計を合わせる必要があります。通常、起床後14～15時間後にメラトニンという睡眠に重要な役割があるホルモンが多く分泌され始めます＊2。

例えば朝7時に起きたら夜の9時ぐらいからメラトニンが分泌されますので、そろそろ寝る準備に入ろうかな、と身体が反応し眠気をもよおすのです。

しかしホルモンの分泌するタイミングと生活時間が大きくずれていると、睡眠の質が低下すると考えられます。人が持つ体内時計という生体本来のリズムに合った起床と就寝のサイクルで生活を送ることが、良質な睡眠をとるためのベースになります。

質の良い睡眠には寝具やパジャマといった用具も重要です。高価なものが良いわけではありません。自分に合っていなければ寝心地が悪く良い眠りはとれないのです。マットレス、掛布団、枕など、まずは自分に合ったものを選びましょう。

また、寝具にも寿命があります。最初はよかったのに、なんだか寝心地がよくない……と感じ始めたら買い替えの検討も必要かもしれません。人生の1/3は寝ているわけですから、寝具への知的、または金銭的な投資は決して無駄ではありませんよ。

パジャマの素材や着心地も睡眠に大きく影響します。最近は部屋着と一緒にしている人もいるようですが、パジャマに着替えることが睡眠へのスイッチとなり、スムーズな眠りにつく上でひと役買う場合もあります。

加えて照明もポイントの1つです。寝るときは真っ暗闇にしたほうがいいのではと思っている人がいますが、必ずしもそうではありません。真っ暗だと不安になるという人は、小さい灯をつけても構いません。安心して眠りにつく環境を整えることが良い眠りの第一歩といえるでしょう。
さらに、入浴も良質の睡眠と深い関係があります。お湯に浸かることで、温熱効果により血管が拡張しますし、同時に水圧がかかるため心肺機能が高まります。その結果、血流が促進するので疲労回復に役立つだけでなく、心地良い入浴なら副交感神経が優位になってリラックス効果も期待できます。疲れたなという日は体温よりちょっと高い38〜39度ぐらいの、ややぬるめのお湯にゆっくり入るといいでしょう。入浴で上昇した体温が徐々に下がることで眠くなり、その後の睡眠の質を良くしてくれのです。しっかり疲れを取るためにも、シャワーではなくお湯に浸かることをおすすめします」

＊1：National Sleep Foundation Recommends New Sleep Times, ”National Sleep Foundation press release, February 2.2015.www.sleepfoundation.org
＊2：H.Burgess, et al：“The relationship between the dim light melatonin onset and sleep on a regular schedule in young healthy adults”, Behav Sleep Med., 1-2, 2003, pp.102-114

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