健康・ヘルスケア
2019.11.3

副鼻腔炎の予防や症状緩和には…風邪予防がマスト!|医師が詳しく解説

風邪をきっかけに発症しやすい副鼻腔炎の予防や症状緩和法ってあるの? 詳しいお話を石戸谷耳鼻咽喉科 院長の石戸谷淳一先生に伺いました。

副鼻腔炎の予防や症状緩和には

ウイルスや細菌を追い出す力をつけておく
「副鼻腔炎は、風邪が発端になるため、まずは風邪を予防することが副鼻腔炎の予防にもなります。免疫力を高めるためにも、バランスのとれた食事、睡眠、適度な運動など、規則正しい生活を心掛けましょう。鼻腔内の炎症の予防や改善には、細菌を含む鼻水や膿をすみやかに取り除くことが重要。時々生理食塩水(約1%の食塩水)で鼻腔を洗浄するのがおすすめです。また、花粉などアレルギー性鼻炎のある人は、鼻噴霧ステロイド薬などで鼻水や鼻詰まりの症状を抑えておきましょう」(石戸谷先生)

 

□ まずは風邪をひかないこと。ひいても長引かせないように!

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風邪のウイルスに感染しても、しっかり休めば、自然に治ります。そこで無理をすると、副鼻腔炎に移行することもあります。風邪をひいたら充分な休養が鉄則です。

 

□ 市販の点鼻薬を常用しない

鼻詰まり解消用の点鼻薬は、ほとんどが血管収縮薬。つらいときに即効性はあるけれど、使い続けると効かなくなってくる上、粘膜に炎症が起きやすくなります。常用は避けるのが賢明です。

 

□ 約1%の生理食塩水で鼻を洗う

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鼻の穴にはまるサイズの容器を用意(100円ショップで購入可)。約1%濃度の生理食塩水(温水)を入れた容器を鼻の穴に当て(穴の中に押し込むのは厳禁)、下を向いて「あー」と声を出しながら、容器を押して鼻腔内を洗浄します。
※充分注意して行う。子供には行わないように。

 

□ 鼻水はそのままにせず、正しくかむ

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副鼻腔にたまった鼻水や膿を出し切るように、正しく鼻をかみましょう。口を閉じ、鼻から充分に空気を吸い込んだ後、片方ずつ適度な強さで息を吐き切ります。ちなみに、鼻水はのどに回って痰となり、咳の原因になります。

鼻や気管支のアレルギー対策も副鼻腔炎の予防&改善に!

アレルギーは副鼻腔炎を慢性化させる一要因
「アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなど、アレルギーを引き起こす物質が鼻腔に侵入して発症します。副鼻腔に炎症が起こるため、症状は副鼻腔炎と類似。アレルギー性鼻炎が副鼻腔炎を慢性化させる要因にもなります。同じように気管支ぜんそくも、慢性副鼻腔炎を併発しやすい病気。近年、こういった鼻や気管支の疾患は、気道でつながるひとつの病気と捉えられ、治療についても呼吸器全体で考えるようになっています」

 

“One airway, one disease” 気道でつながる疾患は、いずれも影響し合っている!
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近年医学会では、上気道で起こる慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などと、下気道で起こる気管支ぜんそくなどは、「ひと続きの気道でつながるひとつの病気」として捉えられ、全体に目を向けた治療が推奨されている。

アレルギー性鼻炎を引き起こす抗原
・ハウスダスト(ダニなど)
・花粉(スギ、イネ科植物など)
・真菌類(カビ)
・表皮類(ぺットの皮屑や毛など)
・職業性抗原(絹、小麦粉、しいたけ胞子など)

 

耳・鼻トラブルについて教えてくれたのは…
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石戸谷耳鼻咽喉科 院長 石戸谷 淳一先生
いしとやじゅんいち/医学博士。横浜市立大学医学部客員教授。国立国際医療センター耳鼻咽喉科医長、横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科教授などを経て現職。内視鏡下鼻副鼻腔手術のエキスパート。https://www.ishitoya.jp/

 

『美的』11月号掲載
イラスト/やましたともこ 構成/つつみゆかり

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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