健康・ヘルスケア
2012.2.13

専門ドクターが分析!最新アンチエイジングの真実&落とし穴!

「美と若さのための医療」というと、リフティングや美肌治療など、外側を整える手段をイメージする人も多いのでは?

実は今、抗加齢医療の最前線では体の中からのアプローチが主流。次々と新事実が解明されています!

今回は、銀座上符メディカルクリニック院長・上符正志先生と、順天堂大学大学院医学研究科華麗制御医学講座・青木晃先生のお二人の抗加齢医療専門ドクターによる分析をご紹介します。


ーダメージへの対応パワーが枯渇したとき、人は老ける。

人間の体を一つの会社に例えるならば、そこには「消化班」「解毒班」「代謝班」などと数多くの専門チームが在籍していて、健全な体を維持するために協力して働いています。体が年齢を重ねると共に、各チームの高齢化も進んで働きぶりが穏やかになりますが、それぞれの足並みがそろっていれば大きな問題はなく、「年齢相応の、健康な状態」であるといえます。実際、100歳を超えて健康な人たちの体は、突出して悪いところがなく、バランスが良いのが特徴だといいます。

一方で、体の中で特定の1チームが危機状態に陥ると、ほかのチームは命に支障が出ないよう、バックアップに走ります。若いうちは、それぞれにパワーがあるので連携プレーで乗り越えられますが、だんだん、力が枯渇してカバーし切れなくなる。それが、老化の始まりです。

例えば心身がストレスを受けると抗ストレスホルモン「コルチゾール」が多く分泌されます。ところが、ホルモン全体の総量は限られているので、その分ほかのホルモンが不足しやすくなるのです。結果として、ホルモンバランスが乱れ、体に不調が出ます。実際、ストレスが多く、鬱症状やアレルギーに悩む患者さんを検査すると、コルチゾール量の多さに対して、各ホルモンのもととなる『DHEA』という物質が枯渇しているケースが多いと、抗加齢専門医の上符正志先生は言います。

ー「木を見て森を見ず」はダメ。マニア情報より、王道手段を

同様に青木晃先生も、若さを維持するためには、体の状態をバランス良く保つことが大切、と解説します。

「例えば“寝不足”というストレスがかかると、体は自らを危機状態にあると判断し、命を存続するための緊急バックアップ態勢に入ります。そのため、食欲を高めたり、脂肪の分解を抑えたりするホルモンが分泌されます。また、悪条件の中で脳や心臓など命と直結する臓器の維持を優先させるために、肌の代謝や老廃物の排泄などは二の次となり、肌荒れや便秘などが起こりやすくなります。そんな状況だと、いくらダイエットやスキンケアに励んでも、思うような美容効果は得られにくいでしょう」

つまりは、若くいたいなら“体を過酷な状況に追い込まない”こと。例えば食事なら、消化器をはじめとした体の各器官に負担をかけないよう、[腹8分に抑える]、[よく噛む]、[エネルギーや各細胞へと変換しやすいよう、ビタミンやミネラル、ポリフェノール類が多いものをとる]、[インシュリンを乱高下させる食品は避ける]といった工夫が有効とされます。

結局のところ、最新の抗加齢医療で推奨されていることは、昔から“体に良い”といわれる美容・養生術につながっているのです。

「アンチエイジングをかなえる条件は、『バランスの良い食事』『適度な運動』『規則正しい生活』『生きがいをもつ』、この4つを満たすことです。ときどき〝○○を飲めば長寿になる〞といったものが話題を呼んだりしますが、いくら効果の実証された成分だとして、食事がおろそかで徹夜続きの生活を送っていては、意味がありません」(青木先生)

自ら分泌する“若返りホルモン”の力に着目!

そこで、各ジャンルの中から、日々の生活に取り入れやすい実践トピックスや、私たちが特に関心を払っておきたい注目キーワードについて、次ページ以降で取り上げます。「中でも、良質の睡眠をとることと、筋力トレーニングで筋肉量を維持することは、すぐに実践できる上、体の状態が良好に整うのを体感しやすいはずです」(上符先生)。

ちなみに、睡眠と運動によって分泌される成長ホルモンは、体や肌を作るもととなる、抗加齢ホルモンの代表格。正しく寝て、運動をすることで、分泌量を自ら増やすことができるのです! お金もかからず、副作用もない、魅惑の若返り法です。

〜アンチエイジングの真実&落とし穴〜

真実①:昔からの伝承には実は科学的根拠のあるものが多い

昔からのことわざにある「腹8分に医者いらず」「1日1個のリンゴで医者いらず」が、実は遺伝子レベルで正しい(カロリス、ポリフェノール効果)と近年解明された。

真実②:若返りホルモンは自らの意思で分泌を調整できる

成長ホルモンは、快眠を得る工夫や、筋トレに励むことで分泌量を増やすことができる。また、ストレス発散に努めれば、抗ストレスに費やすホルモンを節約でき、その分ホルモンの母・DHEA量を増やせる。

真実③:脳でつながる3大欲求。一つ満たすと、ほかもうまくいく

脳の満腹中枢と、幸福感や性欲を感じる中枢とはかなり近い部分にあり、リンクしやすい。恋をすると食事がのどを通らなかったり、逆に落ち込むとドカ食いしがちなのはこのため。

真実④:適度な肉体的ストレスは精神的ストレスを発散させる

精神的ストレスで鬱々とするときは、筋トレなどで適度に体に刺激を与えた方が、ストレスを発散できる。ボーリングのように頭を使うものより、単純なバッティングなどがオススメ。

真実⑤:過度なストレスは脳を老化させる。楽しめば若返る

強烈なストレスを受けると、脳の記憶力をつかさどる「海馬」では、細胞分裂が止まり脳が委縮してしまう。逆にワクワクしたり、好奇心をもって楽しく過ごすと、細胞分裂が活性する。

落とし穴①:流行の抗加齢術をピンポイントで押さえても効果ナシ!

近年、ポリフェノールの一種に長寿効果が認められ話題となったが、その有効量をワインに換算するとなんと250本分となる。不自然な量を摂取するより、いろいろな食品を組み合わせた方が、総合的には健康的。

落とし穴②:不調の理由を「女性ホルモンの低下」でごまかさないこと!

ホルモンにはたくさんの種類があり、1種類が不足してもほかのもので補ったり、別の所から作り出したりする。加齢と共に確かに女性ホルモンは減少するが、ほかが元気なら、その低下機能分は補えるはず。

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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