健康・ヘルスケア
2022.5.10

【自律神経を学ぶ②】骨格のゆがみが自律神経を乱す! 骨格リセットで自律神経のバランスUP!

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自律神経が乱れる原因として、一般的に言われているのは、過度のストレス生活習慣の乱れ。もちろんそれは正しいのですが、「実はそれ以上に、姿勢の悪さからくる骨格のゆがみが影響している可能性が高いのです」と、せたがや内科・神経内科クリニック院長・久手堅司先生。そこで、骨格のゆがみと自律神経の関係について解説していただきました。

骨格のゆがみはふたつのルートで自律神経を乱す

自律神経は、脊椎(24個の背骨)の中にある脊髄を通って全身の器官とつながっています。長時間のスマホやパソコン使用などで悪い姿勢が慢性化すると脊椎が変形し、骨格にゆがみが生じて脊髄が圧迫され、自律神経が正常に働かなくなるのです。

また、背骨を中心とした骨格がゆがむと呼吸が浅くなり、体のすみずみまで十分な酸素が行き渡らなくなります。酸素不足は身体的なストレスになり、自律神経を乱すことに。しかも、短く浅い呼吸を続けている間は、常に交感神経が優位な状態。それも自律神経のバランスを乱す原因です。

正しい姿勢を身につけて、骨格のリセットを!

まずは自分の姿勢や骨格にゆがみがないかをチェックしてみましょう。

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①壁にかかと・お尻・肩甲骨の3点をつけて立つ

  • 壁に頭がついていない
  • 壁と腰の間に大きい隙間(指1本分以上)ができる、あるいはまったく隙間がない

②鏡に向かい、目をつぶって3回ゆっくりと深呼吸をした後、力を抜いて立つ

  • 頭が傾いている
  • 肩が傾いている
  • 骨盤が傾いている
  • ひざが正面を向いていない
  • 左右の足の位置が揃っていない

①②のひとつでもチェックがついたら、骨格にゆがみあり! 正しい座り方で骨盤を整えましょう。

正しい姿勢の基本は、骨盤を立たせること!

パソコンやスマホに見入っているとき、多くの人が下を向き、肩が前に出て、背中も丸まっています。下を向いた姿勢は頭の重さで脊椎に負荷がかかり、必然的に首や肩、背中の筋肉がこわばって、骨格自体がゆがんできます。改善するには、脊椎に負担の少ない正しい姿勢を意識的に保つようにします。正しい姿勢の基本は、骨盤を立てること。座った姿勢で練習しましょう。

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①椅子に浅く座って首の幅程度に足を開き、足首とひざの角度がそれぞれ90度になるように調整する。②骨盤の左右の端を両手でつかみ、床と骨盤が垂直になるように骨盤を立てる。

デスクワーク中も、骨盤の立った正しい姿勢を意識することで骨格のゆがみをリセットできます。

骨格や呼吸と連動! 正しく呼吸を行うと、呼吸のたびに骨格もリセットされる

普段、私たちは無意識に呼吸をしていますが、胸の下(肋骨)と背中(脊椎)に手を当てて、意識して呼吸をしてみると、吸ったり吐いたりするたびに助骨や脊椎が伸び縮みするのがわかります。これは、呼吸と骨格が連動している証拠。悪い姿勢で呼吸を続ければ、骨格に与える影響も強く出ます。逆に言えば、正しい姿勢で正しく呼吸をすると、骨格もそのたびにリセットされます。

呼吸法には、吸うときに胸部を含ませる「胸式呼吸」と、腹部を膨らませる「腹式呼吸」があります。骨格リセットには、このふたつを組み合わせたエクササイズが効果的。ちなみに、胸式呼吸は交感神経を優位に、腹式呼吸は副交感神経を優位にするため、自律神経の乱れを強く感じているときは、腹式呼吸を多めに行うと良いでしょう。

手軽に骨格をリセットできる、12秒の呼吸エクササイズ

1回12秒の胸式呼吸と腹式呼吸を組み合わせ、1日3〜4セット行いましょう。事前に鎖骨や助骨、脇の下などをマッサージするようにさすって、筋肉をほぐしてから行うとより効果的。

①胸式呼吸

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胸下に手を添えて、助骨を上に上げるように意識しながら、3秒かけて鼻から軽く息を吸う。そのまま3秒息を止めてから、助骨を下に下げるように6秒かけて口から息を吐き切る。

②腹式呼吸

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おなかに手を添えて、おなかが膨らむのを意識しながら、3秒かけて鼻から息を吸う。そのまま3秒息を止めてから、おなかと背中がくっつくようなイメージで6秒かけて口から息を吐き切る。

そのほか、デスクワークやスマホ使用の途中で、首を伸ばす耳を引っ張るなど、ストレッチの習慣をつけることで、悪い姿勢の定着を防げ、呼吸も整い、自律神経のバランスUPにつながります。


\お話を伺ったのは/

せたがや内科・神経内科クリニック院長
久手堅 司 先生%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2022-05-02-11-48-31

くでけん・つかさ/医学博士。日本内科学会・総合内科専門医、日本神経学会・神経内科専門医、日本頭痛学会・頭痛専門医、日本脳卒中学会・脳卒中専門医。1996年北九州大学法学部法律学科卒業、2003年東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学医療センター大森病院などで臨床経験を経て2013年に開業。「自律神経失調症外来」「肩こり・首こり外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、多くの患者のニーズに応えている。著書に『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)、『面白いほどわかる自律神経の新常識』(宝島社)など。

イラスト/リバー・リー(Softdesign) 構成/つつみゆかり

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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