健康・ヘルスケア
2022.3.25

年に一度、最低限のチェックを! 美的世代の基本の健康診断&胃がんのABC検診

年に一度、最低限の健康チェックしてますか?美的世代の注目ポイントを紹介します! 常喜医院院長の常喜眞理先生にお話を伺いました。

美的世代の基本の健康診断

健診で体質を把握し将来のリスクに備える

健康診断は生活習慣病のチェックが主な目的のため、20〜30代では「異常なし」の項目が多いのですが、毎年受診するのはなぜでしょうか。

「生活習慣病の発症には遺伝的体質が大きく関わります。例えば、20~30代で生活習慣に問題がないのにコレステロール値が高い体質の人も。大切なのは自分の検査結果の変動幅です。毎年受けることで体質や体調の変化を把握しておけば、将来生じるリスクに備えることができます」(常喜眞理先生・以下同)

\美的クラブにアンケート!/

Q. 健康診断を受けたことがありますか。

202203gp195-4
「フリーランスなので忘れがち」などの理由で受けたことがない人が3.9%。

Q. 健康診断はどこで受けましたか。

202203gp195-5
大多数は会社の健康診断を受け、そのほかでは「夫の会社の健康診断」などを利用。

血液検査

貧血検査|女性に多い隠れ貧血は血色素量の数値に注目

202203gp195-1
酸素を運搬する役目の血色素が減少していると、自覚がなくても鉄欠乏性貧血の可能性が。
「20〜30代の女性は隠れ鉄欠乏性貧血の人が多く、血色素量が10g/dL以下だと自覚症状はなくても体は酸欠状態。常に高地トレーニングを行っているのと同じ負担が心臓にかかるので、必ず医師に相談を」

202203gp195-6

血中脂質検査|コレステロール値の傾向は遺伝が9割!20〜30代でも高い場合も

202203gp195-2
「コレステロール値は9割が遺伝的体質で決まるので、年齢にかかわらず高い人も。20〜30代は女性ホルモンがコレステロールを抑えるのであまり心配ありませんが、更年期以降にLDLが高くなると動脈硬化の原因に。今のうちから傾向を把握しておきましょう」
202203gp195-7

肝機能検査|今は数値が低くても将来に備えて飲酒は控えめに

202203gp195-3
GOTは心臓、筋肉、肝臓に、GPTは肝臓に多く存在する酸素のことで、γ-GTPは肝臓や胆道に異常がある場合に数値が上昇。
「20〜30代では酒量が多くてもγ-GTPは上がりにくいのですが、肝機能は飲酒の蓄積量が影響するので将来の健康のため飲酒は控えめにしましょう」
202203gp195-8

血糖検査|家族に糖尿病患者がいたら基準値内でも要注意

血糖値は血液中のブドウ糖の量を、HbA1cは過去1〜2か月の血糖の平均的な状態を示します。
「20〜30代では問題ないことがほとんどですが、家族に糖尿病患者がいる場合は食習慣や体質を受け継いでいることも。年1回の健康診断で数値を把握しておき発症を防ぎましょう」
202203gp195-9
※空腹時血糖
※基準範囲は医療機関によって多少異なります。掲載の各数値は、厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」保健指導判定値及び受診勧奨判定値と日本人間ドック学会「判定区分」、常喜眞理先生のアドバイスを基に作成しています。

尿検査|腎臓の病気を探る尿たんぱくの数値をチェック

202203gp195-15
朝一番の尿を採取し、尿中のたんぱくや糖を調べる検査で、腎臓に障がいがあると尿たんぱくの値が増加。
「尿たんぱくでは、慢性腎臓病や腎炎、尿路感染症など腎臓と尿路の異常をチェックします。尿糖については、血液検査で血糖値のチェックをするのでここではあまり気にしなくても大丈夫です。検査日に生理が重なった場合、わずかな血液が混ざっただけでも数値に影響が出るので、日程を改めて検査を受けましょう」
202203gp195-10

視力の検査|成人してから近視が進むデジタルユーザーが増加

目の病気がないのに裸眼で0.7未満の場合は、近視や乱視。
「パソコンやスマホを長時間使う現代人は、成人後も近視が進むケースが多いですね。急激な視力低下には眼疾患が潜んでいる可能性も。また、強度の近視は緑内障の可能性もあるので、定期検査が重要です」
202203gp195-11

聴力の検査|美的世代は突発性難聴や低音性難聴のケースも

聴力検査では1,000Hzの低音と4,000Hzの高音が聞きとれるかをチェック。正常に聞こえない場合は難聴や中耳炎などが疑われます。
「聞こえの低下は自分では気づきにくいのですが、20〜30代は突発性難聴や耳が詰まる感じがする低音性難聴を発症している場合があります」
202203gp195-13

胸部エックス線検査・心電図検査|美的世代は心配しすぎないでOK

202203gp195-17
心電図は狭心症や心筋梗塞などを、胸部エックス線は肺炎や肺結核、肺がんなど呼吸器疾患をチェック。
「20〜30代でも肺結核の可能性はゼロではありませんが、どちらの検査もこの年代ではあまり気にせずOKです」

身体検査|20代はやせすぎに注意。20歳時の体重をキープして!

202203gp195-16
BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められる肥満度の指標。
「肥満は生活習慣病の引き金になるので注意が必要ですが、20代女性は逆にやせすぎに気をつけて。仕事を始めて忙しくなり食事が疎かになってしまう人が多いんです。できるだけ20歳時の体重をキープしましょう」
202203gp195-12

血圧の測定|20〜30代女性の低血圧は症状がなければ治療不要

202203gp195-14
「20〜30代では数値に異常はほとんど出ませんが、血圧も遺伝的体質が影響するので、高血圧の家族がいる場合は将来的に注意が必要です。若い女性では収縮期血圧(上の血圧が90mmHgと低めの人が多いのですが、つらい症状がなければ治療は不要です」

今日から始めるGood habits

今のうちから定食型の食事と運動習慣を身につけて!

生活習慣病は遺伝的体質の影響大!
「とはいえ、20〜30代のうちから栄養バランスのとれた定食型の食事と代謝を高めるための運動を習慣にすることで、将来的にも健康を維持することができますよ」

できればこれも!胃がんのABC検診|採血だけで胃の収縮やピロリ菌の有無がわかる

バリウムや内視鏡の前段階におすすめの検査

胃がんのABC検診は、胃がんの原因となるピロリ菌の有無や胃粘膜萎縮を血液検査で調べ、胃がんのリスクを評価。
「血液検査ですむので、胃カメラやバリウムで胃がん検診を行ったことがない人は、その前段階として一度受けておくのがおすすめです」

常喜医院院長

常喜眞理先生

 

『美的』2022年3月号掲載
イラスト/どいまき 構成/青山貴子、金子由佳、有田智子

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

この記事をシェアする

facebook Pinterest twitter

関連記事を読む

あなたにおすすめの記事