健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2022.3.23

コロナ渦の不安や生きずらさにモヤモヤ…専門家に訊いた「上手に気晴らしする方法」

長引くコロナで旅行やお出かけするのも気がひける…不安や生きずらさ、更年期の体調の変化などのストレスでモヤモヤ、イライラしてる人も多いのでは?医師や専門家に訊いた「気晴らしの方法」を紹介します。気晴らしのつもりが逆効果…なんてことにならないように、NG行動もあわせてチェック!

心がモヤモヤする…5つの「原因」と「対策」

【1】長引くコロナ

『川村総合診療院』院長

川村 則行先生

「コロナ下になってから、心の不調を訴えて来院される方は3倍程に増えた印象です。グラン世代は働く女性も多く、会社の業績悪化で労働環境が過酷になったり、リモートワークで家に夫とずっと一緒なのが耐えられない、というケースも。このようなストレスで悩む日々が続くと、脳の神経細胞にダメージが及び、うつ状態になってしまいます」(川村先生)

\読者の声/
「コロナで仕事の仕方が今までとかなり変わり、 今後どう対応していけば良いのか不安 になる。まじめな性格が災いして生きづらくなっているのでは、と思うと疲れる。」(保育士・40歳)

【2】生きづらさ

“結婚すべき” “家事は女性の仕事”など従来の価値観から脱却できずに生きづらさを感じるケースも。

\読者の声/
「独身で仕事をしていますが、世代交代を感じています。また、同年代の人たちの子供が大きくなり話題にも入れず、 社会から取り残された気分が常にあります 」(専門職・40歳)

\体も心もふっとラクになる秘訣を専門家がアドバイス/
「世の中に起こる問題は4つに分けられます。問題が起きたら、その解決法が“わかる”or“わからない”、自分で解決“できる”or“できない”で整理してみましょう。そして“わからない・解決できない”に当たる問題は諦めて捨てること!例えば『コロナはいつ収束するのか』といった問題は、誰にもわからないし、考えても仕方ないですよね。現実を把握することで、不安は消えて心を健康に導けます」(川村先生)

\身につけておきたい「ストレスコーピング」/

自力で解決できるのか、サポートを求めるべきか、運が良く感謝すべきことか、そもそも解決できないのか問題を4つに分類。解決できない問題は捨てる勇気をもって。

【3】体の不調

婦人科医、心療内科医

小野 陽子先生

更年期による女性ホルモンの“ゆらぎ”がメンタルに及ぼす影響は大。日々の生活を工夫しつつ、医療の力も借りて賢く乗り切る!

「日本人女性の閉経は平均50・5歳で、その前後計10年が更年期に当たります。更年期の症状はホットフラッシュや滝汗がよく知られますが、実は日本人女性に多いのは『頭痛』『肩こり』『倦怠感』。疲れやすい、やる気が出ない…このような症状が続くと思うように仕事や家事が進まず、精神的にも不安に陥りがちになります」(小野先生)

\読者の声/
「最近、 更年期で生理不順になり動悸などの症状 も出てきました。これからどのような症状が出てくるのか、これがどのくらい続くのか不安です。」(主婦・51歳)

\体も心もふっとラクになる秘訣を専門家がアドバイス/
「更年期の症状は女性ホルモンの急激な変動によるものなので、HRT(ホルモン補充療法)で改善されるケースも多数。もしやと思ったら我慢せず、遠慮なく婦人科に相談してみてください」(小野先生)


更年期はエストロゲンの分泌量が大きく変動することで、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」にも影響が。気分の落ち込みや不安感を抱きやすくなる。

【4】自分のキャリア

一級キャリアコンサルティング技能士

鵜飼柔美さん

グラン世代は人生の転換期
「心理学者のユングは、人生に起こる大きな転換期として40歳を“人生の正午”と名づけました。若くて体力があり、上り調子だった人生前半を午前とするなら、40代以降は人生の午後。日没に向けて少しずつ日が陰っていくように、仕事に停滞感を覚えたり、容姿や体力の衰え、家族の問題など“ままならないこと”が増えていきます。頭では理解していても心では納得できず、こんなはずでは、このままでいいのかとモヤモヤするのです」(鵜飼さん)

\読者の声/
「同じ会社に勤めて早24年。いつの間にか管理職という立場に。 やりたい仕事かと問われるとそうではなく、生活のためだけに働いている。 このままでいいのか、モヤモヤした日を過ごしています。」(管理職・48歳)

\体も心もふっとラクになる秘訣を専門家がアドバイス/
「失ったものに執着せず、知識や信頼など、得てきたものに目を向けて。“子供が巣立って寂しい→おかげで自分の時間が増えた”など、物事を違う角度から見てポジティブに意味づけする『リフレーミング』を試すと、気持ちがラクになります。今の自分にとって譲れない価値観や欲求は何か??それを掘り下げて納得した一歩を踏み出すことで、自然と前向きになれますよ」(鵜飼さん)

\物事の捉え方を変えてポジティブな思考を手に入れる「リフレーミング」/


【5】不安

心理カウンセラー「LOGOSCOPE」代表

片田智也さん

\読者の声/
「周りの目が気になって、人前に出るのも苦手。1度失敗すると、その評価がつきまとい、いつまでも引きずってしまいます」(あゆみ/保険事務・34歳)

\体も心もふっとラクになる秘訣を専門家がアドバイス/
人はみんな自分が主役。恐らく誰もあなたの失敗を気にしていません。
「実際、人はあなたのことをそれほど見ていません。たとえ見ていても、誰でも主役は常に自分。みんなあなたと同じで、“自分はどう思われているのか”、自分のことで頭がいっぱいなのです。あなた以外は誰もあなたの失敗を気にしていないはず。あなたの自己評価を、他人の評価と勘違いしているだけです」(片田さん)

\読者の声/
「新しい仕事を任されると、プレッシャーでダウンしがち。頑張ろうという気持ちがいつも空回りします」(ゆきぽ/保険会社・35歳)

失敗してもOK!「失敗はダメ」といった強迫的な気持ちを抑えてください。
「練習ではうまく行くのに本番でミスしてしまうことはよくあります。原因は『力み』。“うまくやろう”という思いが強すぎると、“失敗はダメ”といった強迫的な思いにすり替わってしまうのです。“頑張らなきゃ”と力まず、“最初は失敗してもOK”と練習のような心境で臨めば、結果、うまく行くことが増えるはず」(片田さん)

 

「気晴らし」をする7つの方法

【1】深呼吸=呼吸を深める


背筋を伸ばして胸を軽く開き、口をすぼめて長くゆっくりと息を吐く。おなかの空気を全部出すイメージで吐き切ったら、自然に鼻から息を吸い込む。おなかが膨らんだら、3秒程息を止め、再度ゆっくりと息を吐く。これを5回程繰り返す。慣れたら回数を増やして。

「感情は自律神経と密接な関係をもっていて、緊張や不安を感じているときは交感神経が優位な状態です。乱れた自律神経を意識的に整えられる唯一の方法が呼吸。不安なときは呼吸が浅く速いのですが、深くゆっくりと息を吐くことで、副交感神経が優位になり、不安を軽減できます」(片田さん)

 

日本アンガー マネジメント協会 コンサルタント

松井晴香さん

ムカッときたら6秒カウント。その間は深呼吸を
「イライラを感じても、6秒程経つと理性が働き始めます。6秒をうまくやり過ごすことで、衝動的な言動を抑えられるのです。

6秒をカウントするとき、同時に深呼吸をするのがおすすめ。怒っているときはアドレナリンが出て心拍数が上がり、呼吸が浅くなっているため、深くゆっくり呼吸をすることで心が落ち着きます。
または、怒りの温度の点数化をこの6秒で行っても!」(松井さん)

 

【2】感情を言葉にする


ジャーナリングは別名“書く瞑想”
気持ちを鎮め、手を止めずに書き続けることがポイント。5W1Hの事実と、内なる感情は線で分けて書くようにする。

「起きたことの5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)と、そのときの感情を書き留める“ジャーナリング”は、 自分を客観的に把握できる行為。安心感につながります。ただし、悪口で埋め尽くすのは、マイナス感情をあおるのでNG」(片田さん)

 


「イラッとしたり頭に来ることがあったときは、その場で内容をメモする習慣をつけましょう。 “アンガーログ” と呼ばれるこのテクニックで、 イライラや怒りの感情を“見える化” できるため、毎日記録していくうちに、自分は普段どんなことにイラつくのか、どんなことにこだわっているのかがわかってきます。怒りを客観視できれば、対処の仕方を冷静に考えられるようになります。また“アンガーログ”をつけるときは、いっさい分析しない ことも大切。あくまでも自分のイライラの傾向を知ることに役立ててください」(松井さん)

 

【3】信頼している人と話す


話をして安心できるのは、「共感」「協力」「共有」をし合える相手。自分の悩みを親身になって聞いてくれる友人が理想的。

「人は社会的な動物のため、困ったら助けてくれる仲間がいることが、安心感の源泉になります。自分が感じている不安について同じ温度感で共感し、勇気づけてくれる人が◎。
ただし、弱メンタル同士だと不安が強まるため、逆効果です」(片田さん)

【4】笑う時間を作る


動物の赤ちゃんなど、可愛くてつい微笑んでしまうような動画は、リラックス効果が大。好きなエンタメやお笑いを観るのも有効。

「通常、笑っているときは、リラックスしているとき。精神的に安心安全な状態です。うそ笑いではなく、心から笑えるシチュエーションを作ることで、不安や落ち込みの感情から解放されます。
大笑いする必要はありません。ふっと気を抜ける程度でも、習慣的に笑う時間をもつことは大事です」(片田さん)

【5】単純な作業に没頭する


料理に集中するのも◎。特に餃子を包むなど、同じ動作を繰り返す作業は、無になれて、不安や落ち込みの感情を忘れられる。

「不安を感じているときは、手や足を動かすことで、安心感を得やすくなります。貧乏揺すりもそのひとつ。例えば、編み物などの単純作業に没頭するだけで、気持ちが安定してくるものです。逆に、未来に起こるかもしれない危険に対して、ザワつく気持ちを抱えながら何もしないのは、不安を募らせることに。」(片田さん)

【6】運動をする


運動をノルマ化するとストレスになるので、通勤時にエスカレーターではなく階段を使うなど、無理なくできることを習慣に。

「運動をすると心拍数が上がって、筋肉が緊張します。そのときは精神的にも緊張を感じますが、運動後は自然にほぐれてリセット。運動で血流が促されることも、心の安定につながります。

頭でリラックスしようと思うと、かえって緊張してしまうので、考えるよりも体を動かす方が早くて効果的!」(片田さん)

 

運動することで“脳の栄養”が3倍も増える
心療内科医が“メンタルの安定に絶大な効果がある”と太鼓判をおすのが、適度な運動。

「運動をすると、脳由来神経栄養因子(BDNF)が増加します。BDNFは、脳の記憶や思考、感情などに関わる部位で活発に働いていて、いわば脳の栄養。運動するだけで、脳のBDNFが約3倍増えるという報告もあります。手軽でおすすめなのが歩くこと。できれば毎日同じべ―スで週に5万歩を目標に」(川村先生)

【7】朝起きたら、まず日光を浴びる


朝起きたら、まず日光を浴びることで不安やモヤモヤをリセット!
「日光を浴びると体内時計や自律神経系が整って、やる気スイッチがオンに。さらに、幸せホルモンであるセロトニンの分泌が促されるので、ストレスそのものを解消する効果も。朝日を浴びるのは5分程度でOK。紫外線ダメージが気にならない程度の外気浴を心掛けて。日中も日光が入る明るい部屋で過ごすのが理想的です」(小野先生)

 

気晴らしのつもりが…NG行動4つ

【1】愚痴だけをノートに書き出す

「グチを連ねた『デスノート』になってしまうのはNG。 記録はイライラした出来事のみに。 その場で起きた出来事のみを書くアンガーログとは違って、グチや恨みをひたすら書く“デスノート”は、イライラ感情の逆なでに。ネガティブな記憶が定着して、よけいに怒りが増幅します」(松井さん・以下「」内同)

【2】衝動買い、爆買い

「衝動買いは、 その後のイライラを招いてしまいそう 。 本当に欲しいものを吟味して買って楽しむのはOK。でもイライラ発散が目的の衝動買いや爆買いには注意が必要です。後で請求書が来たときに自己嫌悪に陥って、イライラが倍増しそう。その場だけなく、先の幸せにもつながる選択を!」

【3】お酒を飲む・甘いものを食べる


「甘いものやお酒などは依存性が高いので、イライラを理由に飛びつくと歯止めがきかず危険。量が増えると、“なんであんなに食べちゃったんだろう”“飲みすぎた~”と、後悔することに」

【4】友人にひたすら愚痴る


「話を聞いてもらうのはいいけれど、 悪口ばかりになるのはNG 。友達にしゃべったことで気分転換ができたり、気持ちをわかってもらえてすっきりしたというレベルならOK。でも、ひたすら悪口を言い続けるのは、ノートと同じでイライラの記憶の定着につながります。笑いながら話すくらいに留めて!」

 

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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