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2022.3.25

金継ぎと美容は共通項ありすぎ!?体験教室にGO【三井三奈子「50代からの美容アップデート」vol.7】

金継ぎ(きんつぎ)ってご存じでしょうか。そう、割れた食器をくっつけたり、欠けたところは補ったり、そしてその後に漆と金粉を纏わせて、趣や模様として愛でるあの手法です。最近、東京・代々木上原で開催されたワークショップに行ったのですが、レッスンを受けてみると「金継ぎってなんだか美容と似てるな~」と思ったのでご紹介しますね。【三井三奈子「50代からの美容アップデート」vol.7】

凹凸を埋める、ラインを引く…それはまるでメイク工程

最近、静かなブームとなっている「金継ぎ(きんつぎ)」。割れた磁器や陶器を接着して漆で保護し、それに金粉や銀粉などを施すこと。「ていねい暮らし」さんたちの間など局所的にはおなじみのワードでしたが、ここ最近の「ものを大事にしよう」ブーム&コロナで在宅時間が増えたためのDIYブームもあいまって、テレビや雑誌などで取り上げられる機会が増えている気がします。

学生の頃から金継ぎに興味があり、和食のお店で上手に継がれている器を見ると「ああ、このお店はものを大事にしていて素敵だな」なんて思っていました。その様子を見ると、「きっとお出汁や食材もきちんと扱われているのね」と。

いつか習ってみたいと思ってはいたのですが、そもそもが「割れた食器持参」となると、それをストックするところから始めないと……ということで、数年ごしに準備ができました。

近くに行った時にはたまにお邪魔する代々木上原の「社食堂」(インスタはこちら)。建築家の谷尻誠さん主宰のオフィスに併設されたカフェ的な食堂ですが、こちらのインスタをフォローしていて目に留まったのが「金継ぎワークショップ開催」のお知らせ。すぐに申し込み、何とか定員10名に滑り込みました。

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待ちに待った当日。14時からスタートなので、どうせだったら社食堂でお昼ごはんです。日替わりもいいのですが、定番のキーマカレー。こんなものを出してくれます。山椒が効いていておいしい。3

さて、時間になりワークショップ開始。女性9名、男性1名。ほとんどが30代40代の方々です。オフィスの一角にある「社食堂」ですが、その中でもよりオフィスに近いエリアで。なので私のテーブルの前方にはお仕事している人がいたりします。
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今回の先生は葉山在住の人気金継ぎ作家・藤田美穂先生。洗練された雰囲気のグラン世代美女です。

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まずは先生が参加者持参の器のひび、割れ、欠けをチェック。状態やモノによって「この場合はこう直していきましょう」という提案をくださいます。そして実際の作業に移りますが、私の場合は「ひび」と「にゅう」の状態です。「ひび」は触ってみると指先にザラッと線がわかるもの、「にゅう」は単に亀裂線が入っている状態で、ひびの手前の段階というもの。こんな感じ。傷が浅すぎてわかりづらいのですが……。見えますか?

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「ひび」も「にゅう」もまずはそのうっすらとしすぎる線に先のとがったペンのような彫刻刀のような……専用工具を使ってなぞり、ある程度しっかりとした溝を作っていきます。わざと傷をつくるのですね。6a
私は「ひび」と「にゅう」ですが、完全に欠けてしまっている人は断面を面取りのように紙やすりで整える作業があります。その工程はまるでネイルの断面をやする作業に似ています。断面を30~45度くらいに面取りしていきます。

ここまででうっすらと思ったのが、「なんか美容に似ている」ということ。例えば……

〇美容に似ているポイント1
気になる部分をわざとダメージ拡大させるのは、レーザーやピーリングに似ている。きれいにするために、一旦傷を負わせてその後プラスにもっていく。
〇美容に似ているポイント2
完全に割れている断面をやすりがけするのは、まるでネイルのやりがけ作業に似ています。

今回は1dayワークショップなので、漆で接着する方法は向きません。接着剤と樹脂パテを使用して溝をしっかり埋めて(画像左)、溝以外のところのはみだし分はやすったり、拭き取ったりして溝だけに詰め物が残るようにします。すると画像の右のようにへこんだところだけが埋まってフラットになるのです。それってつまり……

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〇美容に似ているポイント3
化粧下地で毛穴を埋めたり、場合によってはシワを埋めたりするのに似ています。仕上がりの美しさ、なめらかさに大きく影響する工程だというところも。

その後、極細筆を使って漆の線を描くのですが、これがまたメイクの「あの」作業に似ています。
14〇美容に似ているポイント4
これってアイライナーそのもの。少量をパレットにちょんちょんと出し、極細筆を使って割れ目に線に引く。慣れていない人はこれがまた難しい。……ってことは、アイライナーみたいに筆ペンタイプの漆があればいいんじゃない?(それだと固まってしまうのかな)

しばらく乾かした後は真綿でつくった「パフ」で金粉なり銀粉なりをまく。これが非常に難しく、産毛の上をなでる感じ。
12a〇美容に似ているポイント5
フェイスパウダーを施すのと同じ! 今回は真綿をほぐしてコットンボールを作りましたが、私たちがよくやる四角い化粧用コットンを半分に裂いてその断面でお粉を付けてパウダーを打つのに似ている!というかそのもの。

お片付けの際、漆をのせたパレットをきれいにする時に食用油を含ませたティッシュで拭くのも、メイクをクレンジングオイルで落とすのと同じ理屈。気持ちいくらいサッと拭き取れてきれいになりました。

ざっとこんな感じなのですが、図らずも「金継ぎと美容は共通項が多い」ということに気づいた日でした。

大事に持って帰って3日間乾燥後に洗ってみると、はみ出したり余分に重なったりしていた金粉が落ちてこんな感じ。お皿は益子の「よしざわ窯」のもので、湯飲みは以前の氏神様だった駒留八幡神社からいただいたもの。どちらも高価なものではないけれど、大事にしていたものだったのでまた使えるようになってうれしい! ちなみにこうやって修復した傷跡を「景色」と呼ぶんですって。「この器の金継ぎは景色がいい」……みたいに様子を愛でるそう。
kintsugi藤田先生いわく「これからは欠けたり割れたりしたものを貯めておく『金継ぎボックス』をつくっておくといいですよ」と。はい。そうします!

4月7日(木)テレビ東京系列23:06~のカンブリア宮殿に谷尻誠さん&社食堂が取り上げられるようで、このワークショップもちょこっと出るみたい。観てくださいな。※放送予定日は変更の可能性もあります。

藤田美穂先生の金継ぎワークショップ情報は
ここでチェック↓
@mihofujita

社食堂はこちら↓
渋谷区大山町18-2
03-5738-8480
@shashokudo

 

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美的GRAND編集部デスク
三井三奈子

出版社、化粧品会社、海外での広告代理店勤務を経て、現在は『美的GRAND』エディトリアルディレクター。小学館『ミニレディ百科』をバイブルにしつつ、サンタさんに頼んだ『ダリヤお子さま化粧品』セットを使い倒しながら、「わたしは雑誌をつくる人になっておしゃれ情報をみんなに届けるの!」と小学2年生でこの道を志す。10歳から45歳まで、ずっと吹き出物に悩まされ、齢50歳でようやく落ち着く、どちらかというと皮脂多め系。

Instagram @minashanshan

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