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2022.5.12

ゲスト・松田美由紀さん|作家LiLyの対談連載「生きるセンス」第3話「オンナと四十路」

40歳以降は生き方が顔に出るという。そして生き方にはセンスが出る。 私たち、どう生きたらいいですか? 40代からの人生が輝く"読むサプリ"。 記念すべき初回のゲストは、女優で写真家の松田美由紀さんです。 【作家LiLy対談連載「生きるセンス」第1 回ゲスト・松田美由紀さん 】

【作家LiLyの「生きるセンス」】記事一覧はこちら

美由紀さんは「年齢」という数字が持つ印象に
自分自身が負けそうになったことはないか、と聞いてみた。

「やっぱり、一番負けそうになったのは私も40歳かな。40代から景色が変わるところはあるから。新しいスタート、という意味でも一つの青春がそこで終わるというか。自分の問題なのか、世間からの目線なのかはわからないけれど……」

確かにそうだ、自分と世間と二つある。
「セットだよね」と私が言うと、
「セットだね」と美由紀さんも深くうなずいた。

世間からの目は気にせずに自分らしさを貫くのは素敵だけど、あまりにも世間からの印象と自己イメージとがかけ離れてしまうのはやっぱり素敵とは言い難い。
もちろん、なにを「素敵」だと思うかにも個人差は出るが、私はその辺りのバランス感覚も大事だと思っている。
服装やメイクはもちろん、生き方も。

年齢を理由に可能性を狭めるのは嫌だけど、
年齢とともにアップデートはしていきたい。

だからこそ、「自分らしさ」と「世間が思う40代」との折り合い地点、つまりは“いい感じの落としどころ”がまだ掴み切れない不安定さの中に私は今、いるのかも。
そんな想いを話すと、「あとは」と美由紀さんが続ける。

「自分自身や世間からの目というのも超えて、40代からは閉経へと繋がる更年期がきたりして、女性としての節目であることは確かだからね。やっぱりそれは女性としての気持ちが揺らぐこと。子供を埋めない年齢になっていく、という重さ」

それはもう動物として絶対に関係があると思う。私は深く肯いた(と、同時にここに対する感じ方には個人差が大きく出るだろう。どちらが良い悪いという話ではなく、その人の“性質”というのは性別を超えるから)。

それこそ私自身は、一日でも早く大人のオンナになりたいという強い願望から、初潮を心待ちにしていたような子供だったから、その性質は今もそのまま。「まだまだもっとオンナでいたい」気持ちが強い。

だからこそ余計に、ここからの加齢に対して心が揺らぐ部分が大きいのだろう(もちろん、子供を産める年齢=女などとは全く思っていない。ここでいう“オンナ”とは、好きな男性から欲情される対象でいたい、という欲望に近い気がする。が、まだうまく言語化できないので、この連載の中でまた追々解明していきたい)。

その一方で、女性にとって、適齢期は適齢期でなかなかしんどい。子供を産む可能性がある、ということでの迷いや焦りが生まれる。選択肢が多いことは良いことではあるけれど、ありすぎても混乱と葛藤を生むもの。
そういう意味では、選択肢が減ることで迷いからやっと解放される面もある。そう思うことができれば、ラクになれる。

「そう。ほんとうにね、すべては月と太陽」
と、美由紀さんは言った。
「楽しいことと嫌なことはいつもセット」と。
「うん、そこだけはほんとうにフェアだよね」
と、私は深くうなずいた。

「40代に向かう時も、そう。いいことも悪いこともセットになった節目だよね。
でもね、女性としての葛藤のようなものは、そこまでよ。そこからもう、自由になりますよ。年齢に囚われなくなる。
30代から40代の境目だけだと思う、私はね。
そこからは45歳になろうが50歳になろうが、そんなに変わらなくなるよ。
そう考えると、40歳という節目はやっぱり大きいから、もうお祭りみたいに思えばいい。
そういうちょっとしたことでいいの。イベントにしちゃうのよ。それで自分にはずみをつける。

それに、いつだって人生で今が一番若いわけじゃない?
今が一番美しくって、今が一番若い。
そんな自分にどんなお祭りをしてあげるか、だと思うんです」

▶︎▶︎ つづく ▶︎▶︎
第4話「育児とコスパ」

松田美由紀:女優、写真家。’61年生まれ。モデル活動を経て、スクリーンデビュー。近年は写真家、アートディレクター、シャンソン歌手としても活躍。環境問題や発展途上国の孤児たちへの支援、自殺防止問題や、エネルギーシフトなどにも積極的に取り組んでいる。

LiLy:作家。’81年生まれ。神奈川県出身。N.Y.とフロリダでの海外生活を経て上智大学卒。25歳でデビューして以来、女性心理と時代を鋭く描き出す作風に定評がある。小説、エッセイなど著作多数。instagram @lilylilylilycom noteはこちら

文/LiLy 撮影/竹内裕二(BALLPARK)ヘア&メイク/三田あけ美(松田さん)、伊藤有香(LiLyさん) 構成/三井三奈子(本誌)

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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