【PMS&生理】1人で悩まないで! 婦人科医が生理トラブルにアドバイス|今、正しく知っておきたい婦人科のコト

人には聞きづらい、不正出血や不順、PMS、オリモノの悩みetc.…でも、ちょっと恥ずかしかったり、痛いの? と恐怖があったり、どの検診を受ければいいのか、いろんな情報がありすぎてわからない…。でも大丈夫。正しく最新情報を知ることで対処できることはたくさん産婦人科専門医と一緒に、必要な情報を整理していきましょう!今回は、人には聞けない「PMS&生理」のトラブルについて『Inaba Clinic』院長の稲葉可奈子先生にアドバイスを聞いてきました!
【PMS&生理編】誰にも聞けない不快な症状や不安、メンタル不調にアドバイス
つらいときに我慢することは禁物!ためらわず受診を
「女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンの2種類があって、常に分泌量のバランスをとり続けています。これらは脳と卵巣が連携をとっているため、分泌量をセルフコントロールすることは不可能。よく食べてよく寝れば治るというものでもないのです。クリニックではホルモン剤などを用いて治療を行います。軽い不調の場合は栄養バランスの良い食事、充分な睡眠、適度な運動、ストレス管理などを日々行なうことで、ある程度は症状が改善することもありますが、自分でコントロールし切れないことも多いので、我慢せず婦人科に相談しましょう」(稲葉先生・以下「」内同))
相談1|生理がきちんと来ないと閉経が遅くなるとか、将来妊娠しづらくなるというウワサを聞いたので、オンラインで処方されたピルを20歳から使い始めました。ところが生理痛があったり、暴食をしたりするようになって…。正しく服用できていないのでしょうか?(A・Sさん 25歳)
A.オンライン処方は便利な一方、適切な診断が難しいというデメリットもあります
「ピルにも種類がたくさんあります。この方の場合、恐らく合っていないピルなので、合う種類が見つかれば改善されるかもしれません。肥満、高血圧、喫煙習慣がある、血栓症の家族歴がある人はそもそもピルの使用が適さないため、婦人科を受診しましょう」
相談2|おりものがいつもと違う場合、色やニオイ……どこに注意するべきですか?(C・Tさん 31歳)
A.気にしすぎる必要はなし!いつもと違うサインがないかチェックしてみましょう
「生理前後の赤茶っぽい色は心配いりません。粘り気が強いおりものも排卵期特有のものなので大丈夫です。黄色や緑っぽい色で生臭いニオイはトリコモナス腟症の可能性も。自分で判断するのは難しいので、気になる場合は婦人科に相談してください」
相談3|腟内フローラを整えるとニオイやかぶれが軽減すると聞きましたが、実際のところどうなのでしょう(R・Iさん 26歳)
A.腟内のケアは自分に合った方法を医療機関で相談するのが◎
「確かに、話題に上がることが多いですね。腟内フローラは大切ですが、サプリメントなどで経口摂取したものが腟内細菌にどれほど影響を及ぼすのか不確かな部分も…。ケアしないといけないものではないので、気になる症状があったら婦人科で対策を」
相談4|生理前になると夜中に突然暑くなって眠れなくなったり、微熱が出たりすることも(すぐに下がる)。この間は仕事が立て込んでいるにもかかわらず、眠気がひどくて思うように作業が進まず、さらに不安感に襲われるという悪循環に…。症状は月によってまちまちですがどうケアしたらいいでしょうか?(W・Wさん 31歳)
A.セルフケアではPMSに太刀打ちできないので、婦人科で相談を
「生理前の不調はPMSと思われます。排卵後の女性ホルモンの乱高下が原因とされています。セルフケアではコントロールできないので、婦人科で相談しましょう。低用量ピルや黄体ホルモン製剤でPMS症状の軽減が期待されます」
相談5|少量の不正出血なら問題ないでしょうか?(A・Tさん 29歳)
A.少量だから大丈夫、ということはありません
「生理以外のタイミングで出血がある場合は不正出血となります。少量でも子宮の病気が原因のことも。問題ない不正出血かどうかは自分では判断できないので、婦人科を受診しましょう。病院に行く目安は、出血が2週間程続いている場合です」
相談6|ふとしたことで涙が出たり、ネガティブになったり…。PMSだからと思いつつも、自分を責めてしまうことがありつらいです。このままPMSの薬を飲み続けないと治らないものでしょうか?(R・Oさん 33歳)
A.自分に合った薬に出合えて、体調が改善できていることに目を向けてみましょう
「自分を責めてしまう程メンタルが落ち込んでしまう場合は、どうしても一定期間は薬を飲み続ける必要があります。ただ、ネガティブに捉えるのではなく、うまく付き合っていくという意味で、改善できる薬に出合って良かったと考えてみましょう」
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生理がラクになるとウワサの「ミレーナ」って何?
最長5年の効果を発揮!過多月経の改善や避妊を目的とした子宮内に装着する医療器具
「ミレーナは子宮内に挿入するT字形の柔らかいプラスチック製の器具です。表面にコーティングされた黄体ホルモンが子宮に吸収されることで、経血量や生理痛を軽減、高い避妊効果も。気になる方はクリニックへ」※挿入時の痛みは個人差があります。
女性ホルモンはコントロール不可?
不確かな情報に振り回されないよう正しい知識を得て対処しましょう
「女性ホルモンと似た働きをするサプリメントは有効ですが、さも自分の意思で増やせるかのようにアピールした製品には注意が必要です。また、恋愛やセックスで得られる高揚感や多幸感が女性ホルモンの分泌を促すというのもデマです」
『美的』2025年10月号掲載
イラスト/大内郁美、green K(人物イラスト) 構成/宮田典子、鈴木 晶、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
いなば かなこ/産婦人科専門医・医学博士。京都大学医学部卒業、東京大学大学院博士過程修了。三井記念病院、関東中央病院産婦人科医長を経て現職に。著書は『生理痛・PMSから、妊娠・出産、更年期まで 女性の体のきほん』(ナツメ社)ほか多数。