マスク肌トラブル|ニキビ、たるみ、シミetc.…原因や基本対策をまとめてチェック!

マスクと肌、まだまだしばらくは切っても切れない“密”な関係。さらに高温多湿な季節を前に、まずは起きがちな肌トラブルとその原因、基本対策をひと目で見渡しておきましょう!
初夏マスク肌トラブルマッピング
マスク生活はもはやスタンダードに。肌が緊急事態になる前に適切なケアを!
マスク生活も2年目。すっかりマスク姿が日常になりましたが、気分的には慣れても肌にとってはずっと続く異常事態。長時間のムレ、異物との接触に対応できず肌トラブルが続出。よくあるのが湿度や皮脂が引き起こすニキビ、毛穴の詰まり。また、マスクとこすれることでバリア機能が弱まり、くすみやシミも目立つように。たるみや化粧くずれによる日焼けなども悩み深い。皆さんもこんな症状出ていませんか? まずは適切なケアのために、症状を分析してひとつひとつの原因を探ることが大切。本格的な夏が来る前に、きちんと予防をしておきましょう!
Q. 1週間に何日マスクを着用しますか?
Q. 1日、何時間くらいマスクを着用しますか?
※’20年(10月3~4日)資生堂調べ Web調査、18~69歳女性 N=1,500
\マスクを取ったらこんな悩ましい症状が…!/
【症状 1】ニキビや赤み
資料提供/ウォブクリニック中目黒
今までニキビに悩まされたことがなかった人でも、マスクの長時間装着で肌環境が変わり、ニキビができやすくなる。マスク生活になってから、マスクで隠れる頬やあごにかけて肌あれをしたり、ニキビが増えた場合は要注意!
《原因》湿度変化と摩擦によるバリア機能の低下
1.短時間で急激な湿度の変化
マスク内のムレというより、短時間での湿度変化が原因のひとつ。
「マスク内は常に季節の変わり目のような環境。短時間のマスク装着でも、マスク内の温度は上昇、湿度は呼吸に合わせるように小刻みに上下を繰り返します。この急激な湿度変化の繰り返しにより、肌のバリア機能の形成と保湿機能がダメージを受け、肌あれが起こりやすくなります」(佐倉さん)
不織布マスク内の温度と湿度の変化
資料提供/資生堂
2.マスク着脱時の摩擦の繰り返し
マスクの着脱によるこすれにも注意。「肌のいちばん外側にある角層には、外部の影響から肌内側の水分などを保護するバリア機能があります。角層は体のほかの部位に比べて薄く、ダメージを受けやすい状態。マスクの着脱時の摩擦により角層が剥がれ、バリア機能が低下して肌あれにつながることも考えられます」(佐倉さん)
ティッシュで10回こすった後の肌表面の角層の状態
資料提供/資生堂
ニキビや赤みの解決策はこちら>>
【症状 2】たるみ
資料提供/ウォブクリニック中目黒
口角が下がったり、法令線が深くなってくっきりしてくる。「マスクで隠れているから口元が緩んでいてもいいか」という甘えがあると、マスクを外したときのたるんだ状態にびっくりすることも…!
《原因》表情筋が使われなくなったこと
話しているときの口元の動きは、マスク着用時でも変わらない!
頬や口元のたるみは、マスクというよりコミュニケーション不足によるところが大きいそう。
「口元の筋肉活動は、マスク着用時も未着用時も変わりません。マスクそのものというより、新生活においてコミュニケーションが少なくなり、表情や発話する機会が減ることで表情筋が使われなくなります。その結果、口角が下がり、笑顔も減少しがちに」(佐倉さん)

Q. 人と「会うこと」は減りましたか?
※’20年(11月17~18日) 資生堂調べ Web調査、18〜69歳女性 N=1,500
\それより…マスク生活は目元の筋肉に影響大/
マスク時は目元を酷使している!
「マスク着用時に表情を伝えようとすると、目元の筋肉活動は増加。目元の肌は、顔のほかの部位よりも薄く乾燥しがちで、疲労や加齢の影響が出やすい。マスク生活で、今まで以上に酷使されています」(佐倉さん)
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【症状 3】乾燥くすみ
カサカサがひどくなり、なんだかくすんで見える顔の下半分。長時間でいく度ものマスク装着は肌表面の皮脂や水分を奪い、乾燥につながる可能性大。マスク生活でなかった頃のケアでは追いつかないのかも…。
《原因》マスクで肌の皮脂や水分が奪われること
資料提供/ファンケル
特に不織布のマスクは要注意!
繊維を織らずにケミカル加工してシートにした不織布のマスクは、コットンやシルクのものに比べて肌への負担が大きい。「不織布のマスクは肌の必要な水分や皮脂を奪い、肌の乾燥が進みバリア機能が低下。それを補おうとして角層が厚くなり、くすみにつながります」(高瀬先生)
乾燥くすみの解決策はこちら>>
【症状 4】シミ・肝斑
資料提供/ウォブクリニック中目黒
頬の高い位置や口の横辺りにシミができたり、頬骨近くにあった肝斑が濃くなったり。もしかしてそこ、マスクの縁が当たっている部分では? 固くなっている不織布の縁がこすれ、メラニンの生成が促進されてしまう。
《原因》こすれによる炎症
資料提供/ファンケル
摩擦によって引き起こされた炎症がメラニンを生成
ガサガサとした肌触りの不織布マスクは、摩擦が大きくて肌の負担大。「マスクとこすれる頬骨辺りや鼻の肌は、炎症を起こしてメラニンを生成しシミが増えて濃くなります。目の下辺りにできる肝斑も同様。昨年は外出を自粛して紫外線を浴びる量が少なかったためか、マスク接触以外の部分のシミや肝斑は落ち着いていたようです」(高瀬先生)
シミ・肝斑の解決策はこちら>>
【症状 5】くずれ日焼け
きちんとUV対策をしていたのに、気づいたら顔全体がうっすら日焼けしていたという場合は、マスクによる湿気や汗で日焼け止めが落ちてしまっているのかも。また、マスク越しの日焼けも侮れない!
《原因》ムレや汗での化粧浮き
資料提供/資生堂
日焼け止めが落ちやすく化粧浮きもしやすいマスク生活は、普段以上に対策を!
日差しが強くなるこれからの季節、特に注意したい日焼け。
「マスクを着用していると、メイクや日焼け止めは普段以上に落ちやすくなります。こすれやムレによる発汗、皮膚温度が上昇して皮脂量が増えることにより、化粧膜が浮いてよれるため。マスクは紫外線が透過するものが多いので、しっかりした紫外線対策が必要です」(佐倉さん)
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【症状 6】毛穴目立ちやザラつき
資料提供/ウォブクリニック中目黒
特に鼻や、頬の内側にある毛穴の開きが目立つ。ザラつきは同様の場所のほか、あごにも多い。適切なケアをしないと、毛穴の開きにたるみが加わり、加齢の象徴であるドロップ毛穴になってしまうかも…。
《原因》高温多湿による発汗と皮脂増加
資料提供/ファンケル
高温多湿のマスク内は汗をかいて毛穴が大開きに…!
気温が高くなってくるこの季節、マスク内も冬に比べてさらに蒸し暑く。
「マスクによって肌が覆われ、高温多湿の状態に。体温を下げるために発汗が促されて毛穴が開きます。同時に、皮脂分泌も促進。マスクは肌に必要な皮脂を奪ってしまうので、それを補うために皮脂分泌が過剰になる場合もあります」(高瀬先生)
毛穴目立ちやザラつきの解決策はこちら>>
マスクをした日のベーシックスキンケア
(1)クレンジング・洗顔はとにかく絶対こすらない
クレンジングは滑りのいいミルクで、顔の中心から外側へのばす。洗顔はしっかり泡立て、泡をつぶさないように洗って。指の腹を使ってクルクルと。すすぎもこすらず、丁寧に流すだけに。
(2)化粧水・乳液は手のひらで浸透
とにかく量はケチらないこと。指の腹で押さえるように顔全体にのばしたら、手のひらで押し込むように肌に浸透させる。乾燥が気になる目元や口元は重ねづけをして潤いで満たして。
(3)マスクが当たる部分はクリームで保護
マスクの縁が当たる頬の高い部分や頬の外側、あご下などは、バリア機能を守るためにクリームを。固めのクリームは手のひらで温めて緩めてから、指の腹を使ってスッとなじませる。
\マスク使用前及び経時での肌表面のスキンケアの状態/
化粧水で肌を整え、日中用乳液※を使用した後、不織布マスク(衛生マスク)を着用し、飲食を含めて日常生活を過ごしたときのスキンケアの状態をUV照射カメラにて可視化。
※UVを照射して塗布状態を可視化するため、UV吸収剤入りの日中乳液を使用。
資料提供/資生堂
マスク着用時こそ、ベースメイクが大事
スキンケアだけだとマスクのこすれで、有効成分が落ちやすくなる。スキンケア成分を肌の上でキープするために、フェースパウダーなどのベースメイクは必須!

ウォブクリニック中目黒 総院長
高瀬聡子先生
東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学で皮膚科医として勤務。’07年に「ウォブクリニック中目黒」を開院。メディカルコスメの開発や書籍の執筆なども。
『美的』2021年6月号掲載
イラスト/鈴木 旬、きくちりえ(Softdesign LLP) 構成/斉藤裕子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
資生堂における、さまざまなブランドの情報開発を歴任。現在は、グローバルで展開する「SHISEIDO」ブランドの技術価値開発を担当している。