我慢できない「かゆみ」どうすれば? アトピー性皮膚炎にNGな食べ物を知りたい!|かゆみのお悩みQ&A
マスクなどによる肌刺激、乾燥、季節によるゆらぎ、アレルギー…日常生活には全身がかゆくなる要因がいっぱい!病院に行くほどでは…と思いつつ結構ストレスなそのかゆみ、何が原因で、どう対処すれば繰り返さずにすむのかを解説します。
かゆみのお悩みQ&A
\かゆみについて伺ったのは/
横浜市立大学大学院医学研究科 環境免疫病態皮膚科学 教授
山口由衣先生
やまぐちゆきえ/横浜市立大学大学院医学研究科修了。膠原病や乾癬などの免疫疾患を専門として、大学の専門外来での診療・研究・教育・学会活動を行う。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・指導医。
Q. かくとますますかゆくなるのはなぜ!?
A. かくと炎症が起き、またかゆみが出てかく。この繰り返しで悪循環に
「手あれ程度のかゆみでも乾燥して表層にすきまがあると、そこから刺激が入ってかゆみが出ます。かくとその部分に炎症が起きて、皮膚のバリア機能が壊れて、またかゆみでかいてしまう。この悪循環をイッチスクラッチサイクルと呼び、放っておくと難治性湿疹に。ステロイド剤で炎症を鎮めて、保湿剤でバリア機能を改善します」(三井先生)
Q. 我慢できないほどのかゆみの応急処置を教えて
A. 少し冷やすとかゆみが和らぎます。爪を立てて皮膚に傷をつけないで
「一般的には冷やすと良いといわれますが、落ち着かせ方は人それぞれです。かゆみの出方もさまざまで、アトピー性皮膚炎などは寝ていられないほど。乾癬も睡眠時、知らずに傷つけてしまうことがあります。患部をひねるくらいならまだしも、爪を立てて皮膚に傷をつけるのは絶対禁物です」(山口先生)
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肌のすみずみまで天然温泉水、スクワラン、ヒアルロン酸、セラミドなどを浸透させて、刺激から肌をガード。ミストタイプなので、手軽な潤い補給にも◎。
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Q. 食事、睡眠、運動…etc.気をつけるべき生活習慣は?
A. できるだけ規則正しい生活を心がけ、ストレスや疲労をためないように…
「じんましんの7割は原因不明ですが、疲れや睡眠不足、仕事がハードだと出る方もたくさんいます。自律神経の乱れやストレスが誘発していることが多く、コロナ禍で増えた印象です。香辛料など刺激性の強い食品は肌に悪いし、甘いものの食べすぎもかゆみの原因に。クリーニングに出さないウールの服でダニにかぶれる人もいます」(山口先生)
Q. アトピー性皮膚炎にいい食べ物、NGなものを知りたい!
A. いろいろ食べることでアレルギーを抑えると、現在は考えられています
「アトピー性皮膚炎には小麦、牛乳、卵などは禁忌と思われがちですが、食べて急性ショックを起こすような1型以外の方は、実はいろいろな食品を食べることが、免疫寛容*となり、アレルギーを起こさないようにします。食べて口の周りがかぶれるのは皮膚への外的刺激によるもので、起こしやすいものにアボカド、キウイ、マンゴーなどがあります」(三井先生)
*ヒトの体に異物が入ってきたときに体を守る働きをするのが免疫です。アレルギーはこの免疫が過剰に働いている状態。免疫寛容は本来、口から入る食物などにはアレルギーを起こさないよう働くシステムのこと。舌下免疫療法で使われています。
Q. 内臓からくるかゆみはありますか?
A. 美的世代にはごくまれです。甲状腺機能障害などにみられます
「美的世代の方にはあまり関係ないのですが、糖尿病の状態が悪い、腎臓、肝臓が悪い方、特に黄疸が出ているようだと強いかゆみが現れます。体内の毒素を解毒する代謝の関係です。30代の内臓由来疾患だと甲状腺機能の悪化くらい。甲状腺ホルモンが活性化し、汗をどんどんかくので、かゆみが生じます」(山口先生)
Q. 帯状疱疹もかゆみが出ますか?
A. かゆみはごくまれで、チクチク、ピリピリといった違和感が最初に生じます
「帯状疱疹でかゆみが出るのは、極めてまれなことです。異常感覚、アロディニアといって、最初、チクチク、ピリピリした感じが起きます。痛みとかゆみの神経は共通しているのですが、かゆみとはまったく違う感覚です。その違和感の起こった後に発疹が現れます。もともと体に潜んでいたウイルスが再活性化して神経にダメージを与える病気です」(三井先生)
『美的』2022年5月号掲載
イラスト/香川尚子 図版作成/きくちりえ(Softdesign LLP) 構成/つつみゆかり、青山貴子、有田智子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
みついひろし/東京大学医学部医学科卒、同大学院医学系研究家外科学修了。大学病院の講師などを経て、’19年より現職。専門はアトピー性皮膚炎、乾癬。臨床現場で多くの患者を診療するほか講演も多数。