健康・ヘルスケア
2021.5.19

口臭が起こりやすい表情、起こりにくい表情とは?【女医に訊く#158】

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口臭の原因は唾液不足による口の乾きにあります。では、唾液はどんな表情のときに出なくなり、どんな表情のときに湧いてくるのでしょうか? 口臭予防について、女性のための口臭専門クリニック「東京ブレスクリニック」院長の上田恵子先生にお話をうかがいました。

口臭はどんなときに起こりやすくなる?

前回、口臭の原因は、歯や舌ではなく、歯を覆っている唾液や舌の表面にある唾液にあるというお話をしました。では、唾液はどんなときに出なくなったり、濁ってしまったりするのでしょうか?

「正面を向いて顔の力を抜き、そのまま下を向いてみてください。このとき奥歯を噛んではいませんか? このような状態では、話もしにくいですし、ごはんも食べにくくなります。お口の中の生理機能がストップ状態に入っているのです」と話すのは、日本口臭学会認定医の上田恵子先生。

「口臭がもっとも起こりやすいのは、無表情のときや下を向いて作業しているとき。舌と上顎の間がくっついて気道が確保されないうえ、口の中の生理機能が止まってしまうため、口の中に口臭ガスが充満し、喋り出した瞬間に強いニオイが一気に吐き出されてしまうのです」(上田先生)

スマホやパソコンなど、下向き作業が多い現代人は、より口臭が起こりやすくなっていると考えられます。口臭対策のためにも表情や姿勢には十分気をつけましょう。

口臭が起こりにくい表情や姿勢は?

「口臭が起こりにくいのは、ずばり笑顔で口の力を抜いているときです」と上田先生。笑顔になると、舌と上顎の間に空間が生まれます。すると、舌が自由に動かしやすくなり、唾液の流れがよくなるのです。

「例えば、赤ちゃんはよだれが多いイメージですよね? あれは、赤ちゃんには(おそらく)悩みがなく、舌が自由に動いて唾液もたっぷり出るため。ところが、成長して精神発達すると、知らない間にストレスを感じるようになり舌の動きは止まってしまう。さらに、唾液の分泌は自律神経が支配しているため、緊張したり強いストレスがかかったりして交感神経が優位に働くと、唾液の分泌量や質は低下してしまうのです」(上田先生)

自律神経のバランスを整えるには、規則正しい生活を送ることが大切です。できるだけ毎日同じ時間に起きて、3食きちんと食べ、質の高い睡眠をとるように心がけましょう。

「まずは朝からしっかりご飯を食べること! 朝にエネルギー補給をして口を動かすという刺激を与えないと、1日の舌の動きも悪くなりますよ」(上田先生)

簡単エクササイズとガムで口臭を防ごう

口臭の原因は唾液不足による口の渇きにあります。では、口の渇きを予防するには、どうしたらよいのでしょう?

「おすすめは『ら・スマイル』というエクササイズ。『ら』と発音するとき、舌が丸まって上顎につきますよね? その状態をキープしたまま、背筋を伸ばして正面を向き、にっこり微笑むだけ。回数や時間は自由ですが、マスクを着用したままでも行えますから、思い出したときにやるといいでしょう」(上田先生)

こまめにお水を飲んだり、口の中にガムを入れておいたりするのも有効です。味のなくなったガムを舌の上に置いておくだけでも、舌と上顎の間に空間ができるうえ、異物反射で舌が勝手に動いてしまうのです。

「ガムは味のあまりない、硬めのものがいいですね。ずっと噛んでいると顎が疲れてしまいますから、味がなくなってきたら舌の上に置いておくだけで大丈夫。唾液がジワジワと湧いてきますよ」(上田先生)

日本口臭学会認定

上田恵子先生

文/清瀧流美 撮影/フカヤマノリユキ

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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