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2022.5.27

人は、3年に一回、顔が変わる?【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.9】

下の2枚の写真は、どちらも女優ナオミ・ワッツ。2017年の写真と、2020年の写真、3年の経過がある。2つの顔を比較して、あなたは何を感じただろうか。人は3年に一度、見た目に歳をとる……そういう説があるのだが。【齋藤薫「大人美のマナーとルール」vol.9】

2年で顔はさほど変わらないのに……。

かつてあるメーカーが、社員をモニターにして“顔の変化における詳細な調査”をしたことがあった。人間は、時間経過とともにどのように顔が変わるのか? それを本気で調べて、ある種のデータにしたのだ。

そして見えてきたのが、「3年変貌説」。人の顔は、1年や2年の経過ではあまり変わらないけれど、でも3年経つと明らかに変わると言うもの。もちろん個人差もあるのだろうが、不思議なことに3年目で目に見えて顔が変わる人の割合が本当に高かったのだ。

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2017年
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2020年

例えば上の2枚の写真、2017年と2020年のナオミ・ワッツ。どちらも美しいが、明らかに印象が違う。シワの数だけでなく、なんとなく顔立ちの印象が違うはずなのだ。
ちなみになぜここでナオミ・ワッツを選んだのかと言えば、ハリウッド女優では珍しく、美容医療に頼っていないから。あくまで自然に任していて、それでも美しい人だから。でもそれだけに、3年経過の変化はとてもリアルである。「3年変貌説」とは、なるほどこういうことなのかと理解してもらえるはず。

ふと思ったのは、運転免許書の更新期間。今は改定されて、違反がなければ5年有効だが、確かに3年更新の時、写真を撮るたびに何か顔印象が変わっていたことを思い出した。でも逆に言えば、「3年変貌説」を知るまで顔は毎年変わるのだと思っていたが、そうではなくて3年に1度なのだと、これ自体とても新鮮な発見だった。

いや、当然のこととして毎年少しずつ変化はしているが、変化が蓄積していって、形の変化がわかるまでになるのが 3年かかる、と言うことなのだ。
電化製品なども、ある日突然動かなくなったりするものの、急に壊れるわけではない。外側からは見えない経年劣化が内側で溜まっていて、溜まりきったところでパツンと壊れる。人の老化も同じなのだ。

3年を4年に伸ばし、4年を5年に伸ばす

でも、実際そうならば、こんな考え方はできないだろうか。顔の衰えが形になって見えるまで、逆に言えば、3年の猶予があるわけで、だからこそ日々の変化を、日々最小限にしていくことで、形の衰えは3年が4年に伸び、4年が5年に伸び……というふうに、変化を後ろ倒しできるのではないかと言うこと。

一方でこんな発想もあるのかもしれない。
3年間同じ美容をしているから、衰えが形になってしまうのだとすれば、年々スキンケアを更新していけば“3年目の変貌”は防げるのではないか。実際に化粧品は日々刻々と進化しているわけで、そうした進化に自然に身を任せていれば、確実に更新ができていると言うことにもなる。

でもそう考えてみると、これまで衰えることに対して、私たちはとても無知だった。シワやシミが増えることに対してはひどく神経質だし、法令線が気になる、目の下のクマが気になると、パーツパーツの衰えは深刻に受け止めるのに、衰えによる顔全体の変化に関してはむしろ無頓着だったと思う。

もちろん、エイジングケアは一生懸命やっている。でも顔印象がどの程度変化しているのかついては、全く掴めていなかったこと。もっと顔印象そのものをエイジングケアするような意識が必要だと言うことに、改めて気づかされるのだ。

それも、自分の顔を遠目から客観的に見るという視点を持たないから。私たちはどうしても鏡を間近で見て、些細なことに悩むばかりで、他人の目で自分を見ることを忘れてしまう。遠目から見ないと、顔全体の変化はなかなか見えてこないのに。
たるみはもちろん、日々の表情が作っているなんとなくの顔印象、それもひっくるめての顔の変化を、多くの人は見ていないのだ。

そもそも毎日毎日見ている鏡では、そうした3年目の変化など気がつく道理がないけれど、他人の目はそれを見ている。それを忘れてはいけないのだ。

今こそ、老けちゃったねと思われないために

奇しくも今、2年以上のブランクを経ての、再会の時。それこそ3年ぶり、というケースも少なくないのだろう。 しかも世界的なブランクだっただけに、それはただの再会ではない、待ちに待った満を持しての再会だから、誰もがお互いどうしていただろう、どう変わっているのだろうと、相手の変化に対して特別な思いと関心を持っている。

ましてや久しぶりの再会では、誰もが当たり前に“人に持つ印象”をリセットする。改めてお互いの評価を塗り替える。そこで、あの人、ずいぶん変わっちゃったと、“老け感“だけが際立って伝わってしまったら悲しい。いや間違いなくそういう印象だけが、相手の中に刻み付けられてしまう。それは恐ろしく損なことなのだ。

だから改めて、自分をよく見てほしい。遠目からの顔印象と、“3年前の写真の自分”を比較してみて欲しい。シワの数が増えているのは仕方ないこと。でもそれをカバーするだけの、肌の透明感や輝き。表情の美しさ、そして生き生きとした生命感があれば、3年目の顔変化を乗り越えられるはずなのだ。

逆に言うなら、ここで「3年前の自分よりも、さらに美しく若々しく」というテーマを持つことで、本当の意味で年齢という宿命に勝てるのではないか。
美容はついつい闇雲に、ただキレイになりたいという漠然とした願いだけで進めてしまいがち。そうではなくて1つの明快な目標を持ったとき、それを超えるような結果を得られるはずなのだ。だから3年前の自分より美しく。難しい話ではない。過去の自分に負けないこと、それだけなのだから。

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美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。『大人の女よ! 清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)、『美人だけが知っている100の秘密』(角川春樹事務所)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)など著書多数。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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