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2018.6.12

『 オンネリとアンネリのおうち 』『 レディ・バード 』『 最初で最後のキス 』『 ALONE 』 試写室便り 【 大高博幸さんの 肌・心塾 Vol.451 】

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©Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.

ふたりだけの、秘密の おうち。
ずっと、一緒。いつも、おそろい。

北欧から届いた、ちょっぴり おませな女の子たちの、とってもキュートな物語。

オンネリとアンネリのおうち
フィンランド/ 80 分
6.9 より公開中/配給:アット エンタテインメント
www.onnelianneli.com

【 STORY 】 オンネリとアンネリは とっても 仲良し。ある日 ふたりは、バラ通りで「 正直者に あげます 」と書かれた お金の入った封筒を拾い、そのお金で、バラの木夫人という おばあさんから 夢のように素敵な 水色のおうちを買うことに。
オンネリ ( 注:黒髪の女の子 ) は 9 人きょうだいの まん中で、アンネリ ( 注:金髪の女の子 ) は 離婚した おとうさんとおかあさんの間を 行ったり来たり。ふたりの両親は 忙しすぎて、自分たちが いなくても 気づかない。
「 わたしたち、ふたりの家に住んでいい? 」
気難しそうな お隣りさんや、魔法が使える陽気なおばさん姉妹、ちょっぴり変わった ご近所さんと交流しながら、ふたりだけの楽しい生活が始まる。しかし、お隣りさんに 泥棒が――! ( プレス資料より )

可愛い可愛い ふたりの女の子の 現代版 おとぎ話。こゝまで愛らしい映画には、めったに お目に かゝれません。登場人物は、気難しいエキセントリックなお隣りさんから 泥棒さんに至るまで、本当は みんな いゝ人ばかり。適度にハラハラさせるスリリングなシーンもありますが、こんな風に世の中が回っていったら、どんなに楽しいだろうと僕は思いました。本作には 稚気と善意が あふれていて、そこに嘘っぽさが少しも感じられないところが素晴らしい。衣裳も装置も 100% 美しく、観た人は 大人も子供も 幸福感に満たされるコト 確実です。そして 何度でも観たくなる…、これは そんな映画です。

少しだけ付け加えておくと…、オンネリとアンネリは、拾った封筒を まず交番へ届けに行きます。優しい おまわりさんは、ふたりの正直さに感心しながら「 これは 君たちのモノだよ 」と、ふたりに封筒を 丸ごと渡します。ふたりは「 どうしよう… 」と困惑し、封筒を 拾った元の場所へ 戻しに行きます。すると バラの木夫人 ( 実は 彼女は フェアリーコッドマザー ) が現れて、「 そのお金で、この家を買ったら どう? 私が住むために建てた家なの。でも、どうしたコトか 子供向きの家になってしまったので、私は とても住めないのよ 」と言うのです。そんな風に展開する映画であり、道理は きちんと通っている。しかも 状況説明や伏線の張りかたが 簡潔かつ洗練されているので、誰が観ても分かりやすい上に、安易な印象はゼロでした。

横隣りの〝 魔法が使える陽気なおばさん姉妹 〟は、名前がノッポティーナとプクティーナ。カラフルな庭の花々は不思議ちゃん。おばさん姉妹は イースターエッグを産むニワトリを飼っていて、自動車には ガソリンではなく 生卵を割って入れて エンジンをかけるという暮らしぶり。
もう一軒の気難しいお隣りさんは、最初、全身 黒づくめ & 黒のアイシャドウというコワい顔で登場しますが、やがて シャドウはソフトグリーンに、最終的に ナチュラルベージュに変わります。それが 彼女の頑な心の変化を示すプロセスと リンクしている点も見逃せません ( ほゝえましい話が 絡んでくるのですが、それは 観てのお楽しみ ) 。

最初から最後まで、僕は ほとんどニコニコ顔で観ていましたが、ラストシーンでは ちょっぴり 嬉し泣き…。映画を観ながら嬉し泣きしたなんて、いったい何年振りのコトだろう? 想い出せません…。
原作は、マリヤッタ・クレンニエミ ( 作 ) × マイヤ・カルマ ( 絵 ) の同名の絵本 ( 福音館書店 刊 ) 。監督・脚本は サーラ・カンテル。
本作は、フィンランド映画の歴史的興行記録を塗り替えたそうです。
これは読者の皆さん全員にオススメの映画。『 アメリ 』よりも、もっともっと可愛いです。ぜひ 観てください!

 

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© 2017 InterActiveCorp Films, LLC.

青春の輝きと痛み。
誰もが共感して心震わせる新たな傑作!

羽ばたけ、自分。

レディ・バード
アメリカ/ 94 分/ PG 12
6.1 より公開中/配給:東宝東和
ladybird-movie.jp

【 STORY 】 2002 年、カリフォルニア州 サクラメント。閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会 ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン ( 自称〝 レディ・バード 〟 ) 。高校生活最後の年、友達や彼氏や家族について、そして自分の将来について、悩める 17 歳の揺れ動く心情…。( プレス資料より。一部省略 )

本年度 ゴールデン・グローブ賞の ミュージカル/コメディ部門で、作品賞 & 主演女優賞を受賞した話題作です ( アカデミー賞®では 5 部門にノミネート、米映画 レビューサイトでは 100%大絶賛の記録を更新 ) 。
約 2 年前に公開された優秀作『 ブルックリン 』( Vol.346 ) で主役を演じた シアーシャ・ローナン ( 1994 年生まれ ) が、すっきりスリムな体型になって〝 レディ・バード 〟役を好演。前作よりも 数段 少女っぽく見えるというだけでも、凄いコトだと思いました。

本作で 特に印象的だったのは、〝 レディ・バード 〟が 真の友達を選ぶ能力 & そうではない友達を切り捨てる ( ? ) 能力を しっかり持っているという点でした。そして 僕が最も感動したのは、彼女が疎遠になっていた親友 ( 丸々と太ったジュリー。演ずるのは ビーニー・フェルドスタイン ) と 仲直りをしに行くシンパセティックなシーンです ( But、サラッとしています ) 。それは 日本の女の子たちに、もっともっと見習ってほしい精神構造…。

脇役で登場する ティモシー・シャラメは、『 君の名前で僕を呼んで 』とは 打って変わって、女の子とカジュアルにセックスしてしまうという、どうでもいゝような男の子の役。ちょっと面白かったのは ルーカス・ヘッジズ演ずるダニー少年で、かなり驚きのシーンを含めて〝 レディ・バード 〟との絡みに、応援したくなるような いじらしさがあったコト。

本作が単独監督デビュー作となる グレタ・ガーウィグ ( 脚本も ) の演出は、テンポ良く、テキパキ・サクサクとしたタッチ。たゞし 最後の着地は、少々急ぎすぎたと僕は感じました。サム・レヴィの撮影は、ピントを浅くした 星づく夜のシーンが、うっとりさせられるほどロマンティックでした。

 

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(C)2016 Indigo Film – Titanus

不器用な僕らが 誰よりも輝いていた日々。

イタリアで スマッシュヒット!
16 歳の恋と友情を ビタースイートに描いた
青春映画。

最初で最後のキス
イタリア/ 106 分/ PG 12
6.2 より公開中/配給:ミモザフィルムズ
onekiss-movie.jp

【 STORY 】 イタリア北部の典型的な地方都市 ウーディネ。個性的なロレンツォは、気さくで愛情深い里親に引き取られ、トリノから この町にやって来る。お気に入りのカラフルな服装で登校した彼は、瞬く間に 学校で〝 浮いた 〟存在に。〝 オカマ! 〟と罵声を浴びても 軽く受け流し、自分らしさを貫くロレンツォは、学校で浮いた他の 2 人 ―― ある噂から〝 尻軽女 〟との そしりを受ける少女 ブルー、バスケは上手いが〝 トロい 〟とバカにされるアントニオと 友情を育んでいく。若者らしく 羽目をはずし、他愛ない お喋りに花を咲かせ、盛り上がりついでに、自分たちを疎外する生徒らに復讐を試みるが、それを機に 少しずつ歯車が狂い始める――。( プレス資料より )

『 あしたのパスタはアルデンテ 』( 通信 67 ) の脚本家 イヴァン・コトロネーオの監督作品だと知って、迷わずに観た青春映画。物語は 実話 = 2008 年、カリフォルニアのある学校で、15 歳の K 少年が、クラスメートの 14 歳の M 少年に 後頭部を銃で撃たれて死亡する という事件に基づくもの。K 少年が バレンタインデーを前に、M 少年への 好意 ( 恋ごころ ) を告白したコトが、事件の引き金になったとのコト。ミュージカル調の場面があったり、実写にアニメが加わるなど、喜劇的なタッチを織り込んではいるものの、本作は 根本的にシリアスな 一種のヒューマンドラマです。

イタリアでは、監督やキャストが全国を回り、3 万人もの高校生と映画を観て ディスカッションするという大々的なキャンペーンが行われ、多くの若者の共感を得ています。そして「 誰に観てほしいか? 」という問い掛けに対して、意外にも「 両親に観てほしい。両親が知るべき 私たちのリアルな姿が描かれているから 」との回答が 多数 寄せられたそうです。

僕は本作を観て、ちょっとした知恵と勇気と寛容さ or 思いやりの心の大切さを、改めて強烈に思い知らされました。短気はNG、対応の仕方を少し変えれば or 工夫すれば、お互いに楽しく幸せに生きていけると、本作の〝 付加的な最後のシーン 〟が教えてくれたのです。それも 押しつけがましさゼロで…。〝 尻軽女 〟というブルーの噂話に関しても、真相は どうだったのかを知るのは 実は容易なコトではなく、〝 噂 〟に対する受け止め方にも、私たちは 自らを律する必要があると、改めて考えさせられました。この映画は 大人は勿論ですが、若いうちにこそ観ておくべきだと僕は思います。

主役の三人は 揃って適役を好演。第一主役のロレンツォを演ずる リマウ・G・リッツベルガーは、インドネシア人の父とオーストリア人の母を持つハーフ。エキゾチックな顔立ち、綺麗な 肌・眼・唇の持ち主で、しかも 非常に豊かな表情が 実にチャーミングでした。

 

alone
©2016 Mine Canarias Aie Roxbury Enemy Sl Sun Film Srl Mine Film Llc

誰もいない 何もない砂漠で 地雷を踏み、
取り残された兵士、救援まで 52 時間。

命を脅かすのは、何者だ――

ALONE アローン
アメリカ、スペイン、イタリア/ 106 分/ PG 12
6.16 公開/配給:パルコ
alone-movie.jp

【 STORY 】 射撃の名手である米軍兵士 マイクは 砂漠での暗殺ミッションに失敗し、相棒のトミーとともに退却を余儀なくされる。しかし徒歩での移動中、ふたりは無数の地雷が埋められた危険地帯に まよい込み、トミーが爆死してしまう。自らも地雷を踏み、一歩も動けなくなったマイクは 無線で救助を求めるが、仲間が到着するまで 52時間も堪え忍ぶことを強いられる。大自然の猛威。謎めいた原住民の出現。猛獣の襲撃。予測不能のアクシデントに見舞われ続けるマイクは、極度の疲労で意識が混乱するさなかに 幼少期のトラウマと向き合い、自らの生死を分かつ 決断を迫られていく……。 ( プレス資料より。一部省略 )

今 最も旬なスター俳優の座にある、アーミー・ハマーの単独主演作 (『 ジャコメッティ 最後の肖像 』や『 君の名前で僕を呼んで 』よりも先に出演した作品で、プロデュースも兼任 ) 。

地雷が 経年劣化で不発となる可能性は 僅か 7%。昼は灼熱の太陽が照りつけ、夜は極寒地獄と化す過酷な自然環境。無線の受信状態は最悪で、水も食料も残り僅か。しかも 救助部隊が到着するのは 52時間後…。そんな途方もない極限状態に置かれたマイクの運命を、A・ハマーが 全篇 出ずっぱりで演ずる シチュエーション・スリラーです。

一歩も動けないというシチュエーションは、ジェームズ・フランコ主演の『 127時間 』( 通信 60 ) を、地雷の恐ろしさは、シネスイッチ銀座で観た『 ヒトラーの忘れもの 』( 2017年 アカデミー賞®外国語映画賞 デンマーク代表作 ) を想い出させます。しかし この『 ALONE 』は、マイクの幼少期のトラウマ ( 父親の DV に起因 ) と、それにより 恋人との結婚に〝 一歩 踏み出せない 〟彼の心理を、現実と 幻想 or 幻覚、及び 過去と現在と未来とを 錯綜させて描いている点で非常にユニーク。

A・ハマーは 坊主頭で登場し、徐々に疲労困憊していく姿を 鮮烈に表現しています。ひとつ驚かされたのは、兵士になる以前のマイクが 恋人と一緒にいる回想シーンで、その肌色が ピンク系に見える瞬間があったコト。照明のためではなく、メイクが そうだったのだ と僕は思いました。それが 良いかどうかは ベツの話として…。

 

 

アトランダム Q&A企画にて、 大高さんへの質問も受け付けています。
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biteki-m@shogakukan.co.jp
( 個別回答はできかねますのでご了承ください。)

ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾
http://biteki.com/beauty-column/ootakahiroyuki

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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