健康・ボディケア・リフレッシュニュース
2011.6.13

大高博幸の美的.com通信(60)命の尊さに関する新作2本~試写室便りNo.12

(写真上)127時間/(写真下)黄色い星の子供たち

生きて帰りたい。
断崖に挟まれた一人の青年の究極の決断―。彼の勇気が世界に感動を与えた奇跡の実話!
『127時間』(原題=127HOURS)
★詳しい内容&クレジットetc.は、http://www.127movie.jpへ。
<6月18日から、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー>

アメリカ国内で超有名になった実話の映画化です。
ロッククライマーのアーロンは、ブルージョン・キャニオンで落磐事故に遭い、右手を岩に挟まれる。助けを求める声は無人の荒野に虚しく呑み込まれていくばかり。後悔と希望、空想と絶望が入り乱れる127時間。愛する家族たちと再び生きて会うために、アーロンは究極の決断を下す…。
生き抜くための勇気と、“生きる”という意味について考えさせられる映画です。ほとんどの場面が岩に挟まれて動けないジェームズ・フランコ(アーロン役)のひとり芝居になるワケですが、その演出と演技が変化に富んでいて、最後まで緊張感を持続させた点など、本当に見事というほかありませんでした。
そして…、唐突ですが、実は僕にも似たような出来事が17才の夏の終りに、山ではなく海であったコトを、スクリーンを見つめながら想い出していました。アーロン青年の状況と比較すれば大した出来事ではなかったのですが、その時、「このまま、ココでは死ねない。どうすれば生きて岸へたどりつけるか」と冷静な思考力を取り戻せたのは、家族三人=祖母・母・妹の顔を想い浮かべた数秒後のコトだったのです。それこそが恐いもの知らずだった僕にとって重要な瞬間だったんだなぁと、改めて感じさせられたのでした。
心臓の弱い人なら、数秒間、直視しがたい場面も映し出されます。But、その間は、まばたきを一瞬スローにすれば大丈夫! 上映時間は94分です。

約束して。必ず、生き抜くと。
歴史の陰に隠された史上最大のユダヤ人一斉検挙。
家族と引き裂かれながらも、過酷な運命を懸命に生きた子供たちの真実の物語。
『黄色い星の子供たち』(原題=LA Rafle)
★詳しい内容&クレジットetc.は、http:/www.kiiroihoshi-movie.comへ。
<7月23日より、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー>

50年以上にわたって公式に認められなかった極めて残酷な許しがたい事件…。1942年に、なんとフランス政府(!)によって取り行われた史上最大のユダヤ人一斉検挙。その事件の全貌を初めて詳細に描いた真実の物語です。元ジャーナリストのローズ・ボッシュ監督は、これを善悪二元論的な作品とも、お涙頂戴的な作品ともせずに、人間性と非人間性を描写するコトに成巧しています。
僕自身は、残念ながら戦争を題材とした作品に対して語る能力を持ち合わせていないので、この映画を心から推薦するコトと、「公式サイトをぜひ読んでください」と言うだけで精一杯です。ただ、「この映画は人として観るべき作品だ」というコトだけは断言できます。そして、ボッシュ監督、主演のメラニー・ロランとジャン・レノをはじめ、この映画に関わったすべての人々に敬意を表します。上映時間は125分ですが、少しも長くは感じられませんでした。
P.S. 1942年当時、フランス政府はナチスの支配下にあり、在仏ユダヤ人たちをダニ呼ばわりするようなフランス人も少なくはなかったようです。しかし、その一方で、ユダヤ人を逃がしたり匿ったりするフランス人、収容所で喝きを訴える1万3千人のユダヤ人に水を与えた消防団の責任者とその部下たち(全員フランス人)、奇跡的に死を逃れた子供を救い、養い育てたフランス人夫婦などの姿もスクリーンに表れます。人として生きる以上、僕もそういう類いの人間でありたいと心から思いました。
P.S. この映画は、僕が子供の頃に観た『禁じられた遊び(広い意味での戦争映画)』、『人間の条件・完結篇』、『わが闘争(ドキュメンタリー)』、大人になってから観た『シンドラーのリスト』、『帝国のオーケストラ(ドキュメンタリー)』などと並ぶ力作であり、それらに勝るとも劣らない優れた作品だと感じています。くどいようですが、ぜひ観てほしいです。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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