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2011.8.17

大高博幸の美的.com通信(67) 笑えるだけじゃない喜劇、『あしたのパスタはアルデンテ』 試写室便りNo.16

(c)Fandango2010

他人の望む人生なんて、つまらない
2010年、世界でいちばん愛されたイタリア映画。
家族の愛と絆を描いた、笑って泣けるとびきりの感動作!
『あしたのパスタはアルデンテ』(原題=Mine Vaganti)
★詳細は、cetera.co.jp/aldenteへ。
<8月27日(土)から、シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開>

人それぞれの生き方や幸せについて、しんみり考えさせられもしたけれど、この映画は明るくてユーモラスで、とってもハッピー 黄金期復活の様相を呈すイタリア映画界で、その一翼を担う名匠と評価の高いフェルザン・オズペテク監督の最新作。僕はこの監督の作品を観るのは初めてですが、「心底優しい、懐の広い人なんじゃないかな」という印象を受けました。ひとりひとり個性的な登場人物たちを、全員心から愛し認めているという雰囲気が、画面から自然に伝わってくるのです。

物語の舞台は南イタリアの美しい町、レッチェ。ここで老舗のパスタ会社を経営している二代目社長がその座を息子に譲る段となり、共同経営者を一堂に集めて晩餐会を開きます。そこで誰もが驚愕するようなコトが起きて、二代目社長は憤怒の末にバッタリ卒倒、入院する破目に陥ります。

ストーリーを追っていると長くなるので、以下、僕の個人的感想&大好きな場面などを列記するコトにしました。

共同経営者の美しい娘アルバ(30才前後)は、幼い頃のツラい想い出を乗り越えて、しっかりと自立している現代的女性。靴が大好きなようで、愛車内に常時数足を用意して、ヒンパンに履き替える習性の持ち主。プロポーションも顔立ちも髪型もモデル風にスマートですが、良い意味での生活感を備えていて、そこが何よりも魅力的。But、彼女が運転する車に同乗するのは考えモノ。スピード出しすぎで危ないからです。

尊大なイメージを振りまくワリには意外なほど気弱で、傷つきやすい性格の二代目社長(60才前後。第1主役トンマーゾ君のお父さんです)のキャラが凄くいい。観ているうちに「可愛い」とさえ思えてくる好人物。

二代目社長夫人(50代後半ぐらい)と、先代社長の未亡人(70代後半ぐらい)と、二代目社長の妹(40代後半ぐらい、独身)の、メークした顔とノーメーク顔の違いに目が釘づけ。三人共、それぞれ、どちらも美しいのですが、最もメーク映えするのが先代社長夫人だったコトも印象的でした。

二代目社長の妹ルチアーナは、僕にとって最も興味深い登場人物。ド近眼でインテリ風のフレーム眼鏡をかけてクールに過ごしているというのに、夜になると娼婦風のナイティを身につけて、まるで誰かを待っているかのように髪も爪も美しく整える…。そんな彼女の部屋には、泥棒がよく忍び込む。だというのに、バルコニーはいつも開けっ放し。だから泥棒は、また侵入してくる。その泥棒が何を盗みに来るのかを、この邸のお手伝いさんふたりは見破っている、らしい…。

第一主役のトンマーゾ君(30才前後)の友だち三人が、ある朝、庭に向かって歩きながら話すセリフが面白い。「クマが取れるって言うから買ったのに、ゆうべ使ったら、もっとヒドくなったわ。インチキ化粧品め!」、「まあ、ヒドいわねー」。その友だち三人は全員、男性です。僕は思わず「ワッハッハ!!」と笑いそうになりましたが、ココは試写室。「クックック!」ぐらいに抑えながら、ちょっぴり冷や汗。

ラストのガーデン・ダンスパーティは最高でした。時を超え、それぞれの立場も超えて、誰もがみんな楽しそうに踊るんです。かなり不思議な光景なのに、なんでもないコトのように映し出されるのを観ながら、「この映画の監督さんはタダ者じゃない」って思いました。

上映時間は113分。憂さ晴らし、暑気払いにもってこいの映画です。精神衛生上、プラスになるコト、請け負います。
P.S. セックスシーンは、残念ながら出てきません(笑)。

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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