今こそ「美容成分」をきちんと使いこなす! 成分マスターたちが徹底討論

『美的』の読者のなんと8割が化粧品を選ぶ際の指針にしている「成分」。美容偏差値の高い皆様のために、乾燥の気になるこの冬に知りたい保湿とエイジングケアに特化した成分企画を考えました!今回は成分マスターたちが徹底討論!

スキンケア・サイエンスコミュニケーター博士(工学)
次田哲也さん
花王株式会社にて化粧品の基礎研究やカウンセリングシステム開発などを担当。独立後「KAIROS SKIN CARE」を立ち上げ、エビデンスに基づいた化粧品のコンサルティングを行う。

美容エディター
もりたじゅんこさん
『美的』をはじめ、雑誌や書籍など多くの媒体で編集・執筆に携わる。『美的』では“スキンケア番長”として多くヒット企画を生み出す。豊富な取材経験から成分への造詣が深い。
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【美容成分診断】保湿&エイジングケアのおすすめ「成分&コスメ」が分かる!
成分の組み合わせの正解は?成分を効かせたいなら保湿が大前提!
美容成分はコスメ選びの重要な要素になっている
美容賢者 内科・皮膚科医 友利 新先生
――『美的』読者へのアンケート結果からも、コスメを選ぶ際、成分を気にしている人がとても多いことがわかりますが、この結果をどうご覧になりますか?
もりた もちろん、美容雑誌を購読している方々なので、一般の方よりはかなり意識が高いからこその結果だとは思いますが、それにしてもすごいですよね。
次田 長年、研究開発を行ってきた立場からすると、うれしくもありますが少し複雑な気持ちではあります。
友利 そうですよね。たとえばセラミドでいうと、肌のラメラ構造の構成要素のひとつではありますが、じゃあセラミドを補えばそれで良いのか、というと違いますよね。研究開発の現場ではもっとその先の「人間の肌にのせた後」のことを見据えて設計をしているのに、成分にばかり注目されるのはちょっと違う。
もりた 料理に例えるとわかりやすいかも。現状、使われている食材だけを見て判断している感じ。本当にすごいのはそれをまとめ上げる技術なのに…。
友利 でもこれ、私も責任の一端を感じているんです。何か化粧品をご紹介する際に、技術や処方の紹介をしてもうまく伝わらないので「○○成分が入っているんです」と言いがち。キャッチーだしわかりやすいんですよね。
次田 もちろん、成分を知ること自体にメリットは大きいのですが、技術面と両輪で考え、化粧品としての総合力でアイテム選びをしてもらえるとうれしいですね。
友利 数年前には成分名すら、一般の方にはあまり知られていませんでした。だから将来、成分をきっかけに処方技術にまで興味をもってもらいたい、そんな期待をしています。
化粧品は、長期間安全に使えるよう配慮した設計
美容賢者 美容エディター もりたじゅんこさん
――読者からの疑問が大変多かったのが「成分の組み合わせ」。正解やNGはありますか?
友利 薬の飲み合わせなどと違いますので、化粧品の組み合わせは気にしすぎなくて大丈夫です!
次田 開発の際、製品を温度や湿度、あらゆる環境下でテストするんです。ユーザーの方が、ほかにどんな化粧品を使用しているかもわかりませんし、使い方や保存状況なども千差万別です。また、薬とは違って長期間にわたって使い続けるもの。だから基本的にどんな化粧水や乳液と合わせても問題がないように設計されています。もちろん、開発者側の立場からすると、スキンケアはライン使いしていただくのが理想的なんですけどね。
もりた それでいうと、守るべきは組み合わせよりも使用順かもしれませんね。
友利 洗顔後すぐに使うのか、化粧水の後に塗るのか、はたまたクリームなどの後に使うのか。それが化粧品のポテンシャルを最大限に発揮させる方法なんですよね。
もりた あれこれ一気に何種類も重ねるよりも、厳選したアイテムを正しい順序で使うといいですね。あと逆に、使う量が少なすぎるという方も意外と多いみたいなので…。
友利 まさに「用法用量を守って正しくお使いください」、ですね。
成分名で飛びつかず、まずは情報を精査するべき
美容賢者 内科・皮膚科医 友利 新先生
――『美的』読者の好きな成分第1位が『レチノール』! そのほかランキングをご覧になっていかがですか?
友利 レチノールもビタミンCも個人的には大好きな成分。ですが、肌に合う人と合わない人がいることは事実。
次田 赤みや刺激が気になるという方は、濃度や使用頻度を減らしたり、誘導体の形で配合されているものを選ぶのがおすすめです。個人的には、長年商品開発に携わってきたので、セラミドがここまで認知度が上がったことが感慨深いです。
もりた エクソソームやリジュランといった美容医療由来の成分が気になるという声も増えていますよね。
友利 医師の立場からすると、注射や点滴で得られる効果が、化粧品として肌に塗った際にどの程度期待できるのかは疑問ですね。
次田 臨床試験に携わってきた者としては、臨床データがどれだけあるのか?も気になるところ。
友利 同じ成分を使っているのに、高価な化粧品というのは、何もパッケージがラグジュアリーだからではなくて、その裏で、莫大な研究開発費をかけているからなんですよね。
もりた だから大手メーカーさんのドラコス、プチプラ商品は良い成分が入っているので本当にお得。
友利 特に、新規成分を自社で生み出すのは大変な研究が背景にありますので、メーカーさんに注目するのもひとつ。ここまで成分に対する意識が高まっているのなら、トレンドや話題の成分に飛びつく前に、エビデンスの部分など情報の“質”を大切にしてほしいですね。
地味だけど保湿ってすごい!ゆらがない肌に潤いは不可欠
美容賢者 スキンケア・サイエンス コミュニケーター博士(工学) 次田哲也さん
――さて今回は、乾燥シーズンを迎え打つべく知っておきたい保湿成分とエイジングケア成分をご紹介しますが、正しく使うことのほかに成分を上手に効かせるコツとはなんでしょうか?
もりた スキンケアも『ホップ・ステップ・ジャンプ』が大事だと思っていて、いきなりハイパフォーマンスの成分を取り入れるよりは、保湿成分で肌の土台を整えてから、抗炎症成分や肌を底上げするような成分へ、最後に攻めの成分を取り入れる、そういった段階的なケアをしてほしいですね。
友利 地味に感じるかもしれませんが、まずは“肌がゆらがない”ことが大前提! 乾燥しないベースを整えた上でエイジングケア成分を取り入れて上を目指すのがいいと思います。
次田 「保湿が命!」とあえて言わせてください。保湿には大きなパワーがあって、実は保湿ケアをしっかりすることでかなり改善に向かうことが多い。つい攻めの成分に目が行きがちですが、ぜひ、保湿成分にも注目してみてください。
『美的』読者に調査!①
『美的』読者に調査!②
Q.好きな美容成分は?
1位 レチノール
2位 ビタミンC
3位 ナイアシンアミド
4位 セラミド
そのほか トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウムなど
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【保存版】セラミドやワセリン、エクトインetc…今注目の「保湿成分」を一挙紹介|配合コスメもチェック!
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【保存版】レチノールやフェルラ酸etc…冬老けに負けないエイジングケア成分を紹介|配合コスメもチェック!
『美的』2025年2月号掲載
撮影/横山翔平(t.cube/人物) ヘア&メイク/鈴木京子(友利先生分)、相馬久美子(もりたさん、次田さん分) スタイリスト/槇 佳菜絵(友利先生分) 取材協力/鈴木 晶 構成/村花杏子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
医師の立場から正しい美容・健康情報を発信し続ける。公式YouTubeチャンネルは登録者数160万人以上! TVなどメディア出演も多数。化粧品成分、処方に関する知識も豊富。