まつ毛美容液が原因で緑内障になることがあるってホント?真相を専門家に直撃!【美容の常識ウソ?ホント?】
日常生活で生まれる美容や女性のライフスタイルの疑問を専門家に答えてもらうこのコーナー。今回は「目」について。まつ毛美容液が原因で緑内障になることがあるってホント? 吉祥寺森岡眼科の院長、森岡清史先生にお話を伺いました。
Q:まつ毛美容液が原因で緑内障になることがあるってホント?
ハリとコシがあって、長く美しいまつ毛は女性の憧れ。そんなまつ毛を育てるために使いたい、まつ毛美容液が緑内障の原因になるというウワサが…。これは本当なのでしょうか。さっそく、この疑問を森岡先生に聞いてみました!
A:ウソ
「緑内障の治療薬でまつ毛が伸びる成分が入っているものもありますが、まつ毛美容液が原因で緑内障になるということはないと思います」(森岡清史先生・以下「」内同)
まつげ美容液の成分は?
「すべてのまつ毛美容液の成分を調べたわけではないので、100%とは言えませんが、まつ毛美容液が原因で緑内障になるということはないと思います。そもそも緑内障の原因は眼圧が高くなること以外、はっきりとはわかっていませんし、まつ毛美容液にはプロスタグランジンという、緑内障の治療に使う目薬に入っている成分が配合されているものもあります。とは言え、まつ毛美容液は目に入れることを想定して作られていませんし、刺激も強いと思うので、目に入って良いということではありません」
緑内障の目薬でまつ毛が伸びる?
「緑内障というのは眼圧が異常に高くなってしまい、視神経が傷ついてしまうことで視野が狭くなって、視力が低下してしまう病気で、失明の原因にもなります。そのため、治療では目薬などを使って眼圧を下げる必要があります。緑内障の目薬にはいくつか種類がありますが、その中に眼圧を下げる効果が強いとされるプロスタグランジンというものがあります。この成分には、まつ毛が伸びるという副作用もあります。だから、上でもお話した通り、まつげ美容液に配合されているケースもあるのです。それだけ聞くと、緑内障の目薬を使えば、まつ毛も伸びて、目にもいいと思ってしまうかもしれませんが、そのほかの副作用として、まぶたを黒ずませたりする、色素沈着が起こる可能性もあります。また、プロスタグランジンなどが配合されているまつ毛美容液にも同じようなことが起こり得る、ということを覚えておくと良いかもしれませんね」
Point
・緑内障の目薬と同じような成分が入っているまつ毛美容液がある・プロスタグランジンにはまつ毛が伸びる&色素沈着を起こす副作用もある
緑内障ではない人が緑内障の目薬をさしたら?
「健康な目の人が緑内障の目薬をさして、いいこともないけれど、それで目が悪くなることもないと思います。正常な眼圧は10〜19くらいなのですが、プロスタグランジンの目薬をさして2くらい眼圧が下がって、8〜17くらいになったとしても、さほど問題はないでしょう。しかし、まつ毛を伸ばしたいからと言って、緑内障の目薬をさすようなことはおすすめしません。そもそも市販薬にはなく、お安い薬でもないですし、先述したようにまぶたの縁のところが黒ずんでくることもあるので、良い効果が得られるとは言えません。それなら、副作用の可能性が少ない、安全に使えるまつ毛美容液を選ぶほうが得策だと思います」
文/土屋美緒
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浜松医科大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究科にて網膜色素上皮細胞の研究に従事し、同大学院を修了。医学博士授与、日本眼科学会眼科専門医認定。都内の眼科に勤務後、吉祥寺森岡眼科を開設。視覚身体障害者指定医・難病指定医でもある。著書は「目は10秒でもっとよくなる!—すぐできる目ヂカラの強化書」(自由国民社)、「見える力がよみがえる 立体 遠近トレーニング」(サンクチュアリ出版)。
吉祥寺森岡眼科