“Mattママ”桑田真紀「これって更年期?40代からの不調への向き合い方」|美的GRAND 連載 vol.19

夫は野球界のレジェンド・桑田真澄氏、次男は現在アーティストとして活躍中のMatt Rose氏。専業主婦から一念発起し、公私ともに支える桑田真紀さん。根っからの「応援体質」の真紀さんが、彼らの才能をどうサポートしているのか。真紀さんの「応援力」は、夫、子供、義理両親といった身内だけでなく、上司・部下・同僚やママ友、すべての人間関係の参考になるはずです。
身体から出る不調のささやき、心のゆらぎに気づくためには

思い切って人に話してみるだけで解決する不調もある
40代も半ばを過ぎたころ、「あれ? なんだか調子が変だな」と感じる瞬間が増えてきました。忙しさのなかに紛れていたけど、何だかだるいし明らかに本調子ではない。ごまかしていた身体の声が、ある日突然、そっと顔を出してくる——そんな感じでした。
そうしているうちに、喉の奥に何かが引っかかっているような、詰まったような違和感。決して「痛い」とか「苦しい」というわけではないのですが、なんとなく、いつもと違う。正確に言葉にするのが難しい感覚なのですが、じわじわと、でも頻繁に日常の中で起こるようになり、咳払いのようなことをしたりして「どうしたの?」なんて友人や家族に心配されたりして。
しばらくすると、耳の奥にも妙な重たさを感じるようになりました。膜が張ったような感覚というのか、まるで、水の中にいるかのように、ちょっと世界が遠くなるような、ぼんやりした聞こえ方。そんなきっかけからよくよく注意してみると、気づけば動悸がしたり、急に顔がほてるような瞬間もやってきて。あれ? これってもしかして、話には聞いていた更年期?と思いながらも、「病気ではなさそうだし、これくらいではクリニックに行くのも大げさだと思うし、具体的に発熱とか寝込んで起きられないとか深刻な症状がないから、行っても説明しづらいしね……」としばらく放っておくこと数カ月。しまいには「気のせいでしょう!」と無理やり自分を納得させていました。
でも、やっぱり気になる。かといって、やっぱり病院はイヤだし、誰かに話すのもためらわれていました。「変に心配されたくない」と意地を張ったような考えもあったし、「こんなこと、わざわざ言うことかな」と、ついのみ込んでしまっていたんだと思います。「年齢を重ねた不調」ということを自ら言い出すのも、自分がみんなよりも老けているんですよと公言しているようで恥ずかしいという、つまらない見栄のような気持ちもちょっとだけありました。
そんなある日、お友達とのお茶の席で、ぽろっと「最近、喉が詰まるような感じがするのよね」と口にしてみたところ、返ってきたのは、「あ、それ私も!」「あるある〜!」の大合唱。そこにいたみんなが体験者だったので、正直びっくりしたと同時に、ものすごくホッとしたのを覚えています。なあんだ、私だけじゃないんだ、と。年齢とともに、こういうふうに体が変化していくのって、全くもって“普通のこと”なんだと知ったときの安心感は、本当に大きくて。ただそれだけのことなのに、心がグッと軽くなった気がしました。リアルな体験談や知識は人対人だからこそ得られる情報も多く、それこそがインターネットには出てこない貴重な情報かもしれません。私は「ネットに頼りすぎないで!」と声を大にして言いたいのです。
とはいえ、「年齢を重ねていく過程の、誰にでもある不調だと思っていたら大病だった」なんてことがあってもいけないので、気楽になった勢いで病院に行ってみたのです。結果は……、やはり「特に異常はありませんね」と言われてしまいました。
たしかに“病気”ではない。でも、だからといって”何もない”わけではないのです。自分では明らかに不調を感じているのに、名前がつかないせいで誰にも説明できない。そのもどかしさが、ますます心に影を落としていくような日々でした。
サプリメントでもピタリと合えば身体も気分も軽やかに
そんなとき、ドラッグストアのお会計待ちの時にふと目に留まったのが「大豆エキス配合の女性向けサプリメント」でした。大手製薬会社から発売されているホルモンバランスの変化を穏やかに整えてくれるというもので、病院で処方されるホルモン剤には少し抵抗があったのですが、大豆由来なら安心できる気がして試してみることに。半信半疑でのみはじめて1週間ほど経った頃、なんとなく喉の違和感が和らぎ、耳もすっきりするようになってきたんです。あれ?と思っているうちに、動悸やほてりも少しずつ軽くなっていきました。
「合う人には、ちゃんと効くんだな」。素直に、そう思いました。それからというもの、10年近くそのサプリメントを続けています。もちろん、人によって合う合わないはある。そして、すべてが劇的に変わるわけではないけれど、少しでも”ラク”になることがあると、それだけで毎日が変わっていく。そういう実感が、じわじわと私の中に根づいていきました。
「体の不調=心のゆらぎ」。これは、実感として本当にそうなんだなと、つくづく思います。無理をして笑っても、なんだか心が晴れない。けれど、身体が少し整うだけで、世界の色がちょっとだけ明るく見えてくる。だからこそ、まずは「体の声をちゃんと聞いてあげること」が、これからの自分にとって大事なのかもしれません。もしも不調を感じていたら、元気で快活な身体、穏やかな生活リズムを取り戻すことが先決です。サプリメントもよし、クリニックを訪れるのもよし、友人に打ち明けてみることもアリ。モヤモヤとした不調が解決したら、どんどん前に進んで行けると思いますよ。
不思議なことに、体が少し楽になると、心の揺らぎや理由のない不安も、いつの間にか忘れてしまうほどに落ち着いてくるのです。ある日、ふと「家族に対しての私の役割って、今後はどうなっていくのかしら」と考える瞬間がありました。子どもたちは少しずつ親の手を離れ、ちょうどその頃、夫の仕事も一段落して次のステージに。みんな以前とは別の生活リズムで日々を送っている。これまで家族のために動き続けてきた私の毎日にも、少しだけ「余白」ができていたんですね。「これから私は何をやっていけばいいんだろう?」。人生の中でも一区切りの地点と、身体と心が軽くなったこと、その両方が合致して、新しいことを始めたいと思い始めた瞬間でした。
スマホやPCではなく生身の人間と対話することの大切さ
中でも、人と話すことは、とても大きな助けになりました。「私だけじゃない」と思えることが、こんなにも支えになるんだと、身にしみて感じています。誰かにぽつりと悩みを話したときに、知っている人に「私もそうだったよ」と共感してもらえるだけで、心がふわっと軽くなる。だからこそ、今度は私がそう言える側になりたい。ちょっと先を歩いた人間として、「大丈夫だよ」と寄り添い、伝えられたらと思うのです。今、世の中はAIが台頭してきて、これから1~2年のうちに、さらに劇的に進化を遂げるでしょう。最近では、何でもAIと「壁打ち」のように対話して、物事を解決する人が増えてきているとも聞きます。
もしかしたら単に私の肌感覚かもしれませんが、スマホやコンピューター相手ではなく生身の人間と対話すること、それが更年期のモヤモヤには特に効く気がします。もちろん、AIは一瞬で回答してくれるし解決の糸口を提案してくれるでしょう。インターネットに落ちている膨大な情報の中から瞬時に答えを探してきてくれる便利なAIですが、出どころがはっきりしているリアルな情報のほうが今の私にはピンときます。どちらも一長一短ですが、情報が錯綜する今だからこそ、目の前の人の実体験や対話のぬくもりを信じたい、そんな気がしている今日この頃です。
Maki’s 今号のキレイの源
最近ルイボスティーに凝っています。ポリフェノールが豊富で活性酸素を除去する働きがあり、美肌効果が期待できます。ミネラルもたっぷり&ノンカフェインなのもうれしい。普段は身体を冷やさないように常温でいただきますが、あまりに暑い日が続いているので、お客様がいらした際には涼を感じるロックアイスを入れてお出しします。
桑田真紀【全方位「推し活」力の磨き方 】そのほかの記事はこちら撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ 構成/三井三奈子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。