香水に消費期限はある?つける箇所と量は?知っておきたいフレグランスQ&A|美的GRAND
プライベートな楽しみであると同時に、人との距離を豊かに美しく彩る役割をも果たす香り。だからこそ、今一度、香りの基本ルールを確認しませんか?
愛されるマナーと知的な楽しみを知る
フレグランスQ&A
使い方から好印象を誘うマナーまで、知っておくべきことを香りに長く携わる森日南雄さんのお話を基にご紹介します。
Q. 上手な保存方法を教えてください
A. 直射日光を避けること、冷暗所保存が基本。
毎日使うからとつい、室温で保管しがちですが…。1度開封すると香水は、経年と共にエタノールとトップノートが揮散、濃縮され、光、空気中の酸素で酸化して香気、色調ともに変化してしまいます。「直射日光を避け、冷暗所保存が基本ですが、さらに、PP製の保存袋に入れて5〜10℃の冷蔵庫で保管することがおすすめです」
Q. ずいぶん前に買ったけれど…消費期限はありますか?
A. 未開封であれば3年、開封後は、約1年が目安。
棚の奥から昔の愛用品が…。そこで気になるのが使用期限です。「保存条件によりますが、未開封なら3年、開封したものは約1年が目安です」。ただし、香料の安全性規制は逐次修正されるそう。古い香水には現在禁止されている原料が入っている可能性もあるので要注意です。
Q. 大人として知っておきたい香りのマナーは?
A. レストランを訪れる際は、強い香りは避けるべき。
他人と食の空間を共有するレストランなどでは、繊細な配慮が必要です。「強い香水の香りは、料理の味わいを損なうので気をつけましょう」。訪れる際はぐっと量を控え、食後にタッチアップするくらいがスマートです。
Q. 香りをつける箇所と量の基本はありますか?
A. つけすぎないことが大前提。少量を試して適量を見極めて。
何を選ぶかと同じくらい、あるいはそれ以上に知っておきたいのが、香りの適量。要は、つけすぎないことを意識して。見極めのポイントは、「香水は千差万別、タイプにより違うので明言できませんが、1〜2プッシュ、数滴から始めては」。また、香水は揮発しやすいアルコール製品なので、体の下方につけた方が体全体にまとうことができます。「足首、ボディ、手首、耳の後ろなどの順でしょうか。目、口、局部などの粘膜部は避けてください」
Q. 季節に合わせて、香りも使い分けた方がいい?
A. 気温や湿度を意識して心地よく感じる香りに注目。
季節によって肌に心地いい洋服の素材が異なるように、季節に合った香りが、快適な毎日を後押し。「春夏には、爽やかなシトラスグリーン調やハーバルミンティー調がおすすめです」。森林浴をしているようなフレッシュな香りには心身のバランスを整える効果があり、暑気疲れを軽減し、イライラしがちな気分をクールダウンしてくれます。
Q. 夏に気をつけるべきことは?
A. パウダリーな甘い香りは、重く感じられることも。
「感じ方は人によって違いますが、温かく、甘いパウダリーな香調は、清涼感が欲しい季節には抵抗感を覚えることがあります」。また、香りの成分は気温が高い程広がりやすく、湿度が高い程空間に長く留まりやすい印象です。冬と同じ量をつけると、想像以上に香りが主張してしまうことも。
『美的GRAND』2022夏号掲載
イラスト/緒方環 構成/荒川千佳子、岡本治子
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
調香歴50年以上。オリジナルな香りのクリエイターとして活動中。日本調香技術普及協会(JSPT)の理事のひとりとして、香りの啓蒙活動にも取り組んでいる。