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2010.4.14

西の国から美的通信vol.10 屋久島&種子島の旅(3)/種子島に伝わるデトックス法

A 東シナ海側の海岸にある「瀬風呂」の跡。こんな光景を眺めながらのお風呂は最高だろう。【画像提供:南種子町教育委員会社会教育課文化係】
B(写真上)は、昔の岩穴での宴会シーン。 C(写真下)は、昔の瀬風呂。ともに『種子島の民俗Ⅱ』(法政大学出版局)より。【画像提供:西之表市役所経済観光課】
D 平成8年に催した岩穴体験。地元の子どもたちやお年寄りで賑わったとか。【画像提供:南種子町教育委員会社会教育課文化係】
E 種子島でいただいたグァバジュース。
F ホクホクフワフワの甘い安納芋。 

エステなど美容ケアのひとつとして、デトックスという言葉が出てきたのはいつ頃だったでしょうか? スウェーデンのサウナや韓国の汗蒸幕(ハンジュマク)のように、日本にも昔から伝わる天然サウナみたいなものはないのかしら? そんな風に思っていた矢先、種子島でとても興味深い話を聞きました。

それが、岩穴(「いわな」、場所によっては「ゆあな」ともいうらしい)。書いて字のごとく、比較的柔らかい岩盤を横穴に掘って、なかで数時間焚き火をして岩盤をあたためた後、その中に入って発汗するという、今でいうところのサウナ。熱を逃がさないために、出入り口にはむしろをかけるという実に簡単なものだったとか。

「この岩穴はずいぶん古くからあったものと考えられています。江戸時代、天然痘などが流行ったときにも、体内の毒素を出すのに一役買ったそうです。現在でも島内には、この岩穴の跡が25ヶ所も残っているんですよ!」と教えてくれたのは、西之表市観光文化プロデューサーの鮫嶋安豊さん。焚き火で岩穴をあたためたあとオキ(燃え木)を取り除き、その上にナマのアクチの葉(※アクチとは方言名で、正確にはヤブコウジ科のモクタチバナ)などを敷き詰め、10分〜20分ほど入って発汗して、外で休憩した後、また入るということを繰り返していたらしい。

聞くからに、天然のサウナであり、オリジナルのデトックス法ではありませんか! そのうえ、これを4〜5日続けた後はかけていたむしろを敷いて、その上で料理などを持ち寄って宴会を開いていたというから、なおさら興味津々。なんだかとても楽しそうです。ちなみに、この習慣は昭和40年ごろまで続いていたそうで、主に農閉期に入った11月〜1月に実施していたとか。おそらく島民たちの癒しの場であり、コミュニティーの場になっていたことでしょう。

南種子町教育委員会の学芸員、石堂和博さんによれば、「南種子町には町指定文化財の岩穴があります。広田集落では、平成8年に修復した岩穴を体験するイベントも行ったんですよ」と言って、当時の写真(写真D)を送ってくださいました。

「種子島にはね、昔からもう一つの癒し所があるんです! それを瀬風呂(せぶろ)といいます」と鮫嶋さん。何かしらのお風呂なのは分かるけれど、瀬の意味の見当がつかないでいると、「瀬風呂とは潮が引いたときに岩場のくぼみに海水がたまる場所があるんです。そこに焼いた石を入れて海水を温めたお風呂のことなんです」。なるほど! まさにタラソテラピーの原型ともいえる原始的なお風呂なのかもしれません。
鮫嶋さんによれば、この瀬風呂は主に6月下旬から7月、8月にかけて行われていたらしく田植えが終わった後の汗を流していたとか。また、場所よっては、海水にヨモギなどの薬草を入れていた瀬風呂もあったそう。いかにも疲れがとれ、カラダにもよさそうなお風呂に、私も入ってみたいな〜! と思ってしまいました。

そこで「こういった岩穴や瀬風呂を、体験することはできないんですか?」とお尋ねすると、「健康志向が高まってきている昨今、島ではこういった習慣を見直そうという動きがあるんです。ですから、もしかすると近いうち、みなさんも体験できるようになるかもしれません」と鮫嶋さん。その日を夢見つつ、早くも入浴後のドリンクは栄養たっぷりの種子島産グァバジュース、小腹がすいたら種子島産の甘い安納芋がいいなぁ…と考えている私がおりました。そう、種子島には美容や健康にもよさそうな食べ物がたくさんあるのです。体内にたまった毒素を岩穴や背風呂で出して、カラダによい地元の果物や野菜をいっぱい採り入れて…当時のみなさんは健康体で、みんなおキレイだったに違いありません。

<取材協力>
■西之表市役所 経済観光課(TEL)0997-22-1111
■南種子町教育委員会社会教育課 文化係(TEL)997-26-1111

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