シャネル・ネクサス・ホールでインド出身アーティスト・プシュパマラ Nの展覧会が開催中

2025年6月27日(金)から東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールで、「Dressing Up: Pushpamala N」が開催中。インドの現代美術家、プシュパマラ Nによる3つの作品シリーズが展示されています。
プシュパマラ Nの作品シリーズ〈Phantom Lady or Kismet〉、〈Return of the Phantom Lady〉、〈The Navarasa Suite〉を展示
昨年20周年を迎えたシャネル・ネクサス・ホールで、写真を主なメディアとして創作活動を行うアジアのアーティストにフォーカスしたシリーズを展開中。昨年の中国に続き、第2弾となる今年はインド出身のアーティスト、プシュパマラ N(Pushpamala N)の作品が登場します。

Artist Profile
プシュパマラ N (Pushpamala N)
1956年生まれ。インドのバンガロールを拠点に活動するアーティスト。彫刻家として活動を開始し、1990年代半ばから、自らがさまざまな役柄に扮して示唆に富んだ物語を作り上げるフォト・パフォーマンスやステージド・フォトの創作を始める。その作品は女性像の構築や、国家の枠組みを探求するもので、美術史、アーカイブ資料、大衆文化から引き出された象徴的なイメージや原型を丹念に再現している。
3つの作品シリーズの見どころ
1. Phantom Lady or Kismet ファントム レディ あるいはキスメット

24枚のモノクロ写真で構成された〈Phantom Lady or Kismet〉は、プシュパマラがフォト・パフォーマンスという表現手法を探求し始めた最初の作品シリーズ。フィルム・ノワール時代の映画的描写を パロディ化した、云わば「フォト・ロマンス」の冒険譚です。
1940年代のコミック『Phantom』からもインスピレーションを得ており、 プシュパマラが双子の女性主人公の二役を演じています。仮面をつけ、怪傑ゾロにインスパイアされたファントム レディは、行方不明になった双子の妹ヴァンプをムンバイの暗黒街から救い出そうとします。 この仮面のヒロインに扮することで、プシュパマラは視覚文化、フェミニズム、表象、そしてインドの歴史といった重要なテーマに取り組んでいます。
2. Return of the Phantom Lady 帰ってきたファントム レディ

〈Phantom Lady or Kismet〉の続編である〈Return of the Phantom Lady〉(2012年)は、おなじみのヒロインが再登場し、現代のムンバイを舞台に、殺人、 陰謀、悪事の巣窟を解き明かしていきます。ミステリー小説のカバーページの大胆な色調を思わせるカラー 写真21枚のシリーズ作品で、プシュパマラが再び演じる「ファントム レディ」が歴史ある映画館や古びたカフェ を巡りながら孤児の少女を救出すべく奔走します。おなじみの物語と「ファントム レディ」の登場により、現代の映画における今も変わらないインド社会の描写についての考察を促すと同時に、かつて冒険の舞台となった情緒あふれるムンバイの街並みが失われ、再開発により変貌を遂げた都市についても言及しています。
3.The Navarasa Suite ナヴァラサ スイート

〈The Navarasa Suite〉は、インド美学における9つの感情「ラサ」、すなわちShringara(恋情)、Adbhuta (驚き)、Hasya(ユーモア)、Bhayanaka(恐怖)、Bhibhatsa(嫌悪)、Karuna(悲しみ)、Raudra(怒り)、 Veera(勇敢)、Shanta(寂静)を元に、緻密な演出が組まれた一連のセルフ・ポートレイト作品。バロック様式を用いた本シリーズでは、写実的な描写よりも美的表現や感情を重視するラサ理論をテーマに、インドの写真史の中でもあまり注目されてこなかったファンタジーや物語性にスポットを当てています。
文化的・歴史的イメージを再解釈し、自ら装い(Dress up)、再現することで、「真実とは何か」を問いかけるプシュパマラ Nの世界を、ぜひ体感してみて。
Information
Dressing Up: Pushpamala N
会期:2025/6/27(金)ー 8/17(日) 入場無料・予約不要
開館時間:11:00ー19:00 (最終入場18:30)
※6/27(金)17:30まで、7/10(木)24(木)17:00まで
会場:シャネル・ネクサス・ホール
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
主催:シャネル・ネクサス・ホール
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