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2013.4.25

大高博幸の美的.com通信(151) 『L.A.ギャングストーリー』『モネ・ゲーム』 試写室便り No.42

©2012 Gambit Pictures Limited

モネの“消えた名画”の贋作を使って、億万長者のメディア王から、15億円を奪い取れ!
モネ・ゲーム』 (アメリカ映画)
5.17 ロードショー。
詳しくは、monetgame.gaga.ne.jpへ。

STORY モネの連作「積みわら」の消息不明の1枚を贋作にして、大富豪に売りつける――。ロンドンの美術鑑定士ハリー・ディーンは、横暴な雇い主であり、億万長者のメディア王シャバンダーを相手に、そんな大掛かりな詐欺を計画する。完全犯罪には、名画の最後の目撃者と噂される男の孫娘、テキサスのカウガールPJが必要だった。
PJは喜んで名画の持ち主になりすますが、その奔放すぎる性格で初めてのロンドンでの豪遊を楽しみながら、次々と計画を塗り変えてしまう。さらにシャバンダーがPJに夢中になるという、全く予想もつかなかった怒涛の展開に 焦るハリーも大暴走。あろうことか、肝心の贋作鑑定の役目をライバルの鑑定士マーティンに奪われるという、絶体絶命の大ピンチに! 果たして、絡まり合ったモネ・ゲームの行方は――? (プレス資料より)

『英国王のスピーチ』でアカデミー賞に輝いた名優コリン・ファース × 相変わらず若いor若作りの天才キャメロン・ディアスという、意表をつくコンビによるスタイリッシュなドタバタ調喜劇。二人が恋仲になって最後は結ばれる…という お話ではないから御安心を(もしも そうだとしたら、嘘っぽすぎてシラけるよね)。上映時間はジャスト90分。
この映画には観客を“一杯食わす”演出が大小施されていて、気楽に観てさえいれば、アッケに取られるような面白さを大いに楽しむコトができます。特にラストには予想外の展開が二重に仕掛けられていて、どんなに頭のいい人でも、「やられた!」と思わずには いられないはず。
ハリー役のコリン・ファースは、決して適役というワケではないにしても、ひとつの変化として大勢のファンを喜ばせます。一番の見どころは足がすくむ程にスリリングなホテル・サヴォイでの一場面で、ズボンが脱げてしまうハプニング辺りからのトボけた演技が最高でした。彼は こういうシチュエーションを演じても、決して下品にならないところが僕は好き。
PJ役のキャメロン・ディアスは、あのピチピチしていた両頬にハの字形のセンが生じていて、それが目について困ったのですが、ボディラインには緩みも崩れも全くナシ。ジーンズ姿でもドレスアップしても、ビキニ姿で現れても、本当に「凄い!」の ひと言でした。
脇役では、贋作の名人ネルソン少佐役のトム・コートネイ(『カルテット!』でレジー役を好演。このページのスティルの中には残念ながら 出ていません)の抑えた演技が光っています。コリン・ファースが この喜劇に うまく収まるためには、彼の存在感×助演者としての力量が不可欠だったと、僕は強く感じました。

 

(C) 2013 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

正義のために、法を犯せ。
極悪非道な大物ギャングをぶっ潰すため、素性を隠し、ギャング以上のヤバい手段で実力行使に出た警察たち。
かつて、そこまでの死闘を繰り広げた警察最強部隊が、本当にいた!
L . A .ギャングストーリー』 (アメリカ映画)
5.3 ロードショー。
詳しくは、lagangstory.jpへ。

ゴールデンウィークに誰かと一緒に新作を観るなら、絶対にコレ。
恐ろしいし怖いけれど、コレは正義心に貫かれた第一級のアクション・エンターテインメントです!

STORY 1949年のL.A.。麻薬、銃、売春――あらゆる悪事で街を腐敗させる巨大犯罪組織のボス、ミッキー・コーエン。彼の支配に終止符を打つため、ロス市警は少数精鋭の最強部隊を裏で組織する。だが この命がけの極秘任務をこなすには警察官の顔を捨て、ギャング顔負けの違法行為を犯さねばならない。そこでメンバーに選ばれた6人は、署内きっての はみ出し者のヤクザな男たち!
たとえ勝利しても、表立って賞賛されることはない。求めるものは正義だけ。栄光なき男たちの戦いが、いま始まる――。 (試写招待状より)

殴りあい・撃ちあいの場面満載ですが、コレは ただそれだけのアクション物ではありません。史実に基づくストーリーで、ある事情から僅か6人で結成された極秘部隊の男達が、徹底した正義心を徹底的に貫いて、「警察が そこまでやるか」という惹句どうりに、任務を完遂して行く姿をパワフルに描いています。上映時間113分と少々長めなのに、興味深い内容とスピーディな展開とが相まって、時間の経過を忘れさせる程でした。開巻部にコーエンの悪行振りを示す恐ろしい場面が2つ程あるのですが、部隊の6人が揃う辺り以降、観客は彼らの応援部隊になったような気持ちで、画面を凝視せずには いられなくなります。
試写に出向くに際しては、「もしも薄っぺらなアクション映画だったとしても、エマ・ストーンが観られれば、それでヨシとしよう」と自分に言い聞かせていたのですが、コレは見ごたえ満点の非常に充実した作品でした。

開巻間もなく、美的.com読者なら体が震えてしまうだろうと想える場面が出て来ます。
大勢の人で混雑している明るいユニオン駅の構内…。『SEVENTEEN』(アメリカのファッション誌)と『SCREENLAND』や『PHOTOPLAY』(同、映画雑誌)の愛読者のような少女に若い男が近づき、「君、ローレン・バコール(当時の人気映画女優)に似てるね。きょう、ちょうどカメラテストをやってるから受けてみない? 君ならスターになれるよ」と声を掛ける…。少女は単純に喜んで男の車に同乗する…。その一部始終を見ていたオマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)は男の車の跡を追う…。カメラテストの場、実は売春組織の巣窟に到着した少女は、その部屋の様子と待機していた二人の男を目にした途端、逃げ帰ろうとはしたものの 時すでに遅く、殴られ、ベッドに押しつけられ、「初慣らしだ!」と うそぶく男達に犯されそうになる…。「助けて、助けて!」と泣き叫ぶ少女…。その瞬間、飛び込んで来たオマラの鉄拳によって少女は救出され、殴り倒された虫ケラどもは警察署に連行される…。
このウブで無用心な少女は幸いにも間一髪のところで助けられましたが、そうでなければ、「監禁して慣らしてヤク(麻薬)漬けにしろ」というボスの指示通りに扱われ、数年後には廃人同様の身となり、ゴミクズのように どこかへ捨てられる運命となっていたのです(読者の皆さん、見ず知らずの男の口車に乗ったりは、絶対に絶対にしないコト。今日でも同じようなコトが、身辺で起きないとは限らないのですから)。 But、恐ろしいからといって、席を立たずにいてほしい。ここを過ぎれば大丈夫。繰り返しになりますが、極秘部隊の奮闘振りを見届けようと、あなたもスクリーンに のめり込んでしまうはず。忘れずにいてほしいのは、コレが正義のアクション・エンターテインメントであるというコトです。

出演者は悪役・端役に至るまで粒揃い。
一徹かつ冷静な熱血漢、オマラ巡査部長役のジョシュ・ブローリンが とにかく最高。『恋のロンドン狂騒曲』でのモサッとした作家役の彼とは まるで別人で、彼がここまで好演していなかったなら、本作の真実味は薄れていたはず。マイティ・ハーキュリー風であると同時に、役の人間味・人間臭さが とても良く出ていたと思います。
第二主役のウーターズ巡査部長を演ずるライアン・ゴズリングは、求心的かつ細い顔立ちで繊細な役柄に向くタイプでありながら、カンの鋭いタフな一匹狼を見事に好演。スティルよりも映像でのほうが、数段 華も色気もある伸び盛りの若手で、今回は仕立ての良いスーツを数点着用…、それらが全て似合っているところも良かったです。
その他、澄み切った瞳が印象的なアフリカ系のA・マッキー(飛び出しナイフの反逆児、ハリス巡査役)、メガネをかけたG・リビシ(電子工学オタクで家族思いのキーラー巡査役)、『真昼の決闘』や『西部の男』のゲイリー・クーパーを連想させるR・パトリック(早撃ちの名人、ケナード老巡査役)、その弟分でメキシコ系のM・ペーニャ(カンは鈍いが真っすぐな性格のラミレス巡査役)、以上6人全員が適役を好演。僕は、最後の山場で示されるケナードとラミレスの師弟愛・信頼しあう姿に感動して、一瞬“男泣き”させられました。

さて お待たせのエマ・ストーンは、なんとコーエンの愛人グレイス役。あの大きな眼は濃い つけまつ毛によって一層大きく、細いウエストはコルセットによって一層引き締められ、ゴージャスなドレスをグラマラスに着こなして登場します。「映画スターになれると信じてL . A .に出て来た」という以外、どのような経路を辿って来たかは謎ですが、とにかく「コーエンの好みのタイプだった」ために、少くとも贅沢ができる立場に収まっています。
しかし、映画の後半でコーエンの屋敷から逃げ出した彼女は、突然近づいて来たコーエンの手下から危うく硫酸を浴びせられそうになります。そのチンピラが手にしているボトルを目にした瞬間、「中身は塩酸か硫酸、グレイスの顔に大火傷を負わせるつもりだ!」と気づく観客は少ないだろうと僕は想像しますが、グレイスと一緒にいたウーターズが素早く察知して彼女を救うという場面には、相当ドキッとさせられました。ついでに言ってしまうと、ウーターズは殴り倒したチンピラのズボンの前ボタン周辺に、チンピラから取り上げた硫酸を なみなみと注ぎます。たちまち白煙が立ち上り、チンピラは悲鳴を上げ、二人は その場から急いで走り去るのです…。僕はテーブルの上に置かれていたグラスの水を、そのズボンにブッ掛けてしまいたくなりました。「硫酸に水を加えると化学反応が生じて、より重度の火傷になる」と聞いた憶えがあったからです(残酷すぎる? NO、奴らの極悪非道振りを考えれば、その程度のコトは許されます!)。

“社会の敵No.1”のコーエン役はショーン・ペンで、極めて不気味な名演技。もう一人、妊娠中のオマラ夫人役、ミレイユ・イーノスの演技とルックスが素晴らしく、映画全体に豊かさと奥行きを与えていました。

セッティング、ロケーション、衣装、撮影、音楽等々、すべてがA-1クラス。監督は新鋭ルーベン・フライシャー。恐ろしくて怖い場面もありますが(本当は「だからこそ」なのですが)、コレは正義心に貫かれた第一級のアクション・エンターテインメント。気を強く持って、最後まで見届けてほしいです。

 

ビューティ エキスパート
大高 博幸1948年生まれ、美容業界歴46年。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸の美的.com通信 https://www.biteki.com/article_category/ohtaka/

※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。

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