専門医に聞いた、気になる「大人ニキビ」の原因と治し方、NG習慣とは?
思春期ニキビと大人ニキビってどう違うの?本記事では、専門医に聞いた大人ニキビの思春期ニキビとの違いや、原因、対処法などをお届けします。「アフターケア」「インナーケア」「ストレスケア」と3つの方向から正しくケアをして、気になる大人ニキビとさよならをしましょう!
大人ニキビと思春期ニキビの違いって?
■思春期ニキビとは?
「皮脂の分泌量が急激に増えると、排出しきれずに残った皮脂が、古くなった角質などと混ざり、毛穴を詰まらせてしまいます。これが思春期ニキビの始まりです。さらに、詰まってしまった毛穴の中でアクネ菌が増殖すると、赤い炎症性のニキビになります」(西嶌順子先生・以下「」内同)
思春期ニキビは、額から鼻にかけてのTゾーン、こめかみ、頬骨のあたりなど、皮脂腺の多い部分にできやすいのが特徴。特にTゾーンの毛穴の数は、顔のほかの部分に比べて約7倍もあり、皮脂分泌が活発なことからニキビができやすくなります。
「皮脂の分泌が多く、脂っこいものをよく食べる思春期は、朝も夜も洗顔料を使って洗顔し、肌を清潔に保つことが大切です。思春期ニキビは第二次成長期が終わり、皮脂の分泌が安定すると、自然に発生しにくくなります。諦めて自分で潰したりせずに、きちんと治療しましょう」
■大人ニキビとは?
大人ニキビの発症原因は、皮脂の過剰分泌だけではなく、ターンオーバーの乱れや、バリア機能の低下による角化異常なども挙げられます。また、化粧品やメイクによる毛穴の詰まりのほか、女性ホルモンが影響して生理前後に悪化するケースもあります。
「上記の原因に加え、大人のニキビはストレスや睡眠不足、偏食など、生活習慣が悪化因子となっている場合も多く、なかなか治らず繰り返してしまう方もたくさんいます」
ニキビができやすい人の特徴
表参道美容皮膚科・副院長
三宅真紀先生
レーザー治療・アンチエイジング治療のエキスパート。患者様の立場にたった、優しく丁寧できめ細やかなカウンセリングから、ひとりひとりに最適な治療を提案し、高い治療技術により確実に結果を出す。美容・スキンケア全般に豊富な知識を持ち、数多くの有名化粧品開発にも携わる。テレビ・雑誌などのメディアにも多数出演。
「大人ニキビができてしまういちばんの理由は、ホルモンバランスの乱れ。とくに、男性ホルモンが増えることで大人ニキビができやすくなります。大人ニキビができては治り、またすぐにできてしまうといった、大人ニキビを繰り返してしまう人も珍しくありません」(三宅先生・以下「」内同)
\男性ホルモンとニキビの関係は……/
- 女性でも疲れたときや、ストレスがたまったときに男性ホルモンが分泌される
- 男性ホルモンが分泌されると、皮脂分泌が増え、角質が厚くなる
- 角質が厚くなると、毛穴に皮脂が詰まりやすくなり、ニキビの原因となる
- 男性ホルモンの影響によって皮脂が増えやすい箇所が、“Uゾーン”と呼ばれる、頬やあご周り
「過度なストレスや疲労、睡眠不足が続くと、男性ホルモンの分泌が増えて大人ニキビを引き起こす要因になります。また、脂っぽい食事は皮脂分泌が増え、毛穴詰まりやニキビの原因となります」
大人ニキビができる原因3つ
形成外科専門医
西嶌順子先生
医療法人道心会 恵比寿形成外科・美容クリニック 院長。助産師、保健師、看護師。聖路加国際大学看護学部看護学科卒業後、新生児特定集中治療室(NICU)、産婦人科などで新生児医療に従事したのち、北里大学医学部医学科に学士編入学。 形成外科医として、がん研有明病院、筑波大学附属病院、新東京病院に勤務したのち現職。 多くの女性が抱える特有の悩みについて、専門医の立場、そして自身の経験に基づく等身大の視点で情報を発信している。2児の母。
【原因1】体の外側
適切でないスキンケアは、角質のバリア機能低下や、皮脂の欠乏、皮膚常在菌バランスの乱れなどを引き起こし、乾燥肌やニキビの原因となります。例えば、思春期ニキビ用のイオウ配合の化粧品は、大人ニキビに使用するとかえって乾燥しニキビが悪化することもあります。
日常的に使用しているクレンジングや洗顔料には、合成界面活性剤が含まれていることが多く、洗いすぎると皮脂や美肌菌、角質バリアまで失ってしまいます。
ニキビを隠すようにコンシーラーやファンデーションを被せてしまうと、化粧品に含まれる油分が、ニキビをさらに悪化させることもあります。
【原因2】体の内側
大人ニキビには、生活習慣も大きく影響しています。睡眠不足、食生活の偏り、ストレスなどでホルモンバランスが乱れます。ホルモンバランスが乱れたりストレス過多になると、皮脂の過剰分泌から不全角化を引き起こしたり、免疫が抑制されることでアクネ菌の増殖につながっていきます。
大前提として化粧品や薬に頼るだけではなく、生活全般を見直すことが大切になります。
便秘にならないことも大切です。便秘になると、腸内にアンモニアや水素イオンが発生し、 腸内にたまった毒素が血液とともに体中をめぐり、皮膚の代謝を低下させたり、ニキビができやすい状態をつくります。
【原因3】精神面
ストレスがたまると活性酸素が増加したり、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールの分泌に比例して男性ホルモンが増え、皮脂の分泌を促すためにニキビができやすくなります。
大人のニキビは、皮脂の過剰分泌だけが発症原因ではなく、男性ホルモンの受容体が多いUゾーンと呼ばれる顎や口周りなど、皮脂腺の少ないフェイスラインにも発生します。こちらも自分で潰したりせずに、適切な治療を受けましょう。
大人ニキビの治し方や防ぎ方
「大人のニキビは、炎症を伴うものについては医療機関を受診することが第一選択となりますが、軽度であれば日常のケアで改善を目指すことも可能です。大人のニキビ対策は、生活習慣を見直しつつ、正しいスキンケアを行うことが大切なのです」(西嶌順子先生・以下「」内同)
■インナーケア
- 禁煙する
- 糖質の過剰摂取控える
- 便秘予防、腸活を意識した食生活を心がける
- 皮膚の代謝を促すビタミン・ミネラルは積極的に摂る
- ホルモンバランスを整えるイソフラボンを摂る
- 良質なオイル(オメガ3やオメガ9)を摂る
- 最低6時間以上の睡眠を心がける
- 適度に体を動かす
- ゆっくり入浴し体の循環をよくする
- 生理前や生理中は、疲れたら早めに寝るなど無理しない
- ケーキ、チョコ、アイスといったバターや乳脂肪を使った洋菓子類など、動物性脂質を摂りすぎない
■ストレスケア
- ストレス環境の多い場所をできるだけ避ける
- 五感を使ったリラックスを心がける
「大人のニキビ対策には、自分の体の声を聞いてあげることも重要です。疲れているのに無理して仕事を続けたり、睡眠時間を削って仕事をしたり、お腹が空いていないのに時間だからとご飯を食べたりしてはいませんか?
疲れていたら体の声を優先して寝てあげる、お腹が空いたと感じたらご飯を食べるなど、簡単なようでできていない人も多いと思います。自分の体としっかり向き合ってみましょう」(西嶌先生)
大人ニキビができたときのスキンケアどうしたら?NG習慣は?
■効果的な「9」のアフターケア
- 洗顔はたっぷりの泡でやさしく
- 乾燥肌の人は、朝はぬるま湯のみの洗顔にする
- クレンジング剤はなるべく使用せず、石けんで落とせる化粧にする
- 洗顔料は、合成界面活性剤が含まれていない純石けんにする
- アルコールなどの有機溶媒や、合成界面活性剤の含有量が極力少ない化粧品を使用する
- 思春期ニキビ用のスキンケアアイテムは控える
- ニキビのできているところには、油分の多いアイテムは控える
- コットンや塗り込む際の摩擦に注意
- 冬など湿度の低い季節は、加湿器を利用するなど室内の湿度管理をする
要注意!やってしまいがち「5つのNG習慣」
【NG1】ストレス
- ストレスがたまると自律神経が乱れ肌の血流が悪くなり、ターンオーバーが乱れて免疫力が低下しニキビに。
- ストレスホルモンが過剰分泌されると皮脂分泌が促されニキビが悪化することも。
【NG2】乾燥
- 水分を保持できる肌状態ではないため角質がたまりやすく、それが毛穴に詰まってニキビの原因に。
- また乾燥しているため、肌が不必要に皮脂分泌を促してしまいニキビができる場合も。
【NG3】寝不足
- 寝ているときに上昇するホルモンが上昇せず、体に不調をきたしストレスとなり悪循環に。
- また長時間メイクをしたままだと肌への負担や、メイクが毛穴に詰まってニキビになることも。
【NG4】食生活の乱れ
- 高糖質、高脂質食の過剰摂取や、ビタミンB・C、たんぱく質の不足はニキビの原因に。
- また食物繊維や発酵食品の不足などにより腸内環境が悪化すると、ニキビの発生につながります。
【NG5】摩擦
- 洗顔やメイクブラシなどで過度に摩擦を与えると、守るべき角質層にダメージを与え悪影響を及ぼすことも。
- 摩擦により角質層が固くなり皮脂が詰まってニキビに。
市販の塗り薬や飲み薬の選び方
表参道美容皮膚科・副院長
三宅真紀先生
レーザー治療・アンチエイジング治療のエキスパート。患者様の立場にたった、優しく丁寧できめ細やかなカウンセリングから、ひとりひとりに最適な治療を提案し、高い治療技術により確実に結果を出す。美容・スキンケア全般に豊富な知識を持ち、数多くの有名化粧品開発にも携わる。テレビ・雑誌などのメディアにも多数出演。
■市販のニキビ用塗り薬の選び方
「殺菌作用や抗炎症作用のあるものを選ぶとよいでしょう。塗るタイミングは、洗顔後に気になる部分にだけに塗ります。合わない薬の場合、かゆみや赤みが出てしまうことがあるため、最初の1~2日は部分的に使用して様子を見るのがベスト。
万が一、かゆみや赤みが出てしまった場合は、すぐに使用を中止してください。市販のものは、効き方がマイルドなので、使用しても症状が改善しないこともあります。その場合は、できるだけ早く皮膚科を受診することをおすすめします」(三宅先生・以下「」内同)
■市販されているニキビ用の飲み薬の選び方
「市販されている飲み薬の成分は、ビタミン剤が中心になっています。ストレスでビタミンが消費されてしまうため、ビタミンはしっかり摂るようにしましょう。ビタミンB2やB6、ビタミンC配合のものを目安に選ぶのがよいですね」
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
医療法人道心会 恵比寿形成外科・美容クリニック 院長。助産師、保健師、看護師。聖路加国際大学看護学部看護学科卒業後、新生児特定集中治療室(NICU)、産婦人科などで新生児医療に従事したのち、北里大学医学部医学科に学士編入学。 形成外科医として、がん研有明病院、筑波大学附属病院、新東京病院に勤務したのち現職。 多くの女性が抱える特有の悩みについて、専門医の立場、そして自身の経験に基づく等身大の視点で情報を発信している。2児の母。