2人に1人が花粉症? 秋ゆらぎ注意報【スキンケア科学者・次田哲也博士の 「人生100年時代」の美肌学 vol.3】

科学的根拠のある、本当に正しい美容情報を。先進の皮膚生理学や気象情報、化粧品開発テクノロジーなどに関する膨大な知見から、今みんなが知るべき情報をわかりやすくひもといてお伝えします。
2人に1人が花粉症の時代。しかも秋のお悩みが増えています
出典:東京都環境局ホームページ
ここ数年、秋に肌がゆらぐというお悩みをよく聞きます。
過酷な夏を過ごしてダメージを蓄積した肌は、バリア機能が低下しがちです。しかも、秋は1年の中でも特に寒暖差が激しいシーズン。
そんなところに秋の花粉が飛散してくるのだから、どうしても不調が起こりやすくなってしまいます。
秋の花粉というと、イネ科の草、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどが代表格。飛散のピークは9月から10月だとされています。昔は花粉アレルギーといえばスギ花粉=春のもので、秋に症状が出る人は少数派だったのですが、年々アレルギー症状に悩む人が増えています。2019年に約20,000人を対象に行った調査では、
25.1%つまり4人にひとりが、スギ以外の花粉アレルギーに悩まされている
という報告もあります。
(出典:厚⽣労働省 健康局 がん・疾病対策課発表「花粉症対策」資料<2021年4月1日発表>)
ちなみにこちらが「カナムグラ」。ツル科の植物で、道端や草むらでよく見かけます。
ツギタ博士 助手コンド 一言メモ
もちろん、花粉の王者は春のスギ。ウェザーニュースが2025年に行った調査だと、58%もの人が「私は花粉症です!」と回答。春より少ないとはいえ、秋の花粉症悩みも25%強と、かなり多いワン。
花粉だけじゃない、秋はPM2.5も増えるんです
肌に悪さをする飛散物質といえば、PM2.5も見逃せません。PM2.5とはその名の通り、2.5マイクロメートル以下のとても小さな微粒子のこと。大気汚染物質とも呼ばれて、2000年代に入った頃から大きな関心を集めました。化粧品でも、「大気汚染物質の付着を防ぐ」という機能がついたものがずいぶん増えましたよね。
最近のトレンドで無視できないのが、秋から冬にかけての飛散量が増えているということ! ひと昔前(2010年代)は、黄砂がたくさん飛んでくる春の季節にどーんと爆発的に増える傾向にあったのですが、今は1年中じわじわと絶え間なく飛んでいるイメージ。2023年のデータを見ると、春の4月と秋の11月・12月とでほとんど同じ量が飛散しています*。花粉とあいまって、肌への刺激となる可能性があります。
*東京都環境局発表データより
そして、秋の紫外線をあなどってはいけません!
先ほど、秋の肌はバリアが低下しがちだというお話をしましたが……バリアが低下するということは、紫外線も肌の中に侵入しやすくなってしまうということ! 秋は“うっかり日焼け”が多い要注意シーズンなんです。
猛暑のシーズンはみなさん、日傘をさしたり帽子をかぶったりとそれなりに念入りな対策をしますよね。でも涼しくなるとついつい気がゆるんで無防備なまま外を歩いてしまったりしませんか?
でも下のグラフを見てください。9月から10月にかけての季節はけっこうな量の紫外線が降り注いでいるんです。気候が昔とは変わった今、スキンケア習慣も見直していきたいですね。
データ出展:気象庁 グラフ作成:kairos skincare
というわけで、次回は科学的な視点から、信頼できる&安心の日焼け止めケアについてお話したいと思います。
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タイトルイラスト(ツギタ&コンド)/松元まり子 構成/もりたじゅんこ
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。
肌や化粧品に関する専門的な内容を、わかりやすくかみくだいて伝えるスキンケア・サイエンスコミュニケーター。博士(工学)。大手化粧品メーカーにて30年以上にわたり、化粧品の臨床評価技術の開発をはじめ、皮膚科学に基づく基礎から応用の研究開発に従事。元東京農工大学客員教授。現在はフリーランスとなり、その活動の幅を広げている。『美的GRAND』本誌でも、サイエンスに基づいてケア法や最新コスメを解説する特集が大人気。https://kairossc.com