【CoQ10】医薬品生まれの成分、体内で必要な補酵素
コンテンツ提供:日本化粧品検定協会
概要
成分名 | CoQ10 |
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成分の働き | 抗酸化、エイジングケア |
医薬部外品としての効能効果 | - |
表示名称 | 【化粧品】ユビキノン【医薬部外品】ユビデカレノン |
主な配合アイテム | 【化粧品】【医薬部外品】スキンケア・UVケア |
由来・歴史
主な原料の由来
合成
歴史
1957年、アメリカのウィスコンシン大学のクレイン博士らによって、牛の心臓の心筋細胞のミトコンドリアから結晶として取り出され、CoQ10(コエンザイムQ10)と命名されました。
さらに、翌年の1958年に化学構造も決定されました。1976年には、心筋の代謝を改善し、うっ血性心不全症状の治療のための医療用医薬品の有効成分として承認され、その後1991年には、医療用から一般用医薬品へのスイッチOTC薬(指定第2類医薬品)としてドラッグストアでも販売されるようになりました。
薬事法の一部改正により、2001 年から健康食品として利用できるようになり、2004年からは化粧品への配合が認められました。
その他の成分情報
キノン骨格を持つ補酵素です。側鎖が10回同じものが繰り返しているということからコエンザイムQ10と名付けられました。
コエンザイムQ10の「コエンザイム(coenzyme)」は補酵素という意味で、体内での消化や分解などの化学変化を進みやすくする酵素の働きを助ける成分です。
体内でも合成されますが、体内に存在するもののうち、半分は食べ物由来であるとされています。
細胞の中のエネルギーをつくりだす工場であるミトコンドリアの中に存在し、生命活動に欠かせないエネルギー生産を促す作用と、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。
CoQ10の量は加齢とともに減少することが知られており、表皮中のCoQ10濃度も20代をピークに減少します。
抗酸化成分としては、体内でビタミンEとともに働き、活性酸素を除去することで酸化されたビタミンEを、還元型コエンザイムQ10が自らが酸化することで元に戻します。
酸化された酸化型CoQ10は、肝臓で再び還元型コエンザイムQ10に戻るというサイクルを繰り返します。還元型コエンザイムQ10の方が良いと言われるのはこのためです。
効能効果・はたらき
「化粧品」に配合したときの働き
<抗酸化、エイジングケア>
高い抗酸化作用により肌表面で油分の酸化を防ぐことで、アンチエイジング効果が期待できます。
肌の表面に存在する皮脂に含まれるスクワレンは酸化を受けやすい油性成分で、紫外線などにより酸化された後、さらに活性酸素を発生させ、その刺激が炎症を引き起こすことが分かっています。
CoQ10は肌表面での活性酸素の発生を防ぐことで炎症の発生を抑え、表皮内の細胞のダメージを防ぐだけでなく、真皮へのダメージも防ぐことが期待できます。さらにCoQ10は、化粧品に配合される他の成分の酸化も防ぎます。
「医薬品」としての効能効果
心筋の代謝を改善し、うっ血性心不全症状の治療のための医療に使用されます。
「食品、サプリメント」に配合したときの働き
機能性表示食品として「中高齢者の日常生活で生じる一過性の肉体的疲労感及び精神的疲労感を軽減する機能があることが報告されています」という表示が認められています。
注意点
機能性を謳うことができないサプリメント(一般食品)にも使用できます。過去に医薬品の配合量を超えている製品が市場に出回っていたことから2006年、厚生労働省より各事業者が安全性に十分留意するよう通達が出されています。
サプリメントの過剰摂取などによる主な健康被害として下痢、胃の不快感、発疹、かゆみ、動悸などが報告されています。
ワンポイントアドバイス
日本化粧品検定協会代表理事:小西 さやか
「CoQ10はサプリメントで摂取することで、加齢により減少した肌細胞中のCoQ10を補い、肌細胞を活性化することが期待できます。ただし、摂取量が多くなりすぎないように注意しましょう」
小西さやかさんの記事一覧
<引用元>
薬剤学,66(6),430-434 (2006)
日歯周病会誌, 59(2), 63-67 (2017)
新薬学者集団, 新しい薬学をめざして, 43, 99-102 (2014)
小西さやか, 美容成分キャラ図鑑, 西東社, 2019, p.106-107
厚生労働省「コエンザイムQ10を含む食品の取扱いについて」(食安新発第0823001号平成18年8月23日)
エーザイ株式会社:ノイキノン, インタビューフォーム
※価格表記に関して:2021年3月31日までの公開記事で特に表記がないものについては税抜き価格、2021年4月1日以降公開の記事は税込み価格です。